ゲスト:酒井順子(エッセイスト)
自分たちは、昭和の最下級生。
酒井順子さんの最新刊「駄目な世代」
1966年・丙午。十分に現代の範疇に入る時代であるにもかかわらず、この年に生まれる子どもが災厄をもたらす、という科学的根拠のない迷信の類が出生率に大きな影響を与え、前後の年に比べて新生児の数が極端に減少した。
そして時は流れ青年期を迎えるころ、世は空前の好景気の真っ只中。
彼らは後に「バブル世代」と命名される。
生まれながらにして同年代のライバルが少なく、経済的要因も大きな追い風となって、社会人デビューまですんなりとたどり着いてしまった。「苦労知らず」「ひ弱」と何かと揶揄の対象になる。そんな丙午生まれの女性=“ひのえウーマン”である酒井さんは、自らの世代を「駄目な世代」と喝破する。
自虐的であり、取りようによっては挑発的ともいえる表現だ。だがそこに嫌味や肩ひじ張った力みはない。ゆるーく来し方を検証し、それによって導かれる推論はさもありなんというところに軟着陸する。
総論としては「駄目」である。でもまあそれはそれでいいのかもというぬくもりや包摂感、そんな不思議な読後感をあたえる世代論だ。
「好きなのは 汗と涙と ド根性
時代遅れと わかっちゃいるけど」
P.S. 私自身丙午生まれの“ひのえマン”であるということもあり、耳が痛いながらも素直に認めざるを得ない身に覚えのある指摘の数々でした。それを見出す酒井さんの慧眼、そしてそれを笑い飛ばすセンス、ただでは転ばぬひのえウーマン、あっぱれ!