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1月16日(水) 「ダイアローグスペース①」 写真家の平間至さんをお迎え!

タワーレコードの「No Music, No Life?」キャンペーン・ポスターの撮影など新しいスタイルを打ち出した写真家・平間至さん。2015年「平間写真館TOKYO」をオープン。

▼音声はコチラから!
https://park.gsj.mobi/voice/show/10619







【海猫沢めろん】
平間さんくらいの方が突然、写真館をやるってあまりないですよね?


【平間至さん】
けっこう少ないと思います(笑)


【海猫沢めろん】
写真館を始めたのは何かきっかけがあったんですか?


【平間至さん】
まずは実家が写真館だったんですね。
うちの祖父が昭和初頭から、そして父の代が2000年ぐらいまで宮城・塩釜でやっていました。
だから、ぼくで3代目ですね。


【海猫沢めろん】
宮城だと被災されなかったのですか?


【平間至さん】
震災の時はギリギリ浸水していないという感じで、いまだに建物は残っています。
震災直後の11日目には戻れました。


【海猫沢めろん】
では、その時の写真も撮られたんですか?


【平間至さん】
撮ろうと思ったのですが、あまりにも悲惨で広範囲すぎたので、個人で記録するようなレベルじゃないなと感じました。
あと自分は今まで、人の躍動感や活き活きした瞬間を残してきたのに、
今回の光景を撮るのは自分を否定してしまうんじゃないかと思っていました。

避難所でぼくが写真館の息子だってわかると、おばあちゃんたちが成人式のときの写真をみせて、
『この写真だけを持って逃げたんだ』って言っている場面に何度もあいました。


【海猫沢めろん】
写真っていま“モノ”じゃなくなっているじゃないですか?
データだったり、雑誌に載っている写真だったりで、「自分が所有しているモノ」ではなくなっていますよね。


【平間至さん】
以前はプリントで持っていたのが、今ではインスタグラムなどのネット上で管理して。
所有の仕方がだいぶ変わりましたよね。


【海猫沢めろん】
でも、平間さんの写真館ではそれがモノになっているということですよね?


【平間至さん】
そうですね。モノにする大切さを伝えたいというのがありますね。
震災で写真が落ちていたら拾われることはありますが、ハードディスクはだれも拾わないんですよね(笑)







【海猫沢めろん】
写真館はどういう方が来られるんですか?


【平間至さん】
ぼくの写真を以前から好きだったという方が多いですね。
あとは予約制なので、ネットや電話で予約した方が来られます。


【海猫沢めろん】
遺影を撮りに来られた方がいたとか聞いたのですが・・・。


【平間至さん】
とても印象的だったのですが、年齢的には70歳くらいのおじいちゃんですね。
末期がんで、
『昨日告げられたんだけど、元気なうちに写真を撮りたい。命は数か月しかない』
って言われて、撮影をしました。
最初は表情がぎこちなかったのですが、撮っていくうちに楽しそうに撮影をされていました。

で、その2、3か月後に亡くなってその方の仏壇に手を合わせにいったんですね。
そしたらぼくの撮った活き活きとした表情の写真が飾ってあって、まさに目の前にいるような印象を受けました。
その時に、『写真というのは、魂の居場所になるんじゃないか』と思ったんですよ。
だから魂の居場所として、肉体と写真。これが2大居場所だと思っています。
肉体は行動ができるけど劣化してしまう。写真は行動はできないけど劣化しない。という風にとらえています。


【海猫沢めろん】
平間さんってかなりのベテランですが、それまでにそういう経験はなかったんですか?


【平間至さん】
それはなかったですね。
写真館というのは命と向き合うものなんじゃないんですかね?
出産や七五三、結婚などの命の節目に立ち会う瞬間を撮るというのが写真館にあると思っています。


【海猫沢めろん】
それまでは平間さんにとって、写真を撮るということはプライベートなことだったんじゃないですかね?


【平間至さん】
というよりはメディアの中でやっていたというのは“消費的”ですよね。
広告にしろ雑誌にしろ、掲載期間が決まっているじゃないですか。
そこで消費されますが、写真の特徴というのはその状態で長く残すことができる。という部分ですので、
写真館は写真の特徴をとても活かすことができると思います。


【海猫沢めろん】
平間さん自身も変化して、被写体となる周りの環境も変化していったんですね。


【平間至さん】
メディアの写真と写真館の写真の違いは・・・
写真館では被写体がクライアントであり、鑑賞者ですね。
それに対してメディアでは、お金を出す人・被写体・プランナー・鑑賞者の全部が別なんです。


【海猫沢めろん】
同じ写真でも、前やっていたのはマスメディア的で、いまは昔のアートがパトロンで回っていたやり方じゃないですか。
その方がより純化しているイメージですね。


【平間至さん】
そこは狙っていないんですが、結果的にそうなりましたね。
それの集大成が今やっている「平間至写真館大博覧会」ですね。







【海猫沢めろん】
これはどんな写真が置かれているんですか?


【平間至さん】
写真館を始めた2015年から去年いっぱいまでの写真館のなかだけの写真を選びました。


【海猫沢めろん】
お客さんの?でも嫌だとは言いませんもんね。


【平間至さん】
ほぼ皆さん快諾してくださって。
昔、写真館に飾るとものすごく喜んでもらえたのに近い感じはありますね。


【海猫沢めろん】
何点ぐらい飾られているのですか?


【平間至さん】
100点弱くらいですね。
けっこうなボリュームがあると思います。
ぼくの型をお客さんにはめるのではなく、その人らしい写真をどう引き出すか。というのがテーマです。


【海猫沢めろん】
いまだにぼくも、写真撮られるのは身構えちゃいますね。


【平間至さん】
だいたい撮られるのを忘れたころにいい写真ってとれますからね。


【海猫沢めろん】
写真を撮るコツとかありますか?


【平間至さん】
最終的には“愛”じゃないですかね?
その被写体をどれだけ愛しているかということです。


【海猫沢めろん】
ぼくの周りにもアートが好きな人が多いのですが、技術論派と精神論派がいるんですよね。


【平間至さん】
技術というのは自分を解放させるためにあると思うんですよね。
『こう撮りたい!』と思っても技術が無いとできないと思うので。


【海猫沢めろん】
写真館で「ココを見てほしい!」というポイントはありますか?


【平間至さん】
会場入ると、最初は真っ黒の部屋なんですよね。
モノクロは存在、カラーは意識を伝える写真だと思っていて、
“自分がこう思っている・世界はこうあってほしい”というのはカラーで、
モノクロでは被写体の存在を写している、というように分けています。


【海猫沢めろん】
“りんごの色が赤いかどうか”って哲学でよく出てくるんですけど、
犬って白黒で見てるし、昆虫も別の見え方だし、こうもりは音波で見てるじゃないですか。
だから、“赤”でも人によって見え方が違うんですよね。



2015年からプロデュースをされている「平間写真館TOKYO」で
撮影されたポートレイトを中心とした写真展「平間至写真館大博覧会」が
現在、東京で開催されています!


新宿 ニコンプラザ THE GALLERYにて1月28日(月)まで。
1月26日(土)は「吉原家の140年」という
平間至さんと映像作家・吉原悠博さんとの対談イベントもあります。

大阪 ニコンプラザ THE GALLERYでは、
2019年3月28日(木)~4月10日(水)まで開催です!
是非、足を運んでみて下さいね♪


「平間至写真館大博覧会」
https://www.nikon-image.com/activity/exhibition/thegallery/events/201706/20190105_tg.html

「平間写真館TOKYO」
http://hirama-shashinkan.jp

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