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速水健朗

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汚染水をめぐる不都合な真実

2020/6/9 (火)21:00
2020年6月9日Slow News Report



速水:Slow News Report今日はフロントラインプレスの木野龍逸さんにスタジオに来て頂いています。今日は「汚染水をめぐる不都合な真実」というタイトルで福島第一原発の汚染水に関するリポートをお伝えいただきますが、まず一つ音声を聞いていただこうと思います。これは今年4月6日福島市内で経済産業省汚染水対策チームが開催した「関係者の御意見を伺う場」のワンシーンです。

【2020年4月6日「関係者の御意見を伺う場」より】
我々漁業者として、虚心坦懐にその提言を読ませて頂きました。ただ我々は学術的な知見その他は有していないところから、全ての提言に関して理解できたような内容になっているとは思っておりません。この提言を読んでいく中におきましても、我々はどうしても、「なんでこのようなことが起きたんだ」という所に立ち返ってしまいます、やはり原子力災害であり、原子力発電技術というものに返ってしまいますので、なかなか廃炉に関することについての具体的なところに持って行くことができておりません。我々福島県の漁業者は、地元の海洋を利用して、その海洋に育まれた魚介類を漁獲することを生業としております。震災後地元で土着しながら生活を再建するということを第一に考えております。その観点からもってしても、海洋放出は反対するものと言う考えに至らざるを得ません。



速水:こちらは経産省による提言を受けての発言かと思いますが、これはどういった内容のものなのでしょうか。

木野:福島第一原発のタンクの中に溜めている水、これを海に捨てるかどうかという議論を長いことしているんですけれども、今年の2月に報告書という形で取りまとめがありました。それに沿って関係者の意見を聞いて、それを踏まえて最終決定を政府がしていくという流れの中の、第一歩が行われたものです。


緊急事態宣言のどさくさに紛れて?

速水:この提言に関しては、学術的専門的に理解できていない部分があるという話をしながら、海洋放出に関しては反対の立場を表明されたということでいいんでしょうか。

木野:この「関係者の御意見を伺う場」はこれまでに3回行っているんですけれども、農林水産業者は明確に反対を表明しています。

速水:これ、4月6日という日付に注目をしなきゃいけないなと思うんです。つまり緊急事態宣言が出る前日ということで、コロナウイルスをめぐる状況の中でマスメディアなんかも右往左往している中で行われていて、報道する側としても関心が薄い中で行われてしまったわけですね。

木野:しかもその後2回オンラインの会議という形でやってますけれども、こういうのをきちんと議論をしていくのであれば、こういうどさくさのような中でやるものではないと僕は思いますね。


本当にタンクを設置する場所がないのか

速水:一度立ち返ってお伺いしたいんですが、第一原発の建屋の中に地下水が流れ込み続けている。そして放射性デブリに触れた汚染水が発生しているという、ちょっとこの辺の現状が今どうなっているのかお伺いしたいんですけれども。

木野:福島第一原発で今問題になっているのは汚染水といわれるものなんですけれども、これは現状で1日に大体170 t ぐらいずつ増えているとされています。事故の直後は1日に400tとか500 t とかというレベルで増えてたこともありました。その当時からのものが全部でいま百数十 tタンクに溜まっているんですね。タンクの数が1000個ともいわれてますけれども、一方で東京電力は敷地の関係で2022年の夏にはもうタンクを置く場所がなくなってしまうという試算をしています。それまでになんとかしなければいけないという形で報告書がまとまっているのが現状です。

速水:そして現在検討されているのが海洋放出ということですが、これはそれ以外に手段がないのかという話と、今緊急的にこれはやらなければいけないことなのか。その辺りはいかがでしょうか。

木野:これ以外に手段がないかどうかというと、実は僕自身はそんなことはないと思っているんですね。というのは、この「関係者の御意見を伺う場」の元になった報告書の中には海洋放出が現実的な選択肢であるという書き方はしているんですけれども、一方でその理由は東電の福島第一の敷地がいっぱいになってしまうという理由なんです。でも本当にそうなのかなと思うんですね。それは東京電力が作っている敷地の利用計画を見ればそうなんですけれども、その中には廃炉のために必要な設備というのもあるんです。じゃあそれが本当に必要なものなんですか?というのはこれからきちんとした検証が必要ではないかと僕は思っています。ですので、タンクに溜め続けるという選択肢も本当はあるのではないかと思います。地元からそういう要望が強く出ているということもありますし、今一度立ち返って検討しなければいけないのではないかと思っています。

