ゲスト:根本一徹
棚を揺らさなければ、ぼた餅は落ちてこない
ご自身の自死防止活動に取り組む姿がドキュメンタリー映画「いのちの深呼吸」で描かれる、僧侶の根本一徹さん。
失礼ながら、生まれながらの聖人君子ではない。やんちゃもして、稼いだ金でただ快楽だけを得られればいいと考えていたともいう。奔放な生活の果てにバイク事故で死線をさまよい、そののち仏門に入った。
年間2万人以上が自ら命を絶ってしまう現代日本。
ご自身若いころに近しい方を自死でなくしている。それに対してなぜなのかと問いかける。
連絡先を公開し、悩む人たちの発信を受ける。話を聞き、一緒に悩み、迷い、そして寄り添う。唯一絶対の魔法の答えを授けるわけではない。ただひたすら寄り添う。
今、ボランティア活動がかなり一般化してきている。利他の精神が当たり前のように発露される状況はとてもすばらしい。一方で、自死問題、となると多くの人が一歩引いてしまう。素人の自分には専門知識もスキルもないし、医療専門家、カウンセリング専門家の領域で入り込めないフィールドとして敬遠してしまうのだ。
だがそうではない、と根本さんは言う。ひたすら寄り添い話に耳を傾けることで必要十分なのだと。そして実は話を聞く側も、気づき学びを得られる双方向の営みでもあるのだと。正解を教え授ける一方通行ではない、だからこそ素人の出番。
任意団体「一徹.net」も立ち上げた根本さん。“最強の素人集団を作りたい”という思いが熱い。
「生きる意味 自問自答を 繰り返し
ひとに寄り添う これでいいのだ」
P.S. 自分にとって本当に大切なものはなにか、それを改めて考えさせてくれる映画、そしてお話でした。ご自身のお体もくれぐれも大切にされて活動を続けられること、ご祈念しております。
OA曲「YOU'VE GOT A FRIEND」CAROL KING