「コロナ時代の髭の生やし方」「テクノフォビアについて」

2020年4月27日Slow News Report


 ここからはSlow News Report。普段はスローニュース株式会社のサポートで取材活動を続けるジャーナリスト集団フロントラインプレスの協力という形でお送りしているこのコーナーなんですが、今日はちょっとイレギュラーとして僕のリポートということになります。取り上げるテーマはまず一つ目「コロナ時代の髭の生やし方」というテーマになります。僕もそうなんですが、自宅にずっと引きこもりの生活、ほぼ人に会うことのない生活を続けている方多いかと思うんですが、ハリウッドのセレブたちの間なんかでも、ずっと家で過ごしているうちに無精髭が伸びてしまう。それをインスタなどで写真をアップするみたいなことが流行っているという記事を雑誌で見かけました。Esquireという雑誌です。にイケメン俳優の髭を徹底比較!おしゃれなヒゲスタイルはどっち?みたいな写真がいっぱい載っていて、クリスチャン・ベールの髭なし髭ありを比較していたり、ダニエル・クレイグなんかも髭を生やしている状況を比較したりとかあるんですが、色んな媒体で髭が伸びてしまっているセレブたちの写真をアップしているというのがちょっと流行っていて面白いなと思って見ています。これの日本版がないのかなと思って、いろんな日本の俳優を調べてみましたところ、YouTube チャンネルに登場した小栗旬、そして山田孝之の二人の俳優さんたちが、やっぱり家でオンライン会議をしているのを公開していて、髭生えてしました。山田さんは元々髭が濃いですが、小栗旬の無精髭なかなかイケてると思いました。




髭とマスク

 一方で CDC アメリカの疾病対策センターは、この新型コロナの状況下になる少し前、今年の1月にマスクをする際の髭は推奨していないという情報をあげています。外に出るときは皆さんおそらくマスクをして出ると思うんですが、マスクと髭は非常に相性が悪いです。これはウイルス及び色んな雑菌が入る対象として、髭はマスクと相性が良くない。その事をCDCはブログでイラストを入れたたくさんの髭のケースをイラストに起こして、こういう髭はいい、こういう髭はダメというのを呼びかけています。非常にこの絵面白いですね。リンクを貼るので皆さんも見て頂きたいのですが、七三分けで髭を伸ばしたセルヒオ・ラモスとかメッシとかみたいなスタイルの男たちのイラストです。マスクの場合、基本ひげは剃りましょうということなんですね。髭がマスクの境界線をまたいではみ出ている状況は良くないという注意書きをしています。ちなみに日本の男性の人たちの中でも、ここ5年くらいは無精髭は増えているんじゃないでしょうか。特に IT社長みたいなイメージは髭と結びつくケースってドラマなんかでも多い気がします。


髭には流行がある

 髭には流行があるんだという話もしてみたいんですが、映画のアベンジャーズシリーズは皆さん見ていますでしょうか。その最新シリーズで、アイアンマンのトニー・スターク、ロバート・ダウニー・Jrさんが演じていますが、自分が生まれる前の世界の父親に会うためにタイムスリップをするエピソードありました。トニー・スタークはそもそもIT社長なわけで、口髭が特徴なんですよね。1970年代にタイムスリップして父親と会った時、父親も髭を生やしているんですよ。ただトニー・スタークは父親とわからないまま接触して、「お前の髭はダサい」ということを指摘されるんですよね。ここが非常に笑いどころで、日本人はそこまで髭が伸びないのですが、世界的にはこの5~10年はブルックリンスタイルの髭がいちばんの流行だと思います。ヒップな人達、環境に配慮したりアウトドアのスポーツなんかが好きだったり、そして仕事はIT、情報系の仕事をしているようなちょっと意識の高いような人。趣味はドリップしたコーヒーを夕暮れに飲んで散歩するみたいな人たちの中での髭というのは、口髭、あご髭がくっついた状態で、かなり伸ばし放題伸ばす髭。ブルックリンスタイルと言うんですかね、これが今いちばん最先端の髭スタイルです。日本人はなかなかそこまで髭が伸びないのですが、フィンランド人の友達に日本人の髭の生やし方は世界的なトレンドから間違っている。もっと伸ばすんだよと怒られたことがあるんです。童顔だなという悩みが昔あって、僕も無精髭くらいな感じの髭にして、伸ばしたことがあるんですが、あの髭は無理なんだと思いました。アベンジャーズのトニー・スタークが髭をダサいなんて言われたところ、「いや、これ今の髭なんだよ」というあたりが、ちょっと日本では受けてない感じがしました。というわけで、コロナ時代に皆さん髭伸ばしていますでしょうか?という話題を一つ目としてお送りしました。
メッセージがいろいろ来ています。「日本人髭の生やし方が下手なんですよね。外国人だから気づくことなんだなって改めて思いました。」「日本人が髭を伸ばすと泥棒髭になっちゃう」「髭というと、アメリカのメジャーリーガーびっくりするぐらい蓄えている人が多いけど、このご時世どうしてるんだろう」確かにスポーツ選手でも、僕も知っているサッカー選手たちはみんな髭伸ばしましたよね。「毎日剃ります。何なら永久脱毛したいくらい」「髭の話面白いですねあ。私は髭苦手なんですが、速水さんみたいな感じの髭は平気です」という気を使っていただいたメッセージもいただいていますが、今は剃っています。




