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フリーソフト「めもりーくりーなー」の開発者で
2016年には、情報社会の最先端で、過酷な日常を生きるIT技術者たちの、
ブラックなリアルを描いたミステリー
『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬(かしきどう けいま)』で
小説家デビュー(文藝春秋)
そして、先月『レトロゲームファクトリー』という小説が新潮文庫から発売されました。
―――メインのお仕事はプログラマーですか?
「プログラミング関係の仕事が増えていったという感じで、ほかにもゲームのライセンス料やサイトの広告料とかマンガ、小説など・・・バラバラですね。」
―――小説を書くのは大変でしたか?
「書いて送っても何が悪かったか全然わからないので大変でしたね。プログラムはデバッカーを通せばなにがエラーなのかわかるのですが、小説はそれが一切わかりませんからね。試行錯誤に時間がかかって、デビュー1年前に松本清張賞の最終候補になったときに、フィードバックをもらって『ここ直せばいいのか!』となるのですよ。それがわかるまでが長かったので、編集者は重要ですよ。」
―――そのフィードバックで分かったことは何ですか?
「“人間を書く”ということです(笑)。選考委員全員が『人間を書け!』と言ってて(笑)。それで人間の過去シーンを書くようになったのですよ。今まではジェットコースタームービーを書いていたのですよ。ジェットコースタームービーは登場人物を掘り下げないので、そこで『登場人物はきっちり書いたほうが良いのだな』と思ったのですよ。」
―――小説とプログラミングは似ていると思いますが、自分では気づけませんでしたか?
「一番の問題はデバッカーが自分だったということです。自分の感情が動いていても他人の感情が動くとは限らないので、今は『この人ならこうつっこむかな?』というように、他人の視点を入れるようにしています。」
―――デビュー作がプログラマーのブラック企業小説ですが、実体験ですか?
「基本的に泊まりこみで仕事をしていましたし、会社の隣に住んでいたのですが、ほぼ毎日会社に泊まっていました。ただIT系の仕事をしている人は会社員の人もいればフリーランスの人もいると思います。フリーランスの人は自由気ままにしているひとも多いですよね。腕一本でお金を稼いであまった時間を好きなように使うという。」
―――ぼく(めろん)の弟が一時期システムエンジニアでしたが病んで辞めました(笑)
「IT系の方と一緒に仕事するとだいたい3年で3人くらい担当が変わるんですよね。みんな病んで辞めるんですよ。だからちゃんと休むことも大事です。精神壊す前に会社を休む。ぼくの小説を読めば『壊れる手前で辞めればいいんだな』ってわかるようになります(笑)。」
―――プログラマーと小説の関係はありますか?
「近いといえば近いですが、全然違うともとれますね。好きな時間に仕事ができるという面では非常に似ていますし、モノを作るという意味では似ていますね。」
―――プログラマーから小説家へ転職すると役立つスキルはありますか?
「役立っていたら12年かかってないですね(笑)。ただプログラマーも小説もコツコツ書くという意味では役立つかもしれないですね。」
―――柳井さんの新作『レトロゲームファクトリー』ですが、どのような人に刺さりますか?
「当時ファミコンとかで遊んでいた30~40代の人や、趣味に生きている人ですかね。」
▼柳井政和さん ツイッター
https://twitter.com/ruten?lang=ja
▼レトロゲームファクトリー 新潮文庫
https://crocro.com/novel/item/retro-game-factory/
▼裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬 文藝春秋
http://crocro.com/com.crocro/novel/item/uragiri-no-program/