今月のテーマ:「The World of Black & Blue」(第16回:ファンク)
パーソナリティ:ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
ファンクのリズムがみえる
アフロヘアにアフロ意識、そしてピカピカの衣装で
わたしたちは大地に降り立ち、
音楽を新しいレヴェルに引き上げた。
グルーヴのもとで、一つの国
もう何も俺たちを止められない
<番組のもとになった本>
絵本『リズムがみえる I see the rhythm』(サウザンブックス社)より
(文:トヨミ・アイガス、絵:ミシェル・ウッド、翻訳:金原瑞人、監修:ピーター・バラカン)
<番組のトーク・パート(概要)と選曲リスト>
― 今月は、ブラック・ミュージックの歴史を描いた絵本『リズムがみえる I See the Rhythm』を基に、ブラック・ミュージックの歴史を紐解いていきます。今回のテーマは「ファンク」です。
毎年アメリカでは、芸術分野を讃える「ケネディ・センター名誉賞」の式典があり、2019年にアース・ウィンド・アンド・ファイアーが、アフリカンアメリカンのアーティストとして初めて、取り上げられました。
M1「Shining Star」Earth Wind & Fire
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。
アース・ウィンド・アンド・ファイアーは、リーダーのモーリス・ホワイトが独自のビジョンを持って、メンバーを一人ひとり集めて結成されました。彼らはファンクといっても、ジャズやソウル、ラテンといった、様々な音楽の要素が合わさった、当時の70年代初頭ではかなり珍しいグループでした。
M2「Funky Stuff」Kool & The Gang
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。
クール・アンド・ザ・ギャングは、アース・ウィンド・アンド・ファイアーと同じくらいの時期にデビューしたグループで、最初はジャズの要素がありましたが、73~74年の時期にははそれが薄らいで、ファンク一色でした。この「ファンク・スタッフ」も、1973年に発表された曲です。
― ファンクを象徴する人といったら、ジェームズ・ブラウンかジョージ・クリントンでしょう。
ジョージ・クリントンは「パーラメント」と「ファンカデリック」の2つのグループで活動していましたが、この2つはメンバーがほとんど同じです。強いて言えば、「パーラメント」は少しソウル寄り、「ファンカデリック」は少しロック寄りのイメージがあります。
M3「Up For The Down Stroke」Parliament
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。
この「ダウンストローク」というのは1拍目のことで、1拍目が大事だという意味です。
かなりSF的なイメージがあったパーラメントですが、音楽はかなり洗練されていて、複雑なシンコペーションも含まれています。
― さて、やはりジェームズ・ブラウンを避けて通るわけにはいきません。彼は傑作も多く、60年代後半~70年代にかけて出したアルバムの数は、想像を絶するほど多く、クリエイティビティの泉が絶えない様子がわかります。
M4「Doing It To Death」JB’s
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。
1973年に、ジェームズ・ブラウンのバックバンド、ジェイビーズ名義で発表された楽曲。この曲名は「永遠にやるよ」意味で、明らかにそんな感じの、ジャムセッションのような曲です。ジェイビーズの演奏力はとても優れたもので、指揮者のジェームズ・ブラウンのしぐさ一つで、方向転換したり、次の展開に移ったりできました。
― ファンクという音楽は、ニューオリンズで生まれたものだという人もいます。最後にニューオリンズの伝説のファンクバンド、ミーターズの曲を紹介します。
M5「Cissy Strut」Meters
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。
ミーターズの実質的なデビュー曲となる1曲。彼らはあまりヒット曲には恵まれませんでしたが、この曲は1969年に、R&Bチャートのかなり上の方までのぼりました。