2017.5.24~ 「奇跡のNY公演。すべては、酒場から始まった!」

第139回 ゲストは、歌舞伎俳優の中村扇雀さんです。 

1995年、34歳のときに 3代目中村扇雀を襲名されました。
「僕は今振り返ると、自分自身の意思はなくて、
 勢いだったような気がしますね。今思うと。
 阪神淡路大震災のときが襲名の年で、今年22年目、
 1月17日になるとNEWSで月日を感じますね。
 ただ、その名前が体に馴染むまで、時間がかかりますよね。」
名前の歴史、先代のカラーなどを背負いながらも、
自分のカラーを足していく事が、大切だとも扇雀さんはおっしゃいます。
「カラーを塗り替えるわけにはいかないですから、
 その上にカラーを乗せていくんです。」

最近では、ガイドを聞きながら歌舞伎を観れるようにもなり
若い世代にも歌舞伎を身近なものへとしていく工夫がされています。
歌舞伎の入門として、中村座がオススメとのこと!
「距離感が、歌舞伎座だと遠くて敷居も高いんですけど、
 そういう意味では、中村座はフラットなので
 初めての方には、中村座からは良いかもしれないですね。」

NYで公演もされている扇雀さんは、歌舞伎も、
様々な舞台の1つとして捉えて欲しいと感じているそう。
「歌舞伎は舞台の1つであって、特殊なものではないと僕は思っているんです。
 海外では、すごい舞台があるぞ、見に行こうよ、というのと同じように
 日本から歌舞伎が来るらしい行こう、という感覚で来ていただけるんです。
 “何を見せてくれるんだ”という欲望の塊みたいなお客様なんです。
 特にNYはそうで、つまらないと口コミで叩かれるんです」
NYでは、NYタイムズの劇評が大きな権威を持ち、
その評価によっては、2度とこの舞台に戻ってこれないこともあるそう。

NYでの公演していた当時も、この劇評を役者全員が注目していました。
そんな中、初日から1週間。
ホテルの部屋にいた扇雀さんは、勘三郎夫人から電話で呼び出されます。
「勘三郎さんの部屋に行くと、主な役者が勢ぞろいしていて。
 そこにシャンパンが用意されていまして。夫人が ”出たわよ劇評”っていうと
 勘三郎さんが ”帰ってこれるよ。大絶賛だ。シャンパン飲むぞ”って!」
当時は、スパイダーマンが封切りで長蛇の列でしたが、
その劇評には “スパイダーマンよりも、中村座に行け。”とありました。

劇評が世に出た翌日、中村座の劇場の前には
スパイダーマンの格好をした客たちが “I NEED THE TICKET”という
プラカードを持ち、並んでいたそう。

6月には、名古屋平成中村座があります。
名古屋城で歌舞伎を楽しむチャンス、ぜひお出かけください!
http://tokai-tv.com/nakamuraza/

扇雀さんの ”人生のSpice “は、 『酒場』!
「酒場から、いろんな事が生まれるんです。 
 平成中村座も、飲んでいる席で、
 亡くなった勘三郎さんが
 ”小屋が原点だよね”って言ったことから生まれて。
 歌舞伎以外の、友達の輪もほとんど酒場で、
 お酒も好きなんですけど、そこに集まる人が好きなんでしょうね」

収録後も舞台に戻られた扇雀さん。
歌舞伎への愛が感じられる、たくさんのお話しありがとうございました!

M1. 口いっぱいの愛を / 杏子
M2. We Are The Champions / Queen
M3. Don’t Stop Me Now / Queen