#28『I got rhythm 音楽が生まれる時』 概要と選曲リスト

是非これを見ながら聴いてください!


今月のテーマ:「The World of Black & Blue」(第11回:ゴスペルの心)
パーソナリティ:ピーター・バラカン(ブロードキャスター)


ゴスペルのリズムがみえる。
教会でこれをきくと、体が揺れ、敬虔な気持ちになる。
日曜日の朝の教会で、ゴスペルのリズムがみえる。
そしてリズム&ブルーズの心がみえる。

<番組のもとになった本>

絵本『リズムがみえる I see the rhythm』(サウザンブックス社)より
(文:トヨミ・アイガス、絵:ミシェル・ウッド、翻訳:金原瑞人、監修:ピーター・バラカン)

<番組のトーク・パート(概要)と選曲リスト>
― 今月は、ブラック・ミュージックの歴史を描いた絵本『リズムがみえる I See the Rhythm』を基に、ブラック・ミュージックの歴史を紐解いていきます。今回のテーマは「ゴスペルの心」です。

ニグロ・スピリチュアルズと呼ばれる、いわゆる黒人霊歌という音楽が、アメリカのブラック・ミュージックのルーツとなっていますが、そこから「ゴスペル・ミュージック」ができるのは、1930年代になってからのことです。

特に、ゴスペル・ミュージックを形にしたのが、トーマス・ドーシーです。彼は、1920年代にジョージア・トムという名前で、ピアノを弾きながら、やや際どいブルーズを歌っていました。そして、1929年の株式大暴落を一つの転換点として、30年代に入ると、宗教的な内容の曲を作るようになります。それまでブルーズを歌っていた彼が作るゴスペルは、ブルーズに近い雰囲気を持った曲が多いです。

―ゴスペルの黄金時代は、第二次世界大戦が終わった直後頃から、50年代の終わり頃までの、およそ15年間とみてよいでしょう。もちろん今でもゴスペル・ミュージックの歴史は続いていますが、今日は40~50年代のゴスペルを紹介します。

―ゴスペルは、基本的に「ソロ歌手」「合唱団」「カルテット」の3つの形になります。カルテットは、必ずしも4人とは限りませんが、4声で歌うことからカルテットと呼ばれます。


1「Take My Hand, Precious Lord」Mahalla Jackson
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 1956年に発表されたこの曲は、トーマス・ドーシーが作曲した中で、最も有名な曲の一つです。マヘリア・ジャクソンは、ゴスペルを代表するソロ歌手で、この曲を歌った時はすでに45歳です。彼女はこういった讃美歌のような曲も歌えば、迫力のあるロックンロールのようなゴスペルの曲も歌います。
『真夏の夜のジャズ』という有名なニューポート・ジャズ・フェスティバルのドキュメンタリー映画の最後の部分で、彼女の素晴らしい歌声を、3曲分ほど聴くことができます。

M2「How I Got Over」Clara Ward & The Ward Singers
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 ゴスペル歌手でもあり、ソングライターとしても有名なクララ・ウォード。彼女はアレサ・フランクリンに大きな影響を与えたことでも知られています。この曲は、彼女が1951年に、自分で作曲して歌った曲で、のちにマヘリア・ジャクソンも歌っています。こういったタイプのゴスペルが、後のソウル・ミュージックに大きな影響を与えています。

M3「Joshua Fit The Battle of Jericho」The Golden Gate Quartet
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 ゴールデン・ゲイト・カルテットは、1930年代に結成された、いわゆる「ジュビリー・スタイル」のカルテットです。アメリカでは「バーバーショップ・ハーモニー」という言葉が、白人のヴォ―カルグループによく使われますが、彼らは、いかにもその雰囲気を持つグループです。
この曲は、彼らが1946年に収録した、古くからあるスピリチュアルの曲です。

M4「Mary Don’t You Weep」The Swan Silvertones
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 ザ・スワン・シルバートーンズは、本格的なゴスペル・カルテットのうちの一つで、1938年に結成されました。
この曲は、昔からあるスピリチュアルの曲ですが、発表された1959年においてはモダンなヴァ―ジョンです。

M5「Uncloudy Day」The Staple Singers
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 少し異色のカルテット、ザ・ステイプル・シンガーズ。ミシシッピ生まれのローバック・ポップ・ステイプルズと、彼の子どもたちで、50年代に結成されたグループです。その子どもたちの中にいた、メイヴィス・ステイプルズは、80歳になった今でも活動を続けています。
 ザ・ステイプル・シンガーズは50~70年代まで、実に素晴らしいゴスペル・ミュージック作り、のちに「メッセージ・ソウル」と呼ばれる楽曲を多く残しました。
 この曲は、1956年に発表された、 ザ・ステイプル・シンガーズ初期の曲です。