TOKYO SLOW NEWS

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速水健朗

過去の放送(radikoタイムフリー)

または

障がい者の自立支援

2020/5/19 (火)21:00
2020年5月19日Slow News Report


速水:スローニュースリポート昨日に引き続きフロントラインプレスの柴田大輔さんとお送りします。実はこの番組でも川島映利奈さんという女性を取材しているんですが、柴田さんは川島さんのことをよくご存知だそうですね。

柴田:はい、川島さんは茨城県で障がい者の自立生活をサポートするつくば自立生活センターほにゃらの代表を務められています。川島さんご自身は脊髄性筋萎縮症という難病の障がい者で、日常的に痰の吸引や直接お腹に栄養剤を注入するなどの医療的ケアを受けながら、介助者のサポートを受けた自立生活を営んでいます。元々は福井県出身で、進学をきっかけにつくば市に単身で引っ越してきました

速水:その川島さんに直接お話を聞いています


【つくば自立生活センターほにゃらの代表 川島映利奈さんのお話】
実家は福井なんですけど、つくばに来るまでは福井県で過ごしていました。ずっとヘルパーとか介助者を使わずに、家族に身の回りのことを世話してもらっていたんですが、お母さんの都合で私の生活リズムを決められることがたくさんあって、それが思春期の時は辛かったんです。そんな時、障がいがあっても家族以外の介助者や、いろんな人の手を借りながら自分らしい生活を送っている人がいることを知って、私もできるかもしれないと思い始め、筑波大学に進学をすることをきっかけにつくばに来ました。やっぱり家族と離れたいという思いから、家族が簡単に来れないようなつくばに引っ越すということを決めたんです。私自身24時間介助が必要なので、介助者として関わってもらえるところということで「ほにゃら」を紹介して頂いて、まずは一利用者としてお付き合いをさせて頂きました。

つくばに来ていちばん変わったのは、自分がやりたいことをやっていいんだというところかな。例えば夜遅くまでテレビを見ていてもいいとか、朝起きたくなるまで寝ててもいいとか、夜中にコンビニに行ってもいいとか、すごく小さいことではあるんですけど、家族と一緒だと実現しにくい。介助を受けるようになって初めて実現できたということが小さいことの積み重ねでたくさんあって、それが良かったなと思います。


障がい者の意思を尊重することが重要

速水:今の川島さんのコメントなんですが、なるべく家族と離れたいということがあって、遠く離れた場所に行ったという話なんですが、今の川島さんのコメントをとう受け取りましたか?

柴田:障がいのあるなしに関わらず、川島さんおっしゃっていることってごく自然なことだと思うんですね。川島さんもおっしゃっていた“小さいことの積み重ね”というところで一つ印象的なエピソードがあったんですが、以前重い障がいがあって手足を動かすことができない方の食事の様子を見させて頂いたことがあるんです。その方は介助を受けて食事をとるんですけれども、食べる時に、例えば「はんぺん、ご飯、大根」とか、口に運びたいものを介助者の方に指示を出すんです。僕も自分の中で食べたい順番って結構あって、例えば最後は味噌汁で締めたいとか、すごく小さいこだわりなんですけれども、それを無視されるとやっぱり嫌だなと思うんですね。ただ単に食べられればいいわけじゃないんだなとその時に思ったのですが、どんな小さなことでも一つ一つの行為に込められた意思というものを実現することが大切なんだというのをその時実感しましたね。

速水:昨日に引き続き「自立」ということの意味について今日も考えることになりそうですが、柴田さんが障がい者の自立支援の取材を始めたきっかけはということだったんでしょうか?

柴田:以前3年ほど重度の知的障がいのある青年とシェアハウスで暮らしたことがあるんです。たまたまアパートを探している時に知人に勧められたということで、特に福祉に興味があったわけではなかったんですね。ただ実際に一緒に住んでみて、最初は僕が一方的に障がい者と健常者ということで違う世界に住んでいるというふうに思っていたんですけれども、一緒の空間にいる中でだんだん彼の考えることがわかるようになってきたんですね。彼は言葉でコミュニケーションを取ることが難しい方だったんですけれども、だんだん相手の考えがわかるようになると、24歳で年相応の、まあちょっとお調子者のどこにでもいる若者にしか思えなくなってきて、その時に僕も彼も同じ世界の延長線上にいるんだというのをすごく実感しました。
そしてもう一つ印象的なことがあって、介助者の方たちは彼のようにコミュニケーションが難しい方の気持ちいいですとか、意思をものすごく丁寧に読み込んでいくんですね。それを見て、なんて丁寧で優しい世界に生きているんだろうとちょっと感動しました。またそこのシェアハウスでは定期的にイベントなんかもやっていて、様々な障がい者や健常者の方が出入りするんですけれども、そこでの出会いがきっかけで今の取材に繋がりました。

速水:こういう“自立”という考え方はどのように生まれたものなのでしょうか?

