角田さん『古くなったピアノ』あらすじ・感想文

短編小説

以下、角田さんの『古くなったピアノ』あらすじ・感想文です!
(角田さんの文章そのまま掲載させていただきます byスタッフ)

『古くなったピアノ』あらすじ・感想文/角田

<あらすじ>

バブリアン作、短編小説、『古くなったピアノ』 あらすじ

小学5年生のエミ。
彼女の家にあるピアノはこげ茶色をしていた。
それは、おばあちゃんもお母さんも弾いていたピアノで、エミも大好きだった。
しかし、その音色が最近少しずれてきている。
エミは心配だった。

ある日、学校から帰ると、リビングからお母さんと誰かが話す声が。
「やはりこれだけ音がずれていると、調律だけでは難しいかと思います」
「買い替える時期かしら……」
エミは、ポロポロと大粒の涙を落とし
「私は絶対にイヤ! このピアノを買い替えるなんてイヤ! 修理して下さい。何とか修理して下さい!!」
そう言うと、自分の部屋のベッドに倒れこみ、泣き疲れて眠りに落ちてしまう、、、

エミは、白いお城の大きな門の前に立っていた。
黒い何かが声をかけてくる。
「エミちゃんですね。女王様から聞いています」
扉が開くと、思わず声を出してしまうほどの光景が。黒いピアノ、白いピアノ、赤いピアノ、たくさんのピアノ達が、庭で楽しそうにお話している。
「女王さまがお呼びです。私、ドミソがご案内しますよ」
エミは言われるまま、黒いオーソドックスタイプのピアノについていくと、奥から聞いたこともないような美しい音色が聞こえてきて、そこには、彫刻がされた真っ白なグランドピアノがいた。
「私は、このピアノの国の女王のメロディです」

この国は、ピアノ達の故郷で、人間が寝静まったときに帰って来たりするらしい。
エミが仲間であるこげ茶色のピアノ“ファソラ”が捨てられそうになるのを止めてくれたのが嬉しくて、招待したという。
やがて、庭でファソラに出会うエミ。
思い出話をし、改めて、ファソラをどこへも行かせないと誓うのだった。

「エミちゃん、物には全てに命があるの」メロディ女王はそう言い、また遊びに来られるようにと、エミに音符のついたネックレスをくれた。



そして、目を覚ますエミ。
朝になっていた。
「夢だったんだ」
あわてて起き上がり、リビングに向かうと、こげ茶色のピアノはまだあった。
「パパとも話してね、新しいピアノにするのはやめたの。このピアノはこれからもエミが大切に弾いてね」と、お母さん。
「ママ・・・ありがとう」

エミがそっとなでてから、鍵盤のふたをあけると、何かが光った。
音符のついたネックレスだった。
夢じゃなかったんだ。
エミは、ピアノに頬をくっつけて言った。
「ファソラ、これからもよろしくね」

以上



























角田「アップされた記事の冒頭にどうしても気になってしかたがない表記があったので……小説の内容には触れずに、感想文を書いてみました」


<感想文>

『古くなったピアノ』を読んで/東京03角田晃広

バブリアン先生の小説を読むのはこれで2作目です。面倒くさいとは言いつつも……どこか楽しみにしている自分もいました。
わくわくしながらメールを開くと、タイトルである『古くなったピアノ』の後に、なにやらコメ印が付けられ、こう書かれていました。

※後半は、東京03が出演していたTBS系 金曜ドラマ「コウノドリ」メインテーマ
清塚信也さんの「Baby, God Bless You」を聴きながら読んで頂けると、イメージにピッタリです。 

JFNパークにもこの表記がありました。赤字で。アンダーラインまで