新政権の韓国。日米中、そして気になる北朝鮮との関係は?

中西哲生と高橋万里恵がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「クロノス」。 5月10日(水)放送の「WAKE UP NEWS」のコーナーでは、韓国で文在寅新政権が樹立し改めて国際関係にどのような影響が出てくるのか、講談社から『だまされないための「韓国」 あの国を理解する「困難」と「重み」』という著書を出版されたばかりの新潟県立大学教授・浅羽祐樹さんに話を伺いました。

5月9日に行われた韓国大統領選挙では、革新系最大政党「共に民主党」の文在寅氏が見事勝利をおさめ新大統領に就任。約9年ぶりに韓国の政権が交代しました。この結果について浅羽さんは「政権交代に対する韓国国民の思いが非常に強かったということだろうと思います」と言い、さらには「朴(槿恵)元大統領のスキャンダルが発覚し、弾劾、罷免、そして起訴と進んだわけですが、新しい政治を求める政権交代の熱狂が強かったんだろうと思います」とコメント。
政治家の汚職にまみれた既存政治からの脱却が若者層からも支持を得たと言われていますが、「このままの国の形ではダメだ、新しい国の形というものに対する模索というのがこれから韓国で始まっていくんだろうと思います」と浅羽さんは話します。

文在寅氏は人権弁護士として活躍し、盧武鉉大統領時代には政権担当をした経験もあり、その能力が発揮されることを期待されていますが、注目は対北朝鮮路線。
かつての金大中、盧武鉉政権時代の太陽政策(北朝鮮への外交的緊張緩和政策)のような融和的な路線をとる模様だと言われていますが、アメリカ・トランプ政権は北朝鮮への圧力を強めているだけに、そこで齟齬をきたしてしまう可能性があります。
さらには、国際的にも北朝鮮に対して圧力を強めていく流れがあり、浅羽さんは韓国だけが突出して融和路線に舵をきるのは現実難しいだろうと予測。

では、日韓関係はと言えば、日本の懸案事項は左派政権=反日というおそれ。浅羽さんは釜山の日本領事館前にある慰安婦少女像の移転、撤去は難しい、厳しい局面にあると話しつつ、「安全保障の協力は少女像の移転、撤去がすまなくても覚悟を決めて一緒にやっていくかという部分が問われると思います」と話していました。

また、朴政権時代は一度は中国に接近しながら、後半には米日側に戻ってきました。そして、北朝鮮の核ミサイル問題が脅威となり、アメリカも中国も本気でこの問題に取り組んでいる今、日米韓の安全保障の協力、連携の中で韓国だけが離脱することはやはり許されないと浅羽さん。

一方で、韓国と中国の間でも問題は絶えません。最近では韓国がTHAADというミサイル防衛システムの運用を開始したことに対して中国は強く反発。しかし、すでに運用を開始してしまっているだけに、韓国としては進めるしかないと浅羽さんは見ています。それもあって、対中関係の悪化も劇的に改善するのは見込めないと話していました。

文在寅氏はいろいろな政策を打ち出していますが、国際協調の中でそう簡単に立場を変えることができない部分も当然出てくるはず。そんな韓国に対して日本どんな対応をしていくべきなのか、今後も注目です。