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速水健朗

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日本人の親による子どもの連れ去り問題と共同親権

2020/8/20 (木)21:00
2020年8月20日Slow News Report



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速水:Slow News Report 今夜はカリン西村さんによるレポートです。テーマは「日本人の親による子どもの連れ去り問題と共同親権」です。まずどういうことなのか概要を教えてください。


離婚して子供を日本に連れ帰るのは犯罪

西村:国際結婚が破綻した日本人の親、主に女性が子供を連れ去って家を出てその後配偶者と子供に会わせないという問題です。2005年頃から欧米で大きな問題になってきています。背景には国際結婚が増えていること、それに伴って離婚も増えているということがあります。

速水:離婚後に子供を連れ去ってしまうという問題、例えばフランス人の男性と日本人の女性が国際結婚をし、子供ができてフランスに住んでいたという仮定で考えますと、その後結婚がうまくいかなくなった場合に、日本人の女性が日本に子供を連れて帰ってしまう。そしてフランス人の男性は子供に会えなくなってしまうという状況が起こるわけですね。子供に会いたければ日本まで会いに行けばいいじゃないかという考え方もあるのかもしれないんですが、これができないということなんですね。それにはフランスと日本では親権制度の違いがあるということがあるそうですね。

西村:そうですね。国際ルールでは、父親、母親両方の許可がない限り、一方の親が子供を別の国に連れて行くことはできません。それは犯罪になります。

速水:誘拐とか拉致に匹敵するような非常に深刻な話のはずなんですけれども、気楽に連れて帰ってしまうようなことがあるわけですね。そして共同親権というテーマなんですが、日本は単独親権という制度で、子供と同居している側の親が親権を認められる可能性が高いんですよね。

西村:海外で離婚する場合は共同親権、つまり二人の親が親権を持つ形になりますが、日本の場合は離婚したら一人しか親権を得られない。それが単独親権です。

速水:これが海外の制度とちょっと食い違うところが出てくるというのが今日のテーマなんですが、一方で制度の問題だけではなく、配偶者を子供に会わせないということが日本の場合は可能なんですね。

西村:そうですね。日本の場合、離婚した親は関係を継続しない形が多いので、法律の面では子供の利益のためにどうすべきかという色々な措置が定められていますが、必ずしも裁判で決定したことが執行されているわけではありません。例えば裁判で面談交流を設定しても、子供と同居している親は、もう子供はパパに会いたくないと言っているとか、いくつかの理由をあげて会わせないというのが現実です。

速水:同居している親がそういう風に子供に言い聞かせている場合もありますよね。日本は単独親権なわけですが、欧米では共同親権が普通なんでしょうか。

西村:普通ですね。夫婦の間はうまくいかなくても、子供との関係が必ずしも悪いわけではありません。親が離婚したとしても、パパとママとの関係をそれぞれ継続するのは重要であるという考え方です。共同親権は原則ですが、家庭裁判所がケースバイケースで判断します。例えばDV 問題がある場合は、その加害者である親は親権を失うこともあります。


単独親権と共同親権

速水:日本はなぜ世界標準とは違う単独親権が維持されているんでしょうか。

西村:おそらく文化、歴史、法律、考え方など、いろいろな理由があると思いますが、離婚した親が二度と会いたがらないということもあると思います。

速水:日本の離婚カップルはもう会わないのが前提だけど、フランスではそうでもないんでしょうか。

西村:そうですね。結婚せずに子供を産むカップルが多いですし、離婚してもその後会う機会が多いカップルもたくさんいます。例えば共同の友人がいる場合はホームパーティーなんかで会いますが、別に違和感はありません。それに子供がいる場合は、むしろ完全に切るより関係を継続した方がいいと考えます。カップルとしてうまくいかないけれども、子供のためにはパパとママが一緒に教育とか重要な決定をするというのは、最も優先すべきだという考え方です。

速水:その辺の文化というか、結婚への考え方の違いみたいなものがひょっとしたら今日の問題の背景にはありそうなんですが、カリンさんが取材をされた具体例がありましたら教えてください。

西村:東京に住んでいる日仏カップルのケースで、3歳の長男の誕生日に日本人のお母さんが突然家を出ました。お父さんが仕事から帰ったらもう誰もいなくて、ほぼ空っぽの家になっていたそうです。その時から1年半子供に会っていない。その当時、一歳のもう一人の子供がいたそうですが、そのフランス人男性は今も子供に会えない。女性が出ていった理由もよく分からないということです。

速水:話し合いが無いまま突然家出をされたわけですね。奥さんの側は家を出た理由について何か言っているのでしょうか。

西村:そのケースも含めて、多くの場合 DV を受けているからということなんですが、男性側はそれはないと言います。

速水:そこですよね。DV があったかどうか決着をつけるのが先だというのは非常に合理的な気もするんですけれども、どうせお互い言う事がすれ違うでしょうという話もわかる気もします。1通メッセージを読みたいと思います。まさに今のお話のようなケースだと思うのですが「私も4歳の息子がいる父親です。別居開始から2年間で計24時間程度しか会えていません。毎月8万円の養育費を払い続けています。特に不倫や家庭内暴力などがあったわけではありません。私はイクメンという言葉が使われ始めた頃に子供を授かり、育児を中心に仕事の仕方も変えてきました。外で働くだけが愛情の注ぎ方ではない、ワンオペにしないために一緒に育児を分担するという言葉を信じてきましたが、それでも別居したら私はただの ATM です。子供のことは可愛く、会うために親権争いが長引いてしまうという矛盾を抱えています。私は日本で結婚したことをすごく後悔しています。リスナーの方は、いつか子供と会えなくなるかもしれない、誰にでも起こりうることです」というメッセージです。この方も国際結婚で、育児もしていたし、暴力を振るっていたこともないんだけれども別居したというケースですね。日本の結婚って家同士の結びつきみたいなことがあるので、個人という感情が薄いんですよね。この辺のすれちがいみたいなことが問題になっていると思うんですが、これはヨーロッパでは非常に大きな問題になっているということなんです。親の子供連れ去りについて、EU の欧州議会本会議が7月8日にあり、日本に対する批判的な決議を採決賛成686票、反対1票、棄権8票で決議されました。

