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速水健朗

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アフターGAFA

2020/6/23 (火)21:00
2020年6月23日Slow News Report



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反GAFAの源流

速水:Slow News Report今日のテーマは「アフターGAFA」です。お話を伺うのは株式会社インフォバーン CVOの小林弘人さんです。小林さんは1994年、西海岸のテック系のカルチャー誌WIREDの日本版WIRED JAPANを創刊し、編集長を務めました。そして1998年にデジタルコミュニケーションを支援する株式会社インフォバーンを起業されました。僕は90年代、WIREDに非常に影響を受けて、アスキーという会社でアルバイトを始めたというのが僕の物書きキャリアの始めなんですが、まさに98~99年位に初めてお会いして、僕がアスキーを辞めてフリーランスになったとき、最初に会いに行ったのが小林さんだったんです。小林さんは今年に2月にKADOKAWAから『After GAFA 分散化する世界の未来地図』という本を出されています。GAFAとはGoogle、Amazon、Facebook、Appleの4社をまとめて表す言葉ですが、この本が出たタイミングは現在のようなコロナウイルスの状況のちょっと前ですね。今日は本の話だけではなく、その後の GAFAの話もお伺いしたいと思います。この本の冒頭にテキサス州で行われている「サウス・バイ・サウスウエスト」という、音楽や映画、テック系の見本市の話から始まるんですが、これがGAFAとどう関係しているんでしょうか。

小林:2018年のサウス・バイ・サウスウエストの基調講演が、GAFAに対して解体を主張しているエリザベス・ウォーレンという方だったんですね。サウス・バイ・サウスウエストは元々テック系の祭典で、ここから Twitterなどが育っていったりしたイベントだったんですが、そこにエリザベス・ウォーレンのような人を呼んだということが結構衝撃的だったのと、そこを一つと起点として、「AI と倫理」とか、あるいは「情報は誰のものなのか」というようなセッションがかなり目立つようになったんですね。

速水:エリザベス・ウォーレンさんは大統領選で民主党の候補者として、選挙の途中までかなり活躍されていた方ですね。その彼女がアンチGAFAというのを基調講演で話す。それが喝采で迎えられるということが起こったわけですね。

小林:まあ喝采ではないにしろ、当初予想されていたものすごいブーイングというよりは、一定のシンパシー共感を示すの人たちも結構いたんですね。

速水:それがテック系の人たちの間で起こったということがまず一つ驚きなんですが、日本でもGAFAという言葉自体は当たり前になっていますが、その捉え方みたいなものはアメリカと日本では温度差がある気がしますよね。

小林:そうですね。2016~2017年以降、世界的にGAFA、ヨーロッパなんかではFANGとかいろんな呼び方があって、GAFAはスコット・ギャロウェイさんという人がそういう呼び方をしたのが定着してしまったんですが、シェアリングサービスの Ubeのようなプラットフォーマーに対する世界のものの見方というのは、日本ではあまり報じられていなかったりもしますね。 Google なんかはスタートアップ向けにテックキャンパスを各都市に作ろうとしているんですけれども、そういったものがベルリンで建設反対運動にあったり、取り巻く環境はかなり変わってきているというのはありますね。

速水:その話も驚きですよね。Google が何かを作ることに対して反発運動は、例えば90年代にマクドナルドがイタリアに進出した時に地元の反対運動が起こったみたいな、ある種のアンチの流れみたいなものがプラットフォーム企業独占に対してあるわけですね。日本ではニュースで入ってくることはあっても、そこまでのものじゃないなという感触があるので、ちょっと温度差を感じます。例えば今の話題ですと、新型コロナの接触通知アプリはApple と Google の協力によって制作されたということになっていますが、小林さんはこれをどう見ているのでしょうか。


ヨーロッパ、アメリカの個人情報の保護規制

小林: 2018年に施行されたヨーロッパの GPDR(General Data Protection Regulation) という法律がありまして、 EU 一般データ保護規則というんですが、これがかなり厳格に個人情報の扱いに対して広範囲に制限をしているんですね。その後アメリカのカリフォルニア州で個人情報保護法、通称CCPAと呼ばれていますが、やっぱりこれもプラットフォーマーに対してかなり厳格な個人情報の運用求めるものが制定されました。ですので、そういった影響下にあるので、匿名で位置情報も伴わないとか、アドホックといって一時的な情報収集にとどめていたり、かなりGPDR の影響下にあると思いますね。