5Gが免疫力に影響?

 さてもう一つの話題行ってみたいと思います。こちらは5G通信の話題です。国内でも5Gに関するCMが始まっていますよね、第5世代移動通信システム5G規格。日本では5Gに対応した端末の普及は主に秋以降の見通しということなんですが、ヨーロッパでは先にサービスがスタートしています。韓国なんかでもスタートしているという話題が伝わってきますが、コロナウイルスとどう関係があるのというと、ちょっと質の悪い陰謀説が世界中で出回っています。5G携帯電話の基地局から発せられるマイクロ波が人体に影響を与え、免疫を低下させているという嘘こちらがネットで出回っているんですね。イギリスなんかでは4月になって以降、数件基準局への放火という事態に発展しています。そしてYouTubeの動画でこういったことを発信する。日本のツイッターなんかでも、この5Gの人体の免疫に影響を与えるというデマをブロックする措置を取っているといいます。とはいえ、探してみると、網の目をくぐり抜けていくらでも出てくるんですよ。


テクノフォビア

 いわゆる新型コロナウイルスも目に見えない存在なので、僕達はうがいをしたり手を洗ったりして防ごうとしているんだけど、見えないから怖いわけじゃないですか。同時にマイクロウェーブを使ったテクノロジーである携帯電話。見えないもの同士を結びつけてしまおうという安易な発想から生まれたデマなんですが、こんなデマがうまれてしまう一つの背景としてあるのが、科学技術恐怖症です。恐怖症のことを「フォビア」といいますが、「テクノフォビア」という言葉があります。5Gにしてもスマホにしてもそうだし、今だとズームであるとか新しいテクノロジーがたくさんある中で、ついていける人とそうでない人がいるのはしょうがないことだと思いますが、新しいものに自分だけが社会の中で取り残されてしまうのではないか。または、こういったテクノロジーによって人の心までも変わってしまうのではないかという危機感みたいな、そういった過剰な恐怖心を抱いてしまい、それらを排除する。これは良くないことなんだという風に過敏反応してしまうことがテクノフォビアです。香川県の「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」なんかが典型的なテクノフォビアですよね。専門家の意見なんかを通して科学的な根拠があったわけではなく、ただ単に子供が長い時間ゲームをすることで何かよからぬことが起こるのではないかという、全く根拠のないことをもってして条例にしていくようなこういうことが、完全にテクノロジーへの恐怖として行われていく。こんなことが日常的に僕らの生活の中に入ってきていることでもあるということですよね。

