#76『I got rhythm 音楽が生まれる時』 選曲リスト

今月のテーマ:「ロジャー・ニコルス〜音の宝箱〜」 (第1回:ロジャーのSSWの一面を紐解く) パーソナリティ:濱田 高志(音楽ライター、アンソロジスト)

<番組のトーク・パートと選曲リスト>

今月は、今年生誕80年を迎える、ポップ界の音の魔術師、ロジャー・ニコルスの世界に迫ります。今回は、ロジャーのシンガーソングライターとしての作品を中心にお届けします。

― ロジャー・ニコルスは1940年に、アメリカモンタナ州ミズーラに生まれ、今年80歳を迎えました。
クラシックのピアニストで音楽教師の母と、ジャズのサックス奏者で写真家でもあった父の間に生まれたロジャーは、6歳の頃にヴァイオリンの手ほどきを受け、学生時代にはコンサートマスターを務めるほどに腕を上げます。
 彼がギターを習い始めたのは高校生の頃。当時はビッグバンドのレコードがお気に入りで、ロックンロールよりもジャズに影響を受けました。その頃、中学からの同級生であるマレイ・マクレオドと一緒に歌い始め、そこにマレイの妹のメリンダを迎えたのが、のちのロジャー・ニコルス・アンド・ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズの原型になりました。
 1964年からロジャー・ニコルス・トリオとして活動を始め、1966年にA&Mから、本格的なプロデビューを果たします。

― ここで、1968年に発表された、ロジャー・ニコルス・アンド・ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズの1stアルバム『ロジャー・ニコルス・アンド・ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ』から2曲お届けします。

M1「Don't Take Your Time」/ Roger Nichols & The Small Circle Of Friends
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。

 1stアルバム『ロジャー・ニコルス・アンド・ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ』から。編曲はボブ・トンプソンが手がけています。

M2「Love So Fine」/ Roger Nichols & The Small Circle Of Friends
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。

 同じく1stアルバムから。編曲はニック・デカロが手がけています。

― このアルバムのプロデューサーはトミー・リピューマで、ロジャーはアルバムの中で、作曲の他に、ピアノ、ギター、ベース、ヴォーカルを務めました。

― このロジャー・ニコルス・アンド・ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズは1966年から1968年にかけて、A&Mから7枚のシングルと、この1枚のアルバムを発表しましたが、当時、音盤化されなかったデモ録音もたくさん残っています。
 ここで、そのデモの中から2曲ご紹介します。

M3「Just What I've Been Looking For」/ Roger Nichols & The Small Circle Of Friends
 ロジャーは、マレイを通じて、パレードのメンバーだったスモーキー・ロバーズと知り合い、2人で一緒この曲を書きました。のちにヴォーグスがアル・キャップスのアレンジで正式に録音しました。

M4「The Brady Bunch」/ Roger Nichols & The Small Circle Of Friends
 シチュエーションコメディドラマ「ゆかいなブレディー家(The Brady Bunch)」の主題歌のために、ポール・ウィリアムズとロジャーが書いた曲ですが、お蔵入りとなりました。

― ロジャー・ニコルス・アンド・ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズは、1stアルバムを出した後、活動を休止し、歴史の彼方に置き去りにされましたが、1987年にこの1stアルバムが、突如日本で世界初CD化され、それを契機に、ミュージシャンや音楽ファンの支持を得ることになります。
 そして、再評価の気運が高まった1994年には、ロジャーのソロ・プロジェクトとして、ロジャー・ニコルス・アンド・ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ名義のアルバムが発売されましたが、そこにはマレイとメリンダは参加していませんでした。
 オリジナルメンバーとしてのアルバムが出るのは2007年にリリースされた2ndアルバム『フル・サークル』まで待たなければいけません。その後、2012年には、オリジナルメンバーとしての3rdアルバム『マイ・ハート・イズ・ホーム』が発表されます。

M5「The Drifter」/ Roger Nichols & The Small Circle Of Friends
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。

 2007年に発表された、ロジャー・ニコルス・アンド・ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズのオリジナルメンバーによる2ndアルバム『フル・サークル』から。

M6「Girl With A Complicated Heart」/ Roger Nichols & The Small Circle Of Friends
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。

 2012年に発表された、ロジャー・ニコルス・アンド・ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズのオリジナルメンバーによる3ndアルバム『マイ・ハート・イズ・ホーム』から。

M7「This Is Love」/ Roger Nichols & The Small Circle Of Friends
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。

 同じく、2012年発表の3ndアルバム『マイ・ハート・イズ・ホーム』から。