#16『I got rhythm 音楽が生まれる時』 概要と選曲リスト

是非これを見ながら聴いてください!


今月のテーマ:「The World of Black and Blue」(第8回:ビバップ)
パーソナリティ:ピーター・バラカン(ブロードキャスター)


リズムが見える

新しい音の中に

新しいスタイルの中に

新しい試み ビバップの中に

絵本『リズムがみえる I see the rhythm』(サウザンブックス社)より
(文:トヨミ・アイガス、絵:ミシェル・ウッド、翻訳:金原瑞人、監修:ピーター・バラカン)


<番組のトーク・パート(概要)と選曲リスト>

― 今月は、ブラック・ミュージックの歴史を描いた絵本『リズムがみえる I See the Rhythm』を基に、ブラック・ミュージックの歴史を紐解いていきます。今回のテーマは「ビバップ」です。

スウィング・ジャズまでは、ジャズは完全なダンス・ミュージックでしたが、1930年代の終わりの戦時中に、一部の黒人ミュージシャンたちが、かなり難しいインプロビゼーションをするようになり、ジャズは次第に「踊る音楽」から「鑑賞する音楽」に変わっていきます。
変化が起こり始めたのは、1940年代からですが、第二次世界大戦でミュージシャンのストライキがあったり、ミュージシャンが兵隊に取られたりしたため、残念なことに、ちょうど形になろうとしている時期の「ビバップ」のレコーディングがほとんどありません。
そのため、今回お送りするのは、ビバップができる前と、完成した後の音楽ということになります。

M1「Body and Soul」Coleman Hawkins
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 伝説のテナーサックス奏者、コールマン・ホーキンスの1曲。少しずつビバップに向かっていくジャズの姿が聞こえるかもしれません。

-次は、数少ない、ビバップが形になろうとしている時期の録音を。

M2「Down on Teddy’s Hill」Charlie Christian
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 公式にレコーディングされたものではなく、ライブの音声を、おそらく観客がひそかに録音したものです。それがずいぶん後の時代になって、レコード化されました。音質は良くありませんが、演奏は素晴らしく、この時代の音楽としては画期的なものだったはずです。1941年の演奏で、会場はニューヨークのハーレムにあったミントンズ・プレイハウスです。
チャーリー・クリスチャンは、ベニーグッドマンのグループで有名になったギタリストで、トランペットを演奏しているのはディジー・ガレスピーです。

―戦争が終わると、普通の録音がまた行われるようになります。そのころには、もうビバップはほぼ形になっています。

M3「Ornithology」Charlie Parker
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 ビバップを牽引した中心人物のアルトサックス奏者、チャーリー・パーカーの初期のレコードから1曲。1946年の曲で、当時は革命的に斬新な音楽でした。トランペットではマイルス・デイヴィス、テナーサックスはラッキー・トンプソンです。

M4「In Walked Bud」Thelonious Monk
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

絵本『リズムがみえる I see the rhythm』のビバップに関するページでは、セロニアス・モンクについて、「ピアノの斬新なハーモニー」と書かれています。
彼はあまりにも斬新だったため、デビュー当時は冷遇され、評価されるようになるまで20年近くかかりましたが、彼はすべてのビバップの革新者たちの中でも、コンポーザーとして、今でもとても高い評価を受けています。
この曲は、40年代の録音で、曲名「Bud」は、バド・パウエルというビバップで有名なピアニストのことです。セロニアス・モンクの良き友達でもありました。

M5「Cubana Bop」Dizzy Gillespie
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 最後は、2曲目のチャーリー・クリスチャンの曲でトランペットを演奏していたディジー・ガレスピーの曲。彼はチャーリー・パーカーと一緒に、ビバップの中心人物になりましたが、キューバの音楽の要素を取り入れた点が画期的でした。
絵本『リズムがみえる I see the rhythm』にも「チャノ・ポソのコンガのラテンのリズム」と書かれていますが、これがまさに、ディジー・ガレスピーのグループに関わった、キューバ人のパーカッショニスト、チャノ・ポソのことです。