▼音声はコチラ!
https://park.gsj.mobi/voice/show/12770
『市場界隈 那覇市第一牧志公設市場界隈の人々』(本の雑誌社)という本を出された、ライターの橋本倫史さんをお迎えしました。
那覇にある、アーケードがある市場「第一牧志公設市場」。沖縄の台所!
ここが、今月、6月16日に今の建物で営業が終了して、老朽化のために建て替えとなる。ということで、この市場の記録を本にされました。
この市場周辺のお店、なんと30店の方が登場します。
お肉屋さん、お魚屋さん、果物屋さん、おみやげ屋さん、喫茶店、居酒屋などなど業種も様々。
★地元ではない沖縄に足を運ぶきっかけは?
橋本「今日マチ子さんが描かれた『cocoon』という漫画があるんですね。この漫画が2013年に劇団「マームとジプシー」が舞台化するというのがありまして。この作品は沖縄の<ひめゆり学徒隊>を舞台にしたということで、稽古に入る前に皆で沖縄に行こうとなりまして。僕は「マームとジプシー」の人たちを取材していたというのがありまして、僕もその旅に同行させて頂いたんです。その時に沖縄をあちこち見て。そこから毎年沖縄に行こうと思いまして、縁が出来ていってこの本に繋がりました。」
太福「この本の取材のために、どれくらいの頻度で沖縄に足を運ばれたんですか?」
橋本「実際に取材を始めたのが去年の6月からだったんですけど、この1年間は月に1度1週間のペースで沖縄に。人からはすごい羨ましがられましたけど(笑)」
太福「牧志公設市場、戦後の闇市がルーツで、72年の本土復帰の頃に現在のアーケードになったということですが、こちらが、今回、建て替える、ということは全て壊してしまうんですよね。なぜ、この市場の記録を残そうと思われたのでしょうか?」
橋本「なんでしょうね…。公設市場の2階に古い写真が沢山展示されてるんですよね。それを見ると何十年前の方々が写真のなかにいらっしゃって姿は残ってるんですけど、ひとりひとりがどういう方で、どういう風に過ごしていらっしゃる方なのかはやっぱり記録に残っていなくてですね。折角記録するのであれば、市場で働いていらっしゃる方々がどんな時間を過ごしたのか出来る限り聞いて回りたいなと思いました。」
★どのように人生を引き出す?
橋本「まず話を聞かせて頂く状態に持っていかなきゃいけないんですよね。すごく胡散臭いというか怪しいひとですよね(笑)なので沖縄に行くと朝から晩まで市場の周辺を歩き続きまして。」
太福「それはそれで怪しいですね(笑)」
橋本「そうですね(笑)とにかく記憶に残ろうと思いまして。ただおっしゃった通り不審者になってしまいまして。逆に“いつも歩いてますけど何をされてるんですか?”と聞かれてしまいました(笑)」
太福「(笑) そこからどのようにして?」
橋本「市場にいらっしゃるので皆さん忙しく仕事をされてるんですよね。一瞬の隙を常に見計らっていました。ただお話も一回で聴ききったわけではなく、またタイミングを見てって引き取ったりとか。時間は注ぎましたね。」
★ライターとしての思い
「どんなお店も100年後はかろうじて残ってるところもあると思うんですけど、1000年経ったらほぼないですよね。だからいつか終わってしまう事は決まってると言うか避けられないなかで、せめて記録としてそこにお店が、働いてる人がいたっていうものを残しておけたらという気持ちはありますね。」
橋本倫史さん、ご自身でリトルプレスという形で、いくつか雑誌も出していらっしゃる。その一つに『月刊ドライブイン』というのもあります。
全国200件ほどのドライブインを回った!『ドライブイン探訪』という書籍になって筑摩書房から発売中です。様々な失われゆく景色を記録されました。
▼橋本倫史さんTwitterアカウント
https://twitter.com/hstm1982