速水:そういう視点で見ると、今おそらくアメリカやヨーロッパで起こっているような、プラットフォーム企業みたいなものをどう捉えるかという流れが変わってきている中で、あまりその感覚は日本にはないですよね。例えばコロナウィルス接触確認アプリCOCOAを巡る議論でも、中国や韓国のように個人情報を取得して強い監視アプリを作った方がコロナウイルスの感染状況を抑えられるんじゃないかという議論になりますけれども、ヨーロッパでは中国のように強い監視みたいなことはできないようになっているということですか。

小林:そうですね。やっぱり GPDR みたいなものもありますし、個人情報の扱いに関しては個人に主権があるということをはっきりと言ったのが GPDR であるというところもありますよね。

速水:政府もそういう今の流れを汲んだ上で、個人情報を特定せず、位置情報も特定しないまま Bluetooth の機能だけを使って、しかもオープンソースの制作環境を使ってトップダウンではなくボトムアップでアプリの制作が行われたわけですよね。

小林:そうですね。ヨーロッパ型という風に見ていいと思います。


ビッグ・アンバンドルとは

速水:これは小林さんの本の中にも書いてあるんですが、インターネットに AmazonやGoogle が出てきた中でどんどんプラットフォーム企業による一方的な独占が続いている流れとはちょっと違う状況、本の帯にもある言葉ですが「ビッグ・アンバンドル」という、いわゆる中央集権的ではないインターネットが出てきているということなんですね。

小林:そうですね。分散型ということで対比させることができると思います。

速水:シリコンバレー中心の、株式時価総額などの言葉とセットになっている今までのITのイメージ、日本ではITを無用な怖がり方であるとか、過剰に恐れをなす部分と間違った恐れの部分というのがある気がしていて、この イノベーションの考え方のずれみたいなものも本で指摘されていますよね。

小林:そうですね。ドットコムバブル時代のような時価総額至上主義はもう、本当にこのコロナの前くらいにAmazon なんかも、今までステークホルダー株主主導型だったんだけどこれからはそうじゃないということを宣言してたりするんですね。やっぱりソーシャルグッドというか、どうやって一緒に共生していくのか、弱者の人たちをどう守っていくのかというところにかなり意識が向いていて、そういう流れの一つでGAFA型の時価総額、要は自分の利益を確定させるために強いところにどんどん入っていくようなやり方だったり、どんどん市場を寡占していくようなやり方というのは、これからはなかなか法規制も含めて難しいかなと思いますね。

速水:なるほど。メッセージを読みたいと思います。「今GAFAと呼ばれている人達だって最初はアンチ IBM 、アンチGE だったのでは」というメッセージをいただいていますけれども、確かにアップルなどシリコンバレーの起業は、元々 IBM が築いたところから、それのカウンターカルチャーだったわけですよね。

小林:それを新しいテクノロジーによってどんどん推進してきたというところはありますよね。まさに Google もそうですけれども、あまりにも巨大になりすぎてしまったことと、法整備より先にテクノロジーが進んでしまった面もあるし、ネットワーク効果といって、先行して強くなっていく人たちがどんどんパワーを増していくようなところもありますね。

速水:一つのジャンルで一つの企業が独占していく。競争して3~4社が一つの市場をシェアするのではなくて、どんと独占するというルールのもとで、今のプラットホーム企業が築かれてきたんですが、先ほどビッグ・アンバンドルという言葉を取り上げましたが、これはどういったことなんでしょうか。

小林:これまでのGAFAとかプラットフォーマー中心の中央集権型、つまり彼らがサーバを持っていて、彼らがコントロールをするということに対して、ブロックチェーンという技術があります。日本だとビットコインとかで知られていますけれども、基本的には分散型の仕組みなんですね。誰のものでもなく、落ちないサービスであり、改変や改ざんが不可能であるということで、一つの共有財のネットワークです。この開発企業が集中しているのが、暗号の首都 Crypto Capital といわれているベルリンだったり、クリプトバレーと呼ばれているスイスのツーク市という湖のそばの小さな町だったりします。

