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歌舞伎町案内人・中国人の李小牧さん。新宿区議会選に出続ける意味とは?

2020/6/29 (月)21:00
2020年6月29日Slow News Report



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歌舞伎町の案内人の中国人が新宿区議選に

速水:Slow News Report今日はこの番組最多出演のフロントラインプラス岸田浩和さんとお送りします。映像ドキュメンタリー作家として、これまでも何度もいろんなお話を伺っていますが、今日は歌舞伎町の案内人、李小牧さんという方について伝えていただきます。

岸田:李小牧さんは1960年生まれ。中国湖南省出身で27歳の時に私費留学生として1988年に来日されました。最初は専門学校に通いながら時給のいいアルバイトを探して、1990年代後半から2000年代初めの頃、特に歌舞伎町が一番盛り上がっていた時期に、歌舞伎町のラブホテルの清掃員やショーパブのボーイを始めて新宿の住人となっていきました。中国系のお客さんがどんどん歌舞伎町には増えてきていたのですが、外国語が話せる客引きがいないというなかで、李さんは中国語圏出身なので、そういうお客の案内をするということで、自ら歌舞伎町案内人を名乗って主に中国語圏のお客さんに案内を始めました。

速水:歌舞伎町の顔であるだけではなくて、海外の人たちからも知られているわけですね。

岸田:はい。李さんがご自身の経験を綴った「歌舞伎町案内人」という本がベストセラーになって、それは中国や台湾でも翻訳されて、中国語版の Twitter と言われる微博のフォロワーが今800万人位いると聞いています。

速水:人口が多いと入っても、800万人はすごい数ですね。

岸田:日本のことを伝える代弁者としてすごく影響力があるのかなと思います。

速水:インフルエンサーですよね。その李小牧さんという方を岸田さんが取材しようと思ったのはどうしてだったのでしょうか。

岸田:本の読者として面白い人がいるなというのは知ってたんですが、2015年に李さんが新宿の区議会議員選挙に出馬するというニュースを見て、すごく気になって取材してみたいと思ったんです。当時、彼は歌舞伎町の中華料理店のオーナーをしていたので、そこに行って取材を申し込みました。そしたら、今からポスター貼りに行くから来るかということで、突然そこから取材が始まったんです。李さんは元々歌舞伎町の夜の顔で、まあ政治家とはちょっと対極にあるイメージなのに、わざわざ日本に帰化して選挙に出るというのはよっぽどのことだろうなと思って、純粋に理由を聞きたかったんですね。


民主主義を実行したい

速水:なるほど。取材するなかで見た選挙戦とはどういうものだったんでしょうか。

岸田:本当に街頭演説するのが楽しそうなんですね。「うれしそうですね」と言ったら「中国で街頭演説したらすぐ捕まっちゃうよ。自由に好きな場所に行って、好きなことが言えるってこんなに素晴らしいことはない」と言ったんです。

速水:そうですよね。民主主義がない自分の国ではそういう経験が無いということなんですね。となると、立候補しようとしたきっかけというのも、例えば何か実現しようということよりも、選挙戦そのものを試してみたい、民主主義を実行したかったというところなんですか。

岸田:そうですね。李さん自身もおっしゃっているんですが、まず自分が日本人として選挙に出ることで、800万人のフォロワーがいるSNS 等を通じて中国の人に民主主義の素晴らしさというのをまず見てもらいたい。そして自分は 歌舞伎町に30年近く住んで商売をしてきたので、歌舞伎町の在日外国人の立場がわかる政治家としてやれることがあるんじゃないかとおっしゃっていました。

速水:でも非常に苦労もされているんじゃないですか。帰化されているという立場もなかなか変わっている候補者ですよね。

岸田:街頭演説をしていていちばん多いのが、なんで中国人が選挙に出てるんだということで罵声を浴びたりとか、国に帰れとか、結構心無いことを言われたりしてるんです。けれども彼は「新しい日本人として勉強したいのでいろいろできることがあったら教えてください」と非常に丁寧に対応をしていました。彼もグッとこらえてやってるんだなというのが伝わりましたね。

速水:スピーチに行く場所は歌舞伎町の中なんですか。

岸田:歌舞伎町の中の人たちというのは区外の人であったりとか、有権者でない人も多いので、新宿区全体を回ります。あるとき、早稲田大学の校門前で李さんが演説をしていたんですが、選挙のボランティアの方が「大学生は二十歳以下の人が多いですし、区外の学生が多いから、ここはあんまり意味がありません。移動しましょう」と言ったら李さんが怒り出して、「若い人に選挙に行ってほしいと訴えることが大事だから、ここで演説する」と言ったそうなんです。そんなに有権者がいないところで「自分に投票しなくてもいいから、選挙に行ってください」と演説してるんですよ。ちょっと見たことないような選挙戦だなというのを感じました。

速水:中国という国の体制をよく知っている人だからこそ突きつけられるものがあるんだという話ですね。しかし、選挙の結果は落選ということだったんですね。

岸田:前日までスタッフやたくさんのメディアを引き連れて遊説していたのに、この日はたった一人で駅前に立って声を振り絞るように落選の報告、挨拶の演説をしてお詫びをしていたというのがすごい印象的な場面でした。

