今月のテーマ:「ロジャー・ニコルス〜音の宝箱〜」
(第2回:ポール・ウィリアムズとの共作品集)
パーソナリティ:濱田 高志(音楽ライター、アンソロジスト)
<番組のトーク・パートと選曲リスト>
今月は、今年生誕80年を迎える、ポップ界の音の魔術師、ロジャー・ニコルスの世界に迫ります。今回は、シンガーソングライターとして活躍する、ポール・ウィリアムズとの鉄壁のコンビで生み出された楽曲の数々をご紹介します。
― ロジャー・ニコルスとポール・ウィリアムズが出会ったのは1968年。ロジャーが自らのグループ「ロジャー・ニコルス・アンド・ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ」のアルバムを発表した直後のことでした。
当時ロジャーはA&Mの専属作家で、同社の音楽出版部門にいたチャック・ケイの勧めで、ポールとコンビを組むことになりました。2人は会うなりすぐさま意気投合し、共作を始めることになり、その後、数々の名作を生み出していきます。
M1「It's Hard To Say Goodbye」/ Claudine Longet
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
1968年に発表されたクロディーヌ・ロンジェのアルバム『ラヴ・イズ・ブルー』のB面に収録された楽曲。ロジャーとポールが出会って最初に書いた楽曲で、かつ初めて音盤化された楽曲です。アレンジはニック・デカロが手がけています。
― ロジャーとポールは出会ってから、精力的に作曲を続けるものの、なかなかヒットに恵まれませんでした。
そんな中、ヒットの起爆剤になったのが、『We've Only Just Begun(邦題:愛のプレリュード)』です。言わずと知れた、カーペンターズの歌唱でおなじみの楽曲ですが、もともとは、カリフォルニア州のクロッカー・ナショナル・バンクのCMのために書かれたものです。
M2「We've Only Just Begun」/ Freddie Allen
このヴァージョンは、この曲が商業ベースで最初に録音されたヴァージョンで、1970年にWHITE WHALEから発売された、フレディ・アレンによる7インチです。フレディ・アレンは、パレードのメンバーであったスモーキー・ロバーズの別名です。
M3「Talk It Over In the Morning」/ Edward, Harding and George
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
カナダのシンガーソングライター、D.E.オーウェンとB.H.キャンディを中心としたグループが1972年に発表したアルバム『Half&Half』から。これは、前年にアン・マレーやジャック・ジョーンズも取り上げ、ロジャー自身もお気に入りの楽曲です。
― ロジャーとポールの曲作りは、いわゆる「曲先」と言われる手法で、まずロジャーがメロディーを書いて、ポールがそこに言葉を乗せるというふうに作られていました。
ただ、実際に2人がコンビを組んでいたのはたった4年で、ポールは自身が俳優、シンガーソングライターとして活動を始め、ロジャーも他の作詞家と組むことが増えたため、お互いそれぞれの道を歩むことになりました。
とはいっても、2人は今でも連絡を取り合っており、以前ほどではないにしても、共作は続いています。
M4「Rainy Days And Mondays」/ The Carpenters
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ロジャーとポールの代表曲の一つである、1971年のカーペンターズの楽曲。
M5「Footprints On The Moon」/ Paul Williams
ポール・ウィリアムズが1972年に録音したデモ。1973年に、ジュディ・リンが正式に録音した楽曲です。
M6「Look Around」/ Roger Nichols & The Small Circle Of Friends
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
ロジャーが、自身のグループ「ロジャー・ニコルス・アンド・ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ」の2ndアルバムのために、ポールに曲を書いてほしいと頼んで作られた曲です。