声優・野島裕史が、自転車をテーマにお届けしてい番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。9月5日(土)〜9月8日(火)の放送では、「最強ホビーレーサー」の高岡亮寛さん、サイクリスト情報を発信するWebメディア「FUNRiDE(ファンライド)」などで執筆するサイクルジャーナリストの山本健一さんがゲストに登場! 高岡さんが挑戦した「日本縦断ギネスレコードチャレンジ」の裏話を伺いました。
高岡亮寛さんは、鹿児島県の佐多岬から北海道の宗谷岬までの日本縦断約2,600kmのギネス記録に「日本縦断ギネスレコードチャレンジ」と銘打って挑戦。結果、今のレコードホルダーが持つタイムを1日以上も上回る6日間13時間28分で走破し、記録を更新しました!(9月12日現在、ギネス申請中)。今回の放送では、このチャレンジのあいだ、高岡さんのサポートをし続けた山本健一さんとともに、挑戦中の裏話などを伺いました。
(左から)野島裕史、高岡亮寛さん、山本健一さん
野島:高岡さん、完走おめでとうございます!
高岡:ありがとうございます。
野島:8月11日(火)にゴールしてから、今収録している段階で1週間くらい経っているのですが。今の心境はいかがですか?
高岡:それなりの準備期間を経て、皆様の応援とサポートを得てチャレンジをしたので、“本当に走りきれて良かった”って、ホッとして。ちょっと力が抜けているような感じですね。
野島:ずっと集中していたんですもんね。この6日間と13時間というのは。
高岡:そうですね。こんなに長いあいだ、1つのことだけを考えて集中していたことっていうのは今までにないんじゃないかな、って思うほど集中していましたね。
野島:単純な疑問なのですが。睡眠時間は、1日平均でどれくらい取るんですか?
高岡:3時間とか、多いときは5時間くらい寝ていました。ただ、日常生活だったら5時間で足りるんですけど。(チャレンジ中の)15、6時間はずっと自転車に乗っているので、それじゃ全然体が回復しなくて。なので、後半は2時間ちょっと走ったあと、休憩時間に10分~15分だけ仮眠を取るとか、そういう形で睡眠を取っていました。
野島:もはや渡り鳥みたいな睡眠の取り方(笑)。人間の睡眠の取り方じゃないですよね?
高岡:そうですね。こんな取り方は計画にはなかったのですが、走っていくにつれて、そういうのも必要だというのが分かってきて、途中から採用したやり方ですね。
野島:ペースはどうでしたか?
高岡:良いペースではあったんですけど。ただ、それを維持できないというか。体がちょっとこのままじゃ持たないな、どうにかして休まないといけないって思って。それには、睡眠が一番良いのですが、宿で寝るというよりも、走っては寝て、走っては寝て……を繰り返すやり方に落ち着きましたね。
野島:その結果、従来のタイムを1日以上短縮した素晴らしい記録だったわけですが。一番つらかった時期はどのあたりですか?
高岡:3日目と4日目がキツかったですね。3日目は岡山から京都を越えて、石川県のほうに行きましたが、そこでのゴールが夜11時くらいでした。ただ、(3日目は)400kmくらい走る予定だったんですけど、前日の疲労とかもあって、330kmくらいしか走れなかったんです。それで、4日目は(目標タイムまでに)440km以上走らないと、その後のスケジュールに間に合わないのが分かって、意を決して4日目は“超ロング走行”をやりました。(その日の)ゴールが朝3時くらいでしたね。本当にキツかったです。
野島:それはキツいですよ! しかも「330kmしか走れなかった」とか「翌日は400km以上走らなきゃいけない」とか、サラッと言っている言葉がケタ違いすぎて……(笑)。そんな姿を山本さんはずっとご覧になっていたんですか? 一緒に並走したりもしたのですか?
山本:スタートからゴールまでサポートカーで、スポットごとに待ちながら彼の走りを見守る、というスタイルでスタートの佐多岬からゴールの宗谷岬まで帯同した、という形ですね。
野島:それも結構大変ですよね(笑)。“車で縦断しました”ってだけでも、本になりそうな。
山本:そうですね、2,600kmをほぼ下道で行くわけですからね(笑)。当然、(帯同しているのは)1人ではなくて、サイクルジャーナリストの辻啓さんと、のちにチームメイトの福田(昌弘)さんと交代しながら、複数でサポートしたんですけど、本当に“3人じゃ少なかったな”っていうくらい大変な業務でしたね。
野島:今回のチャレンジで“ギネス記録を1日更新した”ということは、以前にもやっていらっしゃる方がいらっしゃったということですか?
高岡:そうですね。何人かギネス記録として、公式にやられておりまして。今のレコードホルダーは、確か2018年に挑戦されていた方ですね。それで、なんとなく“日本縦断をしてみよう”となって。そして、いろいろと調べてみたら“おそらく更新できるんじゃないか”って思い、挑戦を決意しました。
野島:やってみてどうでした? キツかったですか? 楽だったですか?
高岡:思ったよりキツかったですね。
* * *
野島:食事はどうしていたのですか?
高岡:これだけ運動するので、すごく(体力を)消費するじゃないですか。しかも、翌日も走らないといけないので、エネルギーを相当摂取し続けないといけない。なので、(スタート前は)日本各地のおいしいものが食べられるんじゃないかな、って結構楽しみにしていたんですよ。
野島:そうですね、単純に考えると。
高岡:ただ、実際にスタートをしたら、初日がすごく暑かったんですね。それで胃腸が弱ったのか、ちゃんとした食事がほとんど食べられないくらいになっちゃって……。
野島:えぇ!? 1日400km走るとなると、単純計算でどれくらいの運動量なのですか?
高岡:多分、8,000kcalとか。それに基礎代謝とかも入れると、おそらく10,000kcalくらい。
野島:ですよねぇ。だから、本当は毎日10,000kcal分は食べなきゃいけなかったんですよね。
高岡:そうですね。なので、流動食やジェル、ヨーグルト、アイスとか、そういうのに頼らざるを得ないような感じになっちゃいました。
野島:過酷ですねぇ……。サポートしていた山本さんは、その様子をみて相当心配なさったんじゃないですか?
山本:でも、(高岡さんは)すごく冷静沈着なんですよ。なので、こちらは落ち着いて対応ができるというか。彼もすごく経験もありますので、自分のなかで消化できる部分もあるし、こちらは、それに対してできるだけ納得のいくものをサポートする。サポートする側としても“ストレスがない”と言っちゃうと語弊はありますが、落ち着いて対応できる形でしたね。
野島:高岡さんの冷静さも、記録樹立への大きな力になったのかもしれないですね。
さて、9月12日(土)〜9月15日(火)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、禁断の組み合わせ!? お酒と自転車の深〜い話を野島がご紹介します。お楽しみに!