声優・野島裕史が、自転車をテーマにお届けしている番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。6月6日(土)〜6月9日(火)の放送は、声優・伊藤健太郎さんを迎えて“コロナ禍の声優業界”について語りました。
声優の伊藤健太郎さん
★コロナ禍の声優業界は?
野島:新型コロナウイルスの影響下での声優業界の話をしていきたいと思います。この番組のリモート収録という状況もそうですけど、仕事のスタイルがかなり変わりましたよね?
伊藤:そうだね。まさか自宅でヒロ(野島)とラジオのトークをすることになるとは……。
野島:僕自身、音響機器とか好きなので自宅にスタジオをつくって、そこで仕事をするのってけっこう夢だったんだけど、まさかこんな強制的に急遽なるとは思わなかった。
伊藤:本当だよね。状況の変化もさることながら、4月に入ってガクンと仕事がなくなって、僕のなかですごく心境の変化みたいなものがあって……。僕らもこの仕事を始めて20数年になるじゃない?
野島:うん。
伊藤:僕、完全に家にこもっていたのが、3週間と1日あったんですよ。4月は4本しか仕事をしていなくて。3週間もお芝居も稽古もせず、現場で声も出さず、家で粛々とYouTubeを編集しているんだけど……こんなに長い期間家にこもっているというのは、間違いなく初めて。
野島:人生で初めての出来事だよね。だから、かなり気持ちから変わってきたよね、考え方とか。
伊藤:そうなの。最近、少しずつ再開し始めているなかで、1本1本へのありがたさというか……。けっこう初心に戻った感じ。
野島:そうだね。けっこうそう言っている人がいるよね、同業者でも。
伊藤:だよね。言い方が悪いかもしれないけど、(仕事が)ギュッと詰まっているときって、1本1本に懸ける気持ちが薄めになってしまうのは否めないじゃない?
野島:うん。
伊藤:そんななか、いまは1本1本にものすごく集中して、嚙みしめてやっている気がする。
野島:本当にね。それは僕も同じくです。イトケン(伊藤さんのこと)と僕とで一緒にやっているアニメと言えば、「キングダム」という作品がありますけど、いまこの番組の収録をしている段階では完全に収録が止まっているという状況。そろそろ再開するのではと言われていますけど、たぶんみんなで一緒に録ることはなさそうだよね。
伊藤:ほかのアニメで(収録を)再開した作品があるんだけど、時間をずらして1~2人ずつスタジオに入っていて。なるべく掛け合いのある人同士で組んで入れてはくれるんだけど、お互いのマイクの間にビニールのカーテンが引いてあった。
野島:スーパーのレジとかによくあるような?
伊藤:そうそう。あれが、マイクとマイクの間に引かれていて。「こんな景色初めて見た」と思った。
野島:今回のコロナで生活はもちろん、仕事のスタイルとか、何から何までどこに行っても初めて見るものばかりという状況になっちゃいましたね。
伊藤:本当に。だから(現場に)久々に行ったとき、張り切りすぎて「伊藤さん、ちょっと声出しすぎです」って怒られちゃって(苦笑)。
野島:逆にね(笑)。
伊藤:加減がわからなくなっちゃって(笑)。
野島:毎日仕事をしているときは、そこまで発声練習っていらないじゃない? 僕も自宅にずっといて1週間黙っていることもあるわけだから、発声練習しないと滑舌もどんどん甘くなっていく気もするし。
伊藤:そういう恐怖感に駆られるよね。
野島:スポーツ選手とか、楽器の演奏者だって1週間触らなかったら……ってよく言いますもんね。
伊藤:本当にそう。僕なんかも、教える立場で仕事をするときに「1日休んだら、取り返すのに2日かかるからね!」ってスタンスで指導しているから。そう教えている僕たちが何日休んでいるんだ、って(苦笑)。
野島:これで、「仕事が再開します!」ってなったときに全然しゃべれなかったら大変なことになっちゃいますからね。その辺は緊張感を持っていきたいな。お互いにね。
伊藤:発声練習は家でやるとしても、(演じるキャラクターの)口に合わせるのが苦手になっているかも。
野島:それはありそうだね。あとお芝居って人との掛け合いでもあるから、そういった感性とかもどうなっているんだろうって不安はありますね。
伊藤:小劇場とかもろに打撃を受けて大変なことになっていますから……なんとかみんなで芸能の文化を立て直していかないと。
野島:一緒に乗り越えていきたいですよね。
さて、次回6月13日(土)〜16日(火)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」では、モデルでサイクリストの福田萌子さんをゲストにお迎えしてお届けします。お楽しみに!