西村:EU 市民の親の許可なしで家を出たことの問題、そしてその子供は EU の国籍も持てますので、 EU はその子供を守るべき立場なのですが、日本の法律によって守ることが阻まれているという指摘もあります。また、親権を持たない親は何の権利も持てず、子供に会うことができない。そこは日本の法律を変えないといけないんじゃないかという話になっています。

速水: EUが自分たちの国民を守るという中で、子供達も当然その範疇に入るわけですね。その中で、2014年に日本もハーグ条約を締結しているんですが、双方の話し合いがつかない場合には原則として子供は元の居住区に返還するということになっていて、これは日本も批准しているんですが、日本の法律とハーグ条約の中身が噛み合っていないために、実際には機能しないから起こっている問題なわけですね。

西村:以前に取材した、あるフランス人男性はこんな風に説明しました。日本の裁判で子供の返還命令が出てもなかなか執行されない。日本人の親が返還を拒否した場合は返還が強制されない。裁判でいくら頑張っても外国人の親はもう子供に会えなくなってしまう。もし日本に来て子供に会おうとしたら逮捕される可能性もあります。私が取材した中でも二人逮捕されています。

速水:日本に来て子供に会おうとしただけで逮捕される可能性があるんですか。

西村:家に近づいたらストーカーとして元奥さんや義理の親が警察を呼んで逮捕されるリスクがあります。

速水:無理やり近づいてきたんだろうという風に解釈されてしまうわけですね。今の話で言うと、日本の裁判で返還命令が出て連れ去られた子供取り戻せないことがあるということですか。


日本では子供の返還命令が出ても執行されないことも

西村:はい。執行されるケースはあるけれども、されないケースもあります。外務省のハーグ条約の担当者に取材して、わずかだがそういう問題があると認めています。親の間の関係が特に悪く、なかなか話すことができない状況で、日本人の親は子供を返還するとどうなるかという不安もあって拒否するんです。また、ほとんどのケースはDVを受けたからと言う理由で家を出ていますので、例えば海外でのカップルであった場合は、DVがあったかどうかを証明するのは非常に難しいんです。裁判の場合、やっぱり DV の可能性があると考えたら返還命令を出すリスクはとらないというのは理解できますから、そこは DV があったかどうかを証明する方法を改善すべきじゃないかと取材を通して思いました。

速水:日本の単独親権のもと、DV があったら緊急避難的に合意なしで子供と家を出るのも仕方がないと日本の社会の中では認知されていますが、例えば国際結婚であった場合は一方的な主張で連れ去った事になってしまうわけですね。

西村:ハーグ条約でも DV があった場合は返還命令を出さなくていいというのも定められていますから、何か方法を考えるべきだと思います。

速水:そこは非常に難しいところだと思うんですが、日本も国際結婚が増えているんだから共同親権を採用するべきということなんでしょうか。

西村:私が取材しながら最も感じたのは、日本と海外の両方で不勉強が多すぎると思いました。つまり海外の弁護士は日本の法律は全く知らないし、外国人の配偶者は日本人の弁護士はどれくらい守ってくれるかという不安もある。言語の問題もありますし、やはり専門家が必要な問題であると思います。

速水:海外から見て、日本はハーグ条約に則っていないじゃないかという批判があるんですが、日本は日本の結婚制度があり、文化があるわけです。それを外から見ると、かなり食い違う部分がある。日本は日本で、正直共同親権という考え方があることすらあまり知られていないんじゃないかなという気がしますよね。その中でこの問題を前に進めるためにはどうしていったらいいのでしょうか。


子供の状況を一番に考えて話し合いを

西村:やはりお互いの勉強が必要です。今のままだと日本のイメージは海外で悪化する一方です。外務省はその問題に対しては「全く当たらない」とか完全に拒否しているので、そこは建設的な話にならない。でも子供の状況を優先すべきなので、その考え方があれば話はできるはずです。それを強く私は望んでいます。

速水:最後にメッセージをいくつか読みます。「子供の連れ去り問題を扱うことということで初めて拝聴させて頂いています。私もおととしの11月に妻と妻の不貞相手に当時3歳だった子を連れ去られました。そして今でも子供の監護権及び引渡しの裁判中です。そしてその間子供ともまともに会うことができません。こういった目に合っている人は男女問わず多くいます。広くこのことを知っていただけるようによろしくお願いします」というメッセージです。実際にいるんですね。こういうメッセージも来ています。「カリンさん、問題を取り上げていただきありがとうございます。連れ去り問題、日本国内でも同じです。私の妻は2年前に万引きで現行犯逮捕された後、私の合意なしで子供たちを連れ去り実家に帰ってしまいました。この2年間は子供達と裁判所で 合計30分しか会えていません。日本の裁判所のやり方では別居している親が子供と会うためには同居親の許可が必要です。つまり子供を連れ去った側が有利です。これが今の日本の現状です」 今の方々の国籍は分からないですが、親権という問題でいうと日本人同士でも起こり得ることですよね。今日は「日本人の親による子どもの連れ去り問題と共同親権」を取り上げました。カリンさん、ありがとうございました。
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