 例えば5Gに限らず、以前から「携帯電話を枕元の近くに置いておくと電磁波が発生するから健康に良くない」みたいなことを何の根拠もなく思っている人は結構いたりするかもしれません。また、1960年代テレビが普及した時には「一億総白痴化時代」といって、日本人は全員馬鹿になるよというようなことが評論家の口を通して広まり、それがにわかに社会論として信じられるようなことがありました。そういう事ってずっとずっと続いてきたんだけど、何の根拠もないというのがメディア論の専門家の立場といっていいと思います。
 5Gにまつわる陰謀説、マイクロ波が人体の免疫に影響を及ぼし、それがきっかけでこんなウイルスが蔓延して人々に恐怖を陥れているんだという、本当に科学的根拠がないのに広まってしまう背景として、科学技術が必要以上に発展し、それが人の心にまで影響を及ぼしてしまうたという誤解みたいなものが背景にあります。これは本当に都市伝説みたいなもので、昔の話でいうと、なにか社会不安が発生したときに、妖怪の話としてすり替わってしまうというような話です。これ思い出したのが、「ブレイキング・バッド」。非常に人気がある海外ドラマなので見ている方多いんじゃないかと思いますが、そのスピンオフのインチキ弁護士を主人公にした「ベター・コール・ソウル」で主人公のお兄さんが電磁波過敏症という設定があるんですね。家の中で部屋中にアルミシート貼って、電磁波が入ってこないように完全に防御して暮らしているんです。やってくる人達にも全部携帯電話を持って入らせないみたいなことをやっているんですが、日本にもいるんじゃないかと思います。電磁波過敏症は科学的根拠は一切ありません。このようにポップカルチャーの中でも取り上げられたりしている、普遍的な症状みたいな感じで取り上げてみました。


社会不安の中で起きるテクノフォビア

 テクノフォビアについてもたくさんメッセージ来ています。「パナウェーブなんてはやりましたな、世紀末。」 白い服を着ていた人たちですよね。僕も記憶がちょっと定かではないんですが、電磁波を怖がる人たちが宗教を形成するみたいな話だったと思いますが、他にも「電磁波に関しては携帯電話が普及した20年くらい前から危ないという人いましたね。そういえば『買ってはいけない』という本が話題になったのもあのころ」と『買ってはいけない」という本は、実は売れているけど危険ですという内容で、あれも陰謀論ですね。その後に『「買ってはいけない」は買ってはいけない』という本が出たという話を覚えていますね。「ゲーム脳はいったん否定された。でも潔白が証明されたわけではない。疑わしきは罰せずのグレー状態という認識。今の速水さんの言い方は黒判定されていないから白のような言い方だった。」というちょっと批判的なメッセージもいただいていますが、ゲーム脳は専門家に否定されています。ゲーム自体が人を馬鹿にするということはありえないことと専門家によって何度も否定されていることだと僕は認識しています。ゲームを一日1時間という香川の条例の話をしましたが、「一日一時間条例という、科学的な根拠がないことが問題というのも一つあるんですが、ゲームを家でやるという、おうちで決めればいいことだし、そこに法律が制限をかけてくる、個人の生活の中に制限をかけるということはそもそも法律として、条例として筋違いであるというところに批判が来ている問題ですよね。科学的根拠以前の問題というところも非常にあるんですが」というメッセージも来ています。また、「不安を煽ってビジネスをする人が後を絶たない。不安は儲かるんでしょう」というメッセージもいただいています。確かにそうなんですよね。デマには善意で広まっているものと悪意で広まっているものの二つがあって、これは分けて考えなければいけないですが、人に良かれと思ってこの情報を伝える場合はビジネスではなかったりします。だから逆にタチが悪かったりする部分もあって、みんな良かれと思って伝えて広めてしまって後で間違ってましたということが、今回のコロナ騒動の中でも何度もありました。一方で確信的に根拠がないことで人の不安を煽ってビジネスをするようなこと、たとえばPCR検査できますよみたいな事ですね。ここにニーズがあることは分かるんですけど、そこに正しい科学知識のないものが来た場合、非常に危険なビジネスになるということも、今みたいな状況だからこそ起きていることではありますよね。
 もうひとつメッセージ読みます。「クラスター オーバーシュート ロックダウン ここ最近流行りだした横文字が私にとってテクノフォビアになっています」というメッセージいただきました。そういうカタカナ用語は必ずしも目新しい言葉としてマスメディアがもてはやしているというわけではなくて、リスクコミュニケーションという概念が出てきていますが、今まで通りの言葉だと注目してもらえないものを、もうちょっと注目を集めるために”オーバーシュート”と言ってみるみたいなところもあります。もちろん闇雲に使えばいいというものではないというのも確かにありますね。皆さんメッセージたくさんありがとうございました。


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