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速水健朗

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フランスにおける若者の就職活動

2020/5/21 (木)21:00
2020年5月21日Slow News Report


速水:Slow News Report今夜は西村カリンさんとお届けします。テーマは「フランスにおける若者の就職活動」。日本では就職氷河期から、気づけば売り手市場がずっと続いています。解禁日が年々早くなって、解禁日のルールみたいなものがあるというのも非常に日本的ですね。新型コロナウイルスの影響で、セミナー等が開けないような状況があり、就職活動が長期化しているという状況があります。
日本の就職活動に関してはメッセージがたくさん来ています。一つ読みます「就職活動について思うことは“早すぎるの”一言に尽きると思います。自分の適性や性格が十分にわからないうちに就職活動が始まり、気がつけば終わっていました。なので就活には後悔しています。学校ではこの職業はこういう特色があります。こういう年収が期待できます。というのをもっと教えてくれてから就職活動を行わせて欲しかったなと思います。全てが学生任せでは学業に影響も出ますし、コネクションがないと個人での就職活動には限界を感じます。最初の職業選択を間違えた時にやり直しがきく社会であってほしいです」というメッセージをいただいています。このメッセージに何か思うところはありますか?


フランス人の若者も同じように就職に悩む

西村:今のメッセージには重要なことがたくさんあったと思います。まだ自分の人生をどうしたいか分からないうちに選ばなければいけないこと、みんな若者の時にはその悩みがあると思います。日本に限らずフランスでも同じように感じている人がいます。日本とフランスでは制度の違いは多くありますが、大学生の時には迷ってる人は同じように多いと思います。

速水:大学の3年生くらいからもう就職活動が始まってしまい、その間就職活動を優先すると勉強する機会が減ってしまうみたいな問題も日本にはありますが、本日はフランスにおける若者の就職活動をテーマとしてお送りしたいと思います。今それはかなり厳しい状況だということを伺っているんですが、今のコロナウイルスの状況以前からフランスでは就職事情は厳しい状況だったのでしょうか?

西村:そうですね、相当厳しいです。大体40年くらい前からフランスの失業率はどんどん上がっていて、どんな政権になってもなかなか下がらない状況が続いています。特に若者の失業率は非常に高く20~25%、貧しい家庭の多いところでは50%もあります。フランスでは卒業してから就職活動をしますから、やはり不安定な状況で活動しなければならない状況があります。


フランスでは卒業してから就活をする

速水:日本だと大学や専門学校を卒業する前に就職を完全に決めているというのは当たり前なんですけれども、これはフランスでは当たり前ではないんですか?

西村:考えられないと言ってもいいと思います。私も初めて日本で就職活動についての取材をした時に「内定率」という表現が出てきて、何なのことなのかわかりませんでした。9割以上内定って本当に(フランスでは)ありえないと思いました。全体の制度は違いますが、日本人の若者は恵まれた環境じゃないかと思ったくらいですね。

速水:実は“内々定”という制度も日本にはあるんですが(笑)、みんな4月から働くみたいなことがルール化されているから“内定”をめがけて就職活動をするという状況がある種の文化としてあるんですが、フランスの場合は学校を卒業してから職を探すんですか?

西村:ほとんどそうですね。しかもバラバラで、みんなが同時に採用されるという形は全くないんです。ですから、早い状態で就職活動をする人もいれば、卒業して1年してから始まる人もいます。その間にどこかを旅行したりする人もいれば、インターンをする人もいます。ただトレンドはやはりどんどん厳しくなってくるということです。


フランスでも不安定な非正規雇用の問題が

速水:どんどん厳しくなる理由は、例えばホワイトカラーの仕事がアウトソーシングでどんどん海外に流出してしまうというようなこともあるのでしょうか。EUであればフランスよりも賃金の安い地域、ポーランドなどに流れていってしまうというようなことなのか、単なる不況が続いているということなのか、もっとシステムの問題なのか、この辺はどうでしょうか。

西村:確かに企業は利益を優先して、なるべく安い人材を求めているので工場は別の国に移る、あるいは EUの間でもルーマニアやポーランドなど、フランスより貧しい国々から賃金が安くても仕事をしたい人がフランスに来て仕事をする。でもフランス人はそんな賃金では働きたくないので、別の仕事を探す。そんな要素もあります。ただ根本的にもっと厳しい問題は、企業がなかなか正社員の採用をしないことです。非正規社員をを採用して6か月だったらまた別の人を採用する。それを繰り返していることで、なかなか安定した仕事はないんです。

速水:なるほど。インターンシップ制度以外にも、いわゆる非正規雇用で短期間働いて、正社員にしないで契約を切ったりということはフランスの社会では当たり前になっているということですか?