速水:漁業関係者はこの海洋放出に関しては反対という立場をずっと取っているわけですよね。

木野:そうですね。実は今回の話は、タンクの中の水を流すので、一度完全に汚染されたものを流すということで問題はかなり大きいんですけれども、以前に汚染されていない地下水を汲み上げて海に流すという判断を求められたことがあったんです。もちろん汚染されてないとはいえ、福島第一の敷地内から汲み上げるものなので、ある程度の風評被害が生じるであろうということで、地元の漁業者に対して理解を求めて、出していいという決断をさせるということが一度あったんですね。その時にも苦渋の決断という形だったので、地元の漁業者にしてみたら今回2度目なんですね。

速水:しかも今回の場合は地下水とはずいぶん状況が違うわけですよね。汚染水ですから、前回は風評被害だったとしても、今回は違う側面もあるかもしれないですよね。

木野:そう思います。風評被害といっても、物が実際に売れないという意味では実害でもありますし。

速水:ちなみにそこへの漁業関係者への補償というのは、今の時点でもあるんでしょうか。

木野:事故の後、出荷制限があるという中で一定程度はありました。ただ、時間が経っているので打ち切りという形もありますし、全部が全部出ているというわけではないですし、補償が出ているから、じゃあ働かないでいいのかというと、多分そういうことではないと思うんですね。

速水:また漁業をかつてのように復活させてというような思い、生活が守られているかどうかということとはまた別の話ということですね。ちなみに現状の漁業はどのような状況にあるのでしょうか。

木野:先ほどの意見を伺う会の直前なんですけれども、福島県漁連が意見書を出していて、この中に「福島の漁業は被災前の漁獲量の14%にとどまっている。けれども、国による出荷制限が現状で全て解除されてこれから増産に向けて舵を切るところであり、だから海洋放出には反対だ」という意見を明確に述べているんです。それが全く今の現状を表していると思います。


漁業関係者の反対を受けて国は

速水:一方で国側は海洋放出に反対という地元の漁業関係者の意見を受けて、どういう説明をしているんでしょうか。

速水:国は報告書に書いてある通りの説明をしています。報告書には、海洋放出が現実的な選択肢である」とあります。理由としては、敷地がいっぱいだとか、そういうことが書いてあって、それを繰り返して説明しているだけですね。

速水:他にもやり方があるのではないかという話も先程お伺いしましたが、その中でずっと地元元も反対している中でも続けようとしている海洋放出、この理由は何かあるんでしょうか。

木野:ここはある意味想像するしかないんですけれども、汚染水があそこにあるということが国にとっては非常に不都合なことなんじゃないかなと思うんですね。30年から40年で廃炉にすると言っている以上は、当然敷地の中に廃棄物なんかが残っていてはいけないわけです。しかもいろいろ廃棄物は出てくるんですけれども、その中で唯一減らせるものがタンクに溜まっている、元汚染水だったものしかないですね。他のものは放射性廃棄物なので、おいそれとその辺に捨てるわけにはいかない。でも水に関しては、一応トリチウムというものは残っているんですけれども、それ以外のものは除去したと言っているので、それは事故の前から一定程度の量は確かに海に流していたので、法律的には出せないものではない。それが一番大きな理由かなと思います。

速水:このトリチウム水の話になると、世界でも希釈して海に海洋放出することはやっているし、他の国内の原発でも行われていることだということは言われますよね。


「待つ」という選択肢も

木野:実際に福島第一原発でも捨てていましたし、日本の原発では、事故の前ですけれども、一つのサイトからだいたい年間で316億から83兆ベクレルを捨てていたとされているんですね。福島第一では年間の上限が一応22兆ベクレルとなっているんですけれども、一方でこの年間の上限を守って捨てようとすると、だいたい30年くらいはかかるという風にされているんですね。今から捨てても30年かかると考えると、放出を始める期間が例えば2035年であれば、半減期と言って放射線が自然に減ってしまうので、流す期間はだんだん短くなっていくんです。なので、待つという選択肢も一方ではあるんではないかと思います。逆に短い期間で捨てようとすると、事故前の基準を大幅に超えるような量を出さないといけないので、それはどうなのかなと思います。

速水:貯めておけばちょっと状況も変わるぞという話ですね。廃炉の話というと、いつから廃炉できるのか、廃炉自体も時間がかかると言われてるし、廃炉のための準備を今しようとしているわけですが、本当に廃炉できるんですしょうか。

木野:個人的には夢の話じゃないかなと思います。少なくとも今、技術的な根拠は示されていません。実際に東電も政府も初めてやる、すごい大きな作業なのだからという言い訳をしつつ、少しずついろんな作業をしていますけれども、僕自身はまだ事故処理の作業が終わってないと思っているので、廃炉作業ではなくて事故収束作業を今でも続けていると思っています。

速水:その作業自体がまだまだ収束の目処がつかない状況で、廃炉を目標に掲げながら、そこに至るための海洋放出を進めようとしている。なんかちぐはぐな部分が今日の話から見えてきたんですが、「廃炉」とはなにか?に関しては明日引き続きまたお話を伺います。


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