速水:落選したことを投票して頂いた方に伝えるというのは、この後もまだまだ次の選挙も狙うぞという姿勢なんですかね。

岸田:この時はショックでまだあんまり考えられないとおっしゃっていたんですけれども、すぐに次も出るよとおっしゃっていました。この日李さんがお詫びの演説をしている時に、李さんに駆け寄って握手したり、次も頑張ってねという人を多く見かけたんですね。こんなにたくさん応援してくれる人がいるのに何で落ちたんだろうとも思ったんですけど、結局在日外国人の方であったり、区外の人から結構注目を浴びていたけど、実質的には票になかなか結びついていなかったのかなという部分も感じました。

速水:在日外国人の方が非常に多い場所なんですけど、彼らは投票権がない。彼らの利益が代弁されないことというのが、まさに李さんが変えようとしている部分だったりもするんですけど、まだちょっとそこは届かない所なんですね。

岸田:李さんが元中国人ということで、中国共産党のスパイじゃないかとか、李さんは歌舞伎町の夜の街に深く食い込んでいたということで、マフィアと混同するような情報が飛び交ったりしていました。李さんがそれ否定してもさらに炎上するような状況もあったので、李さん独特の強みでもあるけど、すごく難しい立場もあるんだなということを感じました。

速水:岸田さんが李さんを取材した動画がネット上で見られるのですが、それなんかを見ていても尖閣諸島の話をぶつけてくる人がいたり、李さんとしても、いや俺に言われてもという立場なんですけど、そこに対しても正面からちゃんと自分の意見を言う。なんでもズバリ自分の考えてることを主張するということが李さんの選挙の姿勢そのものなわけですよね。

岸田:そうですね。結構根も葉もないことで罵られたりしても、民主主義だから言いたいことを言う、それはいいことだと言ってたんです。我々にはない感覚の部分が見えてきて、すごく「自由」というものが違う角度から見えてきましたね。


自分が出馬することで民主主義の素晴らしさを知らせたい

速水:今、コロナ禍の歌舞伎町というと、非常にクラスターなんかの最前線にもなっているし、李さんの仕事の転機にもなっていた外国人客もいなくなってしまった。そんな中で今、李さんはどうされているんですか 。

岸田:残念ながら2019年の選挙でもまた惜しくも落選ということだったんですが、先週話しを聞きに行ったら、もう1回出たいと言っていました。李さんは、自分が当選することももちろん大きな意味はあるけれども、もし落選しても自分が選挙戦を戦っていることで、民主主義のない中国の人も注目しているというところに非常に意味があると言っていました。

速水:彼の活動自体が歌舞伎町という街のある種の意見の代表というのはもちろんあるんだけど、それだけじゃない意味たくさんあるんですね。しかもそれは中国からも見えて、日本の自由民主主義を通して自分の祖国を問う。これも非常に興味深いですよね。

岸田:立候補するだけで民主主義をここまで体現する人というのは僕も見たことがなかったですし、自分たちの未来を自分たちで決めるという、選挙本来の役割とか可能性をすごく感じることができた稀有な候補者だなと思っています。

速水:メッセージを読みたいと思います。「選挙に立候補しようとしても供託金という高額な費用を払わないと立候補できない。党に所属していない新人の候補の方がどうやってこのような高額な費用を集めたのでしょうか」という疑問を頂いています。区議選は供託金30万円ということで、都知事選の300万に比べると安くはあるんですけども、この辺はいかがですか。

岸田:借金をして、ぎりぎり供託金が返ってくる票数は獲得したと聞いたんですけれども、最悪それがなくなるかもしれないと、結構腹をくくって出てるというような印象でしたね。

速水:もう一メッセージを読みます。「大学の友達が杉並区議に立候補しました。大苦戦しましたが、権利があるなら使わなきゃという姿素は晴らしいと思っています」というメッセージもいただいています。勝ち負けもありますが、ただそれを超える意味みたいなものが選挙にはあるという話ですよね。

岸田:権利を使うというのは本当に尊いことだなと思いましたね。


グローバルな社会には多様な候補者が必要

速水:李小牧さんをずっと取材されてきて、物の見方が変わったり、李さんに対する印象が変わったりしましたか。

岸田:最初は李さん自身に注目していたんですけれども、だんだん李さんを通して、在日外国人の力がないと社会が回らないのに、少し溝がある。そういう状況が見えてきました。いろんな国にルーツを持つ日本人が候補者で出てくるというのは、僕は非常に良いことではないか、そういう世の中になってほしいと思いましたね。

速水:インバウンドの話だけではなく、歌舞伎町という場所が非常にグローバルで、それこそ李さんがこの町に来て働いていた時期って、いわばグローバルの先端みたいな場所として、いろんな人たちの移り変わりも激しいし、お客さんだけではなく働いている人たちも多くの外国人がいるような場所。そこでの政治に問いかける事、今の話から非常にたくさん伝わってきたように思います。今日も非常に面白いリポート岸田さんがありがとうございました。この模様は動画でもウェブで見ることができるんですよね。

岸田:弁護士ドットコムニュースという ウェブニュースサイトに掲載されています。
https://www.bengo4.com/c_16/n_3050/

速水:実際にスピーチしている顔を見ると、李小牧さんの人となりが伝わってくる感じって動画ならではだと思います。皆さんも是非参考にしてください。今日はフロントラインプレスの岸田浩和さんにお話を伺いました。ありがとうございました。
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