【センター試験後継案】問題点とその影響

中西哲生と高橋万里恵がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「クロノス」。5月17日(水)の放送では、大学入試センター試験に代わって2020年度に始まる「大学入学共通テスト(仮)」について、慶應義塾大学大学院教授の岸博幸さんに話を伺いました。

文部科学省が16日、センター試験導入から約30年ぶりの入試改革として、新たな試験となる「大学入学共通テスト(仮)」を発表。そこではマークシート式に代わって国語と数学で記述式問題を取り入れるほか、英語では英検などの民間の資格や検定試験を導入する予定です。

「今回の改正はまったく評価していない。非常に不満に思っています」と話す岸さん。

大学入試のあるべき形について、「確かにそれなりに改善はされていますが、子どもたちに必要な能力は誰かが与えた問題に回答することではありません。社会に出ると、そもそも何が問題なのか自分で考えて決めることができないとまずいですよね。自分で問題を設定できる問題発見能力が必要なんです。そして自分が設定した問題に対し、クリエイティブな問題解決を行う能力も必要でしょう。普通のステレオタイプな答えはネット上にいっぱいあるんです。そうした能力が今までのような共通一次試験の延長や、手直し的な試験で見られるのかは疑問です」と私見を披露しました。

さらに岸さんは試験改正のスピード感のなさを指摘します。
「今回の改正は2020年からなんですよ。欧米ではさっき言ったような議論が進められていて、小学校からそういう教育を始めているところがあるにもかかわらず、あと3年でようやく記述式が増える程度では本質的には何も変わっていません。子どもを持つ親御さんには、こういうセンター試験はもう時代遅れだと、もっともっと先を考えて教育をしないと子どもは将来大変なんだという意識を持ってほしいです」とのこと。

センター試験の前身にあたる共通一次試験、最後のほうの世代でもある中西は、「試験は決まった答えに合わせて勉強すると思うんですけど、世の中自分が生きていく中で何が問題なのか、そして答えがいくつもあるかもしれないという状況に放り込まれたとき、自分が何ができるかが重要です。そして勉強したことをどう応用して使うかをいかに大学の試験に盛り込んでいけるかというのが課題だと思います」と話していました。