速水:つまり、かつてプラットフォーム、シリコンバレーなんかが中心になっている、一つのイデオロギーで中央集権的なインターネットが今解体されようとしていると考えていい。そしてその中心にはブロックチェーン技術なんかがあるということですね。そうすると中心になる場所も変わってくるぞということなんでしょうか。


Web3.0 ブロックチェーンで再び民主的なインターネットを

小林:いやもうそれは結構世界同時多発的なので、もちろんシリコンバレーでも取り組んでいる人たちもいるんですけれども、基本的には活動の拠点というのは Web3 Summit というのが開かれたのはじつはベルリンだったりします。

速水:Web 2.0も考えてみれば結構前なので、もう5.0くらいなのかと思いきや3.0なんですね。3.0とは概念なんでしょうか。

小林:基本的にはブロックチェーンを含む分散型の技術ですね。それによって中央集権的に誰かがひとつの個人情報を扱ったりということではなくて、自己運用型にちょっと近い感じですね。もっと民主的にしていくべきだということで、金融とかいろんな方面にこの分散型技術という潮流が今発展していますね。

速水:小林さんがまさにWiredとか作っている時は、インターネットのイメージって独占からいちばん遠いイメージだったと思うのですが、みんなが自由に、国家や大企業に縛られない自由があるみたいなところを再び取り戻そうとしている流れとも見ていいんですか。

小林:もう連綿と続いている流れですね。ただその流れで、結果としてなぜか中央集権になってしまったので、根本的な技術が違うんじゃないかということで、ブロックチェーンのような分散型技術を用いてもう1回再び分散化しようという一つの流れですね。

速水:そんな中で、本を出された時から世界の状況は大きく変わりました。例えばジェフ・ベゾスの資産がさらに増えたみたいな話、まあこれは株価に連動しての話ですが、そんなこともありますが、ここ数ヶ月本を出してからの変化みたいなものも最後にお伺いしていいでしょうか。

小林:もちろんそういう流れもあります。ただ同時に、分散型の方では、例えばシェアリングサービスなんかは協同組合型といって労働者の人達、Uberはタクシーの運転手さんは加わっていないんですけれども、運転手さん自体が加わって運営するプラットフォームとかできているんですね。

速水:株主に代わって参加できるプレイヤーが変わってくるということですか。

小林:そうですね。そういったシェアリングサービスの協同組合的な流れがあったり、テクノロジーだけじゃなくて、そういうアイデアや考え方ももっと分散型で、 Amazon の標榜する顧客至上主義ではなくて、社会を壊さないとか、フェアBNBというサービスがあるんですけどもこれはコミュニティが運営していて、余剰金はコミュニティに戻ってきたりするんですね。そういうようなものも一つの流れの中で出てきています。

速水:今日伺った全部どれも目新しいお話ですが、日本に住んでいて日本の情報を得ている状況だと正直見えてなかったと言うか、例えば中国のアリババグループが大きくなっていくなかで中国対アメリカみたいな話、そこにはヨーロッパの話が抜け落ちていたりするわけですが、なんかちょっと日本のテクノロジーの見方はちょっとずれているんじゃないかなというところを今日非常に感じました。その辺はもちろんこの本のテーマのいちばん大きいところでもあると思うんですけれど、僕らが日常でテクノロジーを見る目線みたいなところで何か最後アドバイスをいただいてもいいでしょうか。

小林:個別のテクノロジーを追ってもしょうがないと思っていて、例えば今マジョリティだと思っているものに対しては必ずそのオルタナティブというか、違うものがあるんです。もともとインターネットもそうだったんですね。全然マジョリティーじゃなかったわけなので、そういうエッジなものに注目していただきたいなとは思いますね。

速水:まさに小林さんが立ち上げたWired Japanの頃って、インターネットが普及するという前提自体が間違い扱いされていたその時代から、インターネットがあまりにも独占的になったみたいな、たかだか20~25年でこんなに状況が変わるんですからね。今日はあっという間に時間になってしまいました。今日はインフォバーン CVO小林弘人さんにアフターGAFAの世界について伺いました。ありがとうございました。
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