西村:そうですね。それは大きい問題で、インターンシップ制度のメリットはその仕事について勉強できるということですが、ほとんどのケースでは実際には一人の社員の仕事をしてるんです。でも賃金はもらえない。10回もインターンとして仕事をしてる人もいるんです。それも数年経ってもまだ本当の仕事はもらえない、正規の賃金をもらえないという状況です。

速水:その辺は日本との大きな違いの一つなのかもしれません。メッセージが来ているのでご紹介します。「就活生です。4月以降、面接など Web に切り替えるところもあるようですが、6月以降に再開するところもあり、志望度が低いところにも一応応募しとかなきゃ内定もらえないんじゃないかなどと考えてしまいます。選考が進んでいても、コロナで取りやめという連絡のあった企業もありました。面接で失敗とかではなく、コロナで取りやめは正直悔しいです。約2ヶ月のあいた時間は 自己分析や企業研究、大学の勉強に費やしている現状ですが、就活での不安は消えません」というまさに就活の最中という方からのメッセージいでした。このメッセージにあるような日本の就活用語、「自己分析」とか「企業研究」という言葉が出てきましたが、分かりますか?

西村:全部わかるわけではないんですけれども、でも不安であることはよく理解できます 。突然のことなので、全世界でやっぱり若者は同じような不安が出てきたと思うんですね。

速水:自己分析って僕の頃にもあって、僕はこれが嫌で就職活動は本当にブルーだったんです。自分は何が得意でどんな人間であるかというのを、文章にまとめて提出しなきゃいけないんですよ。最悪じゃないですか(笑)そんな日本特有の就職活動事情もあるんですが、ちなみにフランスで今若い世代に人気の高い職業はどんな職業なんでしょうか?


フランスで人気の職業

西村:実はそ20年くらい前からそんなに変わっていないのですが、人気があるのは医者、エンジニア、学校の先生、弁護士、あるいは記者も人気のある仕事です。

速水:日本では「手に職」という言い方をしますが、専門職はやっぱり人気が高いんですね。今の日本でおそらく一番人気が堅実と言われるのが公務員です。フランスではどうでしょうか?

西村:フランスでももちろん公務員になりたい人はいるんですけれども、やはり日本人は若者に限らず安心安全安定を求めることがよく見られます。公務員は確かに安心安全安定の3つの“安”ですね(笑)

速水:不況になると日本は公務員が人気になるみたいなことがあるんですが、一方で日本ではソフトウェアエンジニアは今すごい人気がある職業になっています。フランスではどうでしょうか。

西村:もちろんフランスでもIT技術関連の仕事はある程度人気があるんですけれども,
やはりそこも安定する仕事ではないんです。世界との競争も激しく、インド人の得意分野でもあるので、必ずしもフランス人が勝てるわけではないんです。ただ、フランス人は、特に男性は数学が好きな人がいるんですが、本当に高いレベルを目指して専門学校などにすすめば、仕事はより確実にに見つかります。


フランスにおける“格差”の問題

速水:またひとつメッセージを読みたいと思います「フランスは多民族国家とも言えますが、就職の際人種差別はありますか」 という質問を頂いています。

西村:残念ながらあります。フランスではいくつかのルーツの方がいますが、その人達はフランス人になったとしても、就職活動をする時に電話でも名前を言うだけでアラブ系とかすぐ分かるので、そこで差別がおきるということは、残念ですがあります。

速水:おそらく日本との違いというと、エリートとそうではない人たちの格差みたいなものが大きいという話は聞きますが、その点はいかがでしょうか。

西村:それも大きい問題です。しかも年々格差が広がっているので、やはりそこはポイントだと思います。世界でよく知られているエコノミストの ピケティさんもずっとそう言っています。ただマクロン大統領は当選した時にその格差を小さくする政策を考えました。学校でうまく行かなかった人にもう1回チャレンジできるように育成しようとか、いくつかの制度を考えてある程度良くなってきたんですが、新型コロナウイルスでまたゼロから出発しないといけないということです。残念です。

速水:マクロン大統領は彼自身もものすごくエリートなわけですよね。何かお金持ち優位にするような人というイメージがありますけれども。

西村:でも奥さんは学校の先生ですので、その影響も受けていると思います。子供の教育がいかに重要であるか、彼女からもよく聞いていると思いますので、そちらには力を入れていたのに、やっぱりコロナで上手くいかなかったんだと思いますね。

速水:マクロンさんは奥さんの言うことをよく聞くんですね(笑)まだまだフいっぱい聞きたいこともあるし、メッセージもたくさん来ているんですが、残念ながらこのコーナーの時間になってしまいました。引き続きまたどこかでこの就活をめぐる議論やりましょう。カリンさんありがとうございました。


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