#49『I got rhythm 音楽が生まれる時』 概要と選曲リスト

是非これを見ながら聴いてください!


今月のテーマ:「不滅のベートーヴェン 祝生誕250年」(第1回:ベートーヴェンとピアノ)
パーソナリティ:粗品(芸人)

<番組のトーク・パート(概要)と選曲リスト>


― 今月は、「不滅のベートーヴェン 祝生誕250年」と題して、生誕250年を迎えるクラシック界の帝王ベートーヴェンの音楽と彼の生涯に迫ります。今回のテーマは「ベートーヴェンとピアノ」です。

 ベートーヴェンは、1770年に生まれ、1827年に亡くなってしまいますが、現在でもリスペクトされ続けており、作品だけではなく、難聴など、いろんな苦難に立ち向かったその生きざまも、現代を生きる人たちに大きな影響を与えています。

M1. ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 ≪悲愴≫ 第2楽章 : Adagio cantabile / ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
演奏:フリードリヒ・グルダ

<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 初期を代表する傑作として知られている、ピアノ・ソナタ第8番『悲愴』の「第2楽章」。ベートーヴェンが28歳から29歳の頃に作曲されたと考えられています。楽譜の売れ行きもよく、気鋭のピアニストとしてだけでなく作曲家としての名声を高める重要な成功作となりました。
 
―ベートーヴェンはピアニストとしての才能が豊かで、7歳で演奏会を開いている天才で、「順調に才能が伸びてゆけば第2のモーツァルトとなることは間違いない」というほどの賛辞を得ていました。
 そして、21歳のときに、ボンに立ち寄ったハイドンにその才能を認められて弟子入りを許され、11月にはウィーンに移住しました。その後、社交界で、ピアノの即興演奏の名手として広く名声を博しました。
 ピアノ・ソナタは、彼が少年時代から晩年に至るまで、生涯にわたって書き続けた唯一のジャンルで、その軌跡を追うことで、ベートーヴェンの創作の変遷を辿ることができます。

M2. This Night / Billy Joel
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 アメリカのシンガー・ソングライター、ビリー・ジョエルの曲で、先ほどのピアノ・ソナタ第8番『悲愴』の「第2楽章」のメロディーを引用した楽曲です。ビリー・ジョエルは、ベートーヴェンを敬愛してやまないアーティストです。

―ここで、「ピアノ・ソナタ」をもう1曲お届けします。

M3. ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27の2 ≪月光≫ 第1楽章 : Adagio sostenuto / ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
演奏:フリードリヒ・グルダ

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 ベートーヴェンが1801年、30歳の時の作品です。「月光」というタイトルは、ベートーヴェンが亡くなってからつけられたもので、ドイツの音楽評論家で詩人のレルシュタープがこの曲を、「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と表現したことから、「月光ソナタ」として、世界的に知られるようになりました。
ベートーヴェンが作ったピアノ・ソナタは32曲ありますが、「悲愴」「月光」、そして「第23番」の「熱情」が
「ベートーヴェンの三大ピアノ・ソナタ」と呼ばれることもあります。他にも、「第17番・テンペスト」「第29番・ハンマークラヴィア」なども聴き応え十分です。

― ピアノの性能の進化とベートーヴェンの作品は、密接な関係があり、そのときどきに使っていたピアノの鍵盤を目いっぱい使って作曲したと言われています。ベートーヴェンが47歳の誕生日に送られたピアノは、特に低音域の鍵盤が増え、響きも豊かになったため、「第29番」からの最後の3曲では、この音域が見事に活かされています。

M4. エリーゼのために / ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
演奏:イリーナ・メジューエワ

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 39歳の1810年4月27日に作曲した、有名なピアノ曲。この曲は、本来「テレーゼ(Therese)のために」という曲名でしたが、字が汚くて解読不可能など、何らかの原因で「エリーゼ(Elise)」となったという説があります。テレーゼは、かつてベートーヴェンが愛した女性だったとも言われています。
 小学生用のピアノの教則本の最後に載っていることも多く、ピアノ教則の指標にもなる曲です。

M5. キッスは目にして! / ザ・ヴィーナス
 「エリーゼのために」メロディーが使われたポップスです。他にも、日本では、ザ・ピーナッツの「情熱の花」(1959年)や、宇多田ヒカルの「幸せになろう」(2002年)でも、「エリーゼのために」のメロディーが使われています。

M6. ピアノ三重奏曲第7番「大公」~第1楽章 / ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
演奏:スーク・トリオ

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 この曲は、ベートーヴェンが1811年(40歳)の頃の作品で、彼のパトロンおよび弟子として知られているルドルフ大公に献呈されたため、『大公』という名前で親しまれています。

― 最後は、「ピアノ協奏曲」。ベートーヴェンは、ピアノ協奏曲を5曲書いています。特に有名なのは、「第5番・皇帝」です。

M7. ピアノ協奏曲第1番~第3楽章 / ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
演奏:クリスティアン・ツィマーマン(ピアノ&指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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 その「ピアノ協奏曲第1番」中でもリズミックな「第3楽章」。この「第1番」は、ハイドンの下で本格的に作曲を学ぶべく1792年にボンからウィーンに引っ越して間もない時期に書いた曲で、1795年3月に初稿が完成し、初演は同月29日に、ベートーヴェンのピアノ独奏とサリエリの指揮により初演されたそうです。

― 最後に、ベートーヴェンが残した名言を一つ紹介します。

「これはあなたのために書いたのではありません。後世のために書いたのです。」

まさしく、後世まで演奏され、ポップスにまでなっています。