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2月27日(水) 【ダイアローグスペース】 末井昭さん、弓指寛治さんをお迎え!<音声あり>

『自殺会議』(朝日出版社)の著者・末井昭さん、画家の弓指寛治さんをお迎えしました。

▼音声はコチラから!
http://park.gsj.mobi/voice/show/11227







【海猫沢めろん】
末井さんは自殺のことを書こうとおもったきっかけは何だったんでしょう?


【末井昭さん】
2009年に朝日新聞で自殺防止キャンペーンのインタビューを受けたんですよね。
その記事のった新聞を読んだ朝日出版社の人から
「本に面白く書いてもらえないか」と話が来ました。
ただ渋っていて、その時に東日本がきたんですよ。
そこで人の心に届くようなことをしたいと思って、それがきっかけですね。


【海猫沢めろん】
今回の自殺会議では自殺に関わりのある人にインタビューしたものを
まとめたということですが・・・
取材や対談で印象的なことって何でしたか?


【末井昭さん】
話しをしていてみんな面白いんですよね。
東尋坊の用心棒の人は崖から飛び降りる人を止めるんですが、
それでも飛び降りる人がいるんで、首をつかんで止めるんですよ。


【海猫沢めろん】
これはどういう人選だったんですか?


【末井昭さん】
以前の著書の『自殺』でかかわった人をより掘り下げたり、
新たに見つけた人にきいたりしましたね。


【海猫沢めろん】
海部町は島以外で自殺率が日本一低いんですね。
いろいろ調べた結果、日照率が低いと自殺率が高いんですよね?
あと、日照率が低いと閉鎖的で外に出られないっていう。
で、海部町はいい感じにお互いに無関心ということで。


【末井昭さん】
徳島にあるんですが、いまは海陽町という名前になっています。


【海猫沢めろん】
風土が良いんですかね?人ですか?


【末井昭さん】
街が木材の搬出とかで栄えていて、漁師さんがいるので海の幸も多い。
また坂が少なく、道が平坦なので自殺率に関係しているみたいです。


【海猫沢めろん】
つまり、交通アクセスってことなんですね。
弓指さんは自殺をテーマに描くようになったのは、お母様なんですよね?


【弓指寛治さん】
そうです。2015年の10月23日に亡くなって、けっこう鮮度高い感じです(笑)


【海猫沢めろん】
そのときは大変だったですよね?


【弓指寛治さん】
めっちゃ大変でしたね。
交通事故から3か月後に自殺してしまって、その間をずっと見てきました。



【海猫沢めろん】
弓指寛治さんは死者と向き合う絵を描かれていますが・・・
絵を描くことによって何か変化はありましたか?


【弓指寛治さん】
ありました。
基本的に母のことから始まっているので、
亡くなった方に対してどういったことができるのかということをずっと考えていて、
宗教的なものですくいきれないものを芸術で何ができるかということをしています。
現状、“人は死んで終わりじゃない”ということを感じるようになりました。
特に自殺の場合に対してやりたいのは、“絵で表現する”ということです。
それでどんどん死者のイメージが“悲しい”だけじゃなくて、
それ以外の部分がいろいろ見えてくる気がしてきて、
その人たちと一緒に人生を歩んでいっても良いんじゃないかと思っています。


【末井昭さん】
ぼくは母親が応援してくれていると思う時があるんですよ。
死んでいるんだけど、死んで終わりじゃないって感じはしますね。


【海猫沢めろん】
どうしたらそういう感じになるんですかね?


【弓指寛治さん】
話をちゃんと聞いてくれそうな人を大事にするということですかね。


【末井昭さん】
自分の外に出すということが大事ですよね。


【海猫沢めろん】
自助集団に行ったりしましたか?


【弓指寛治さん】
行きましたね。自分が一番辛い人間なんじゃないのかって思っているときに。
自分より辛い思いをしている人を見たかったんですよ。


【海猫沢めろん】
そういう話を聞くと自分の話が相対化できるんですね。
弓指さんは早い段階で絵を描かれたじゃないですか。
末井さんはけっこう長かったんじゃないんですか?


【末井昭さん】
7歳で亡くなったのですが、20歳まで人に言わなかったですね。
やっぱりずっとモヤモヤしていました。
言えないことを抱えているということで。


【海猫沢めろん】
末井さんは弓指さんの絵を見てどう思いましたか?


【末井昭さん】
小さくてあまり見えなかったけど、熱量がすごく感じましたね。
もうちょっとちゃんとみたい!っていう欲望がうまれて、弓指さんの家まで訪ねました。



【海猫沢めろん】
弓指さんの個展が3月2日から始まりますが・・・
個展にはどのような人がお越しになるのですか?


【弓指寛治さん】
現代アートが好きな人はもちろんなんですが、
現代アートにまったく興味が無くて、人の生死に興味がある人もいらっしゃいます。
例えばお医者さんの卵の人で、死を受け止められない人とかですね。


【海猫沢めろん】
弓指さんは末井さんの『ダイナマイト心中』を描いてみて、
どのような気持ちを抱きましたか?


【弓指寛治さん】
いつも絵にするときは資料などがあるんですが、
今回は末井さんの記憶だけだったんです。
だからどう取り組もうか苦労したのですが、実際に末井さんと地元に行ったんですよ。
そこで末井さんからのお話を聞いていくうちに、だんだんイメージがわいていきました。



【海猫沢めろん】
末井さん、いま生きづらいと思っている人方へアドバイスを・・・


【末井昭さん】
生きづらくて当然だと思います。いまの時代って。
生きづらいって思っている人が正常だと思っているので、
劣等感を抱く必要はないと思います。
あとは、人は一人で生きられないと思うので、友達をつくるかして、
生きづらさを吐き出すようにしたほうが良いと思います。


【海猫沢めろん】
弓指さんはいかがですか?


【弓指寛治さん】
罪悪感があると思いますが、それ自体がしょうもないと思ってもらいたいです。
だから罪悪感に負けないでください。相手にしなくていいです。


【海猫沢めろん】
そう思えるまでどれくらいかかりましたか?


【弓指寛治さん】
3年!(笑)


【海猫沢めろん】
3年か~、長いな~(笑)
末井さんはどれくらいかかりました?


【弓指寛治さん】
ぼくはあまり罪悪感もってなかったんですよね(笑)
人に言えなかっただけで、それが辛かったです。



▼末井昭『自殺会議』(朝日出版社)
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784255010939


▼弓指寛治さんの個展情報はコチラ!
https://bijutsutecho.com/exhibitions/3579

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