FUTURES ラジオ版学問ノススメ 蒲田健の収録後記

ゲスト:柳美里さん(作家)

死者たちは生者の悲しみを優しくゆすってくれる

柳美里さんの最新刊「春の消息」

現在、福島県南相馬市を拠点に活動している柳さん。ご縁があって、死生観などをキーワードに日本の思想を研究している東北大学教授・佐藤弘夫さんと知り合う。そして、造詣の深い佐藤さんに解説していただきながらの東北の霊場巡りが始まった。

死を、忌み嫌うべき怖いものとして遠ざけて扱うようになったのは歴史的には比較的最近のことで、かつてはもっと人の身近にあるものであったようだ。

死後の世界を想定しない民族は未だかつて存在しないという。それはつまり、人は死者を必要とするということ。
人生のストーリーは死後の世界と死者を組み込むことによって完結し、その時初めて、人は深い心の安らぎが得られる。死と触れ合う時間・場所があることによって、生がふくよかになる。

大災害に見舞われた東北だからこそ、死者と共に生きる意味を問うことは、意義深いことである。

「死を悼み 語り継ぐこと それこそが
          人を人たらしめることかも」

P.S.様々なアクションを鋭意続行中の柳さん。書店・小劇場のオープン、劇団の再結成、など、今後の動きも要チェックです!