FUTURES ラジオ版学問ノススメ 蒲田健の収録後記

ゲスト:池澤夏樹(作家)

「始まりと終わり」、ではなく、「終わりと始まり」

池澤夏樹さんの最新刊「終わりと始まり 2.0」

モノ申し続ける作家である池澤さん。口調は激高しているわけではない。ある意味淡々と理を積み上げてゆく。しかし根底にある思想は極めて骨太である。

月一で新聞に連載しているコラムをまとめた今回の一冊。2013年から2017年までのものが収められている。震災への対応、トランプ政権の誕生、アラブの春の失敗・・・この間に起こった様々な問題。

本音を言えば政治的なイシューは積極的には取り上げたくない、という池澤さん。いくら論を展開しても、暖簾に腕押し、馬の耳に念仏というような反応に徒労感が募るから、というのが理由。しかしそれでも黙り込むことはしない。なぜなら、無関心、が最悪の選択であるから。

複雑にこんがらがってしまった諸問題を一刀両断に解決する術はない。個別に丁寧に解きほぐしていくしかないのだ。そのためには一つ一つの事象に関心を持って向き合うということを怠ってはならない。効率は悪い。エネルギーを必要とする。しかし地道に積み上げてゆけばいつかは結果が伴うはずである。


「何度でも 時には手を変え品を変え
           言い続けてゆくのが肝心」


P.S.最後に「○○ですよね?」という質問を投げかけたときに「そだねー」と答えそうになったと、収録後におっしゃっていました。さすが道産子!