クリスマスの日はたいてい仕事で、あまり思い出に残るエピソードも無いのですが、逆にクリスマスに限って夫婦ゲンカをしてしまい、重たい空気のまま寝入ってしまうような事がよくあります。楽しい時に限って、なぜだかケンカしてしまうことって、ありません?
まだ妻と結婚する前、二人が付き合っていた頃の事です。その年のクリスマス・イブもケンカ別れのままお互い引っ込みがつかなくなって、せっかくのクリスマスデートもお預けになってしまいました。きっかけは本当に些細な事なんです。だんだん頭が冷めてくると、意地を張っていた自分が情けなくなり、彼女に済まない気持ちでいたたまれなくなってきました。でも、まだ携帯電話なんて無かった時代の話です。電話して謝ろうにも、こんな夜中に掛けては家の人に迷惑だし、当時は車も持っていませんでしたから、終電も行ってしまったあとで、直接会いに行くことが出来ません。そんな重苦しい気分で独り過ごす時間に耐えかねた僕は、意を決して歩いて行くことにしました。当時、僕が住んでいたアパートからお隣のN市にある彼女の実家までは直線距離にして10キロちょっと。2時間も歩けば着く計算でした。こんな真夜中にいったいどうやって訪ねて行けば良いのかなど考える余裕もなく、ただじっとしていられなかったのです。無心で歩き続けたのですが、路面に残っていた雪に足を取られ、結局は着いたのが明け方になってしまいました。ケンカした事もすっかり忘れるほど呆れた顔の彼女と一緒に眺めた朝焼けの雪景色は、今でも忘れる事のできない素敵な風景となって脳裏に焼き付いています。
2019/11/20 18:36
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