FUTURES ラジオ版学問ノススメ 蒲田健の収録後記

ゲスト:能町みね子(漫画家、エッセイスト)

私小説です、たぶん。

5歳の記憶。大人はみな子ども扱いするが、実は想像以上に物事の本質は理解している。身体的、社会的、経済的にはハンデがあるので表立っては言えないけれども、ホントはちゃんとわかっているのだ。

個人的に自分の同時期のことを振り返ってみても、そういう感覚があったという記憶はある。そういう意味ではこの感覚は能町さんだけの特殊なものではないのかもしれない。しかしここからがただごとではない。
その時の感性の鮮度を保ったまま、子どもの言葉で、破綻なく表現しきっているのだ。まるで心と体は子供のままで、口だけが大人としての落ち着きを持っているかのように。

これが能町さんを異才たらしめている。子どものこころを大人の言葉に翻訳する力が尋常ではない。

子どもは“小さな大人”であることに、大人はもっと自覚的であっていいのかもしれない。か弱くとも気高い子どもを子ども扱いすることへの、みずからの反省、自戒の念もこめて。

「あの頃の 気持ちをいつか 忘れちゃう
      みんな 子どもだった はずなのに」

P.S. 5歳当時の能町さんが描いた絵があしらわれた本の表紙も必見です。栴檀は双葉より芳し!