音楽に残された最後の快楽とは?

『ムッシュかまやつKeep on Running~愉快にやろうぜ!“シ・ク・ヨ・ロ”アンソロジー』#5



2007年4月放送より

「性能の良いカメラはあまり“ぶれない”でしょう? でも、場合によっては、ちょっとピンボケしている方が迫力出たりして“ぶれる”面白さというのもあるんだよね」


「僕、思うんですけどね、最近、音楽も悪い意味で“ぶれていない”んじゃないかな? リズムは打ち込みでカチカチ、演奏もカチカチ。例えば、アフリカを起源とするような民族音楽はその辺が実に微妙というか曖昧で、ちょっと1拍が長いんじゃねぇのっていうのが入ってきたりする。計算していないんですよ。なのに、4小節ぐらいでビタっと合ったりして、それが逆に気持ちいいとかさ。あれは中々、俺たちには出来ないワザだよな。DNAだとしたら諦めるしかないんだけれども、とにかく、カッチリした音楽はグルーヴが感じられないね。その点、人間の声はどんな人でも絶対に“ぶれる”、それが良いんだよな」


「グルーヴってさ、音楽に残された最後の快楽だと思うんだ。音楽におけるエロティックというのはグルーヴ感だったりするわけですよ」


「“ぶれていない”といえば植木等さん。あの方は、日本のジャズ・ギタリスト人気第1位だったことがあるの。確か1950年代の終わりぐらいだったはず。クレイジー・キャッツは元々、ジャズ・バンドで、コメディ・バンドとして認知されたのは1960年代になってからなんですよ」


「植木さんには何度かお会いしたことがありますが、とにかく生真面目。けれども、ブレイクしたアイテムが無責任なイメージだったから、自分とは違うキャラを全うした。これも“ぶれていない”ということだし、凄くカッコいいなと思います。そういう意味では、私、“ぶれて”いますね(笑)」


*次回は5月6日(月)午前7時頃更新!


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