柴田:今お話ししている自立生活のモデルというのは、1960年から70年代にアメリカで生まれた自立生活運動が1980年代に日本に来たものだと言われています。この運動の背景には、1960年代にアメリカで起きたマイノリティによる公民権運動があります。日本にもそれ以前に脳性麻痺の障がい当事者による運動というのがありましたが、こうしたすでにあったベースに、アメリカから来た介助者派遣の運営や制度を含めて、障がい者自身が主体的に自分の生活を建設するという、より明確化された考え方とシステムが結びついたものだと言われています。

速水:なるほど。もともとアメリカで起こった運動で、ちょっと遅れて日本に入ってきて、徐々に定着していったということですね。
川島映利奈さんにもう一つお話を伺っています。


コロナ禍が障害者に与える影響

【川島映利奈さん コロナ禍の影響について】
ちょっとやばいかなと思い始めたのは2月あたまですかね。中国とかいろんなところで規制が始まっていた頃だったと思います。私は進行性の障がいなんですけれども、医療的ケアが必要で手のアルコール消毒液とか、そういう消毒系のグッズを結構使うんですけれども、それが店頭から消えていたというのが一番やばいかなって思い始めた時です。
介助派遣の事業所で活動をしてるんですけれども、やっぱり介助者の方にも行動制限とか、いろいろと協力いただいています。マスク、手洗いとか、うつさない、うつされないということを出来る限りやって活動をしてます。ほかには介助者を絞ったりしています。介助者一人が利用者を3~4人掛け持ちして介助を行ったりしていたんですけれども、やっぱり3~4人とかかわっていると、それだけ感染リスクが増えるし、一人の介助者に陽性者が出ちゃうと、四人の利用者のところにいけないということにもなってしまいます。それだと障がいを持つ方の生活がピンチになってしまうので、一人の介助者が最大二人までの利用者に絞るということもやりはじめています。


速水:介助者のサポートを受けながらつくば市内で自立生活を送る川島絵里奈さんのお話でした。介助の施設の中でも新型コロナウィルスに関していろいろ気を使う状況であるというお話を伺いましたが、いかがでしょうか。

柴田:川島さんは1ヶ月に大体400ccの消毒液が必要だそうです。これまでなんとか寄付などでギリギリ回していたんですけれども、先日つくば市のほうから1リットルの支給があったそうで、なんとか夏までの目処はついたとおっしゃっていました。川島さんの場合、胃瘻(いろう)といって直接喉から栄養剤を入れますので、その場合に介助者の方も入念な消毒が必要になりますね。
他にも重度障がいの方にお話を伺ったのですが、その中には心肺機能に疾患のある方も多く、「もし自分がコロナに感染したらすぐ生命の問題に直結してしまう」ということを複数の方から聞きました。本当にいきなり命の瀬戸際のようなところに立たされてしまうという人がたくさんいるんだということを知ってショックでした。また、介助者の方の感染だけでなく、介助者の方の周囲に濃厚接触者が出てしまっただけでも、介助がまわらなくなってしまうという危険があるということなんですね。24時間介助が必要な川島さんのような方は、本当にギリギリの所の生活を強いられているという状況だと思うんです。

速水:介助の方々も人数制限をかけられたり、障がい者の方が会える人が減っていくことでメンタル面の心配なかもあるんじゃないかと思うんですが。

柴田:そうですね。やっぱり外に出ることができず家にいる時間が多いので、障がい者の方もズームなどインターネットアプリを使って仲間と話したり、オンライン飲み会をしたりという話もよく聞きました。ただ川島さんがおっしゃっていたのですが、電話だと相手の言葉や気持ちが分かりにくかったり、精神的な面での障がいのある方の中には、オンラインでのやり取りが苦手な方もいらっしゃるそうなんですね。そうすると便利なツールがあっても、取り残されている人がいるということは知っておいていただきたいということでした。

速水:川島さんご自身もオンラインでいろんなことをされているそうですね。

柴田:川島さんはジャニーズファンだということで、家でYouTubeで動画を見たりですとか、SNSを使ってご自身の情報もよく発信されています。この消毒液が足りないというのをFacebook で見た方が寄付を持ってきてくれたりというケースもあったようです。


障がい者にとって良い社会は誰にとっても良い社会に

速水:最後に取材を通して感じたことをお伺いできますか?

柴田:取材をしてきて思ったことは、適切なサポートがあればどんな障がいがあっても、社会に参加して自分らしい生活を追い求めることができるんだということです。そして、多くの障がい者が参加できる社会をつくれれば、同時に病気ですとか年齢によって体に不安がある方にとっても 誰もが参加しやすい社会になるんだなと感じます。ですのでこの自立という考え方がより多くの方の中に浸透していくと、またちょっと違う社会が生まれるのではないかと思いました。

速水:障がい者にとって良い社会というのは、誰にとっても良い社会であるということですね。当たり前のことなんだけれど、すごく難しいことではあると思うんです。けれども社会全体が向かう意義があることなんだということが、お話を伺ってわかりました。ありがとうございました。


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