FUTURES ラジオ版学問ノススメ 蒲田健の収録後記

ゲスト:辻村深月(作家)

友達だからさ

辻村深月さんの最新刊「小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記」

生粋のドラえもんラヴァーである辻村さんに映画版の脚本依頼がきたのは数年前。その時は畏怖の念が強すぎるあまり一度お断りしたという。しかし毎年当たり前のように公開されるドラえもん作品の制作者サイドと知己となり彼らのプロフェッショナリズムにふれていくにつれ、これは愛を持ったプロたちが真剣に思いをつないできたバトンリレーであることに思い至り、愛する者の一員として引き受けることになる。
そして舞台として選んだのが、月。

ドラえもんは夢のあるファンタジーである。しかし荒唐無稽一辺倒ではない。自然物理法則などの現実世界の原則はきっちり踏襲し、その上でひみつ道具が活躍の場を広げる。

さて、我々にとって最も身近な天体である月。アポロ計画以降、その科学的な知見はファクトとしてかなり積みあがってきている。したがってその部分は勝手に改変することはできない。
その大前提の上にいかに話を作っていくことができるのか。
プロの本気の想像力・創造力の凄みがここにはある。

子どもたちはみんな大好きなドラえもん。しかしこれを子どもたちだけのものにしておくことは正直もったいない。大人たちも存分に堪能すべし。

「現実の 連続線上にある
       ここにいるかも それドラえもん」


P.S. “ドラえもんが地ならしをしてきてくれたおかげでファンタジーの浸透度が格段に上がった”という趣旨の発言に大いに首肯いたしました。ドラえもんなかりせば「かがみの孤城」もなし。ありがとう藤子・F・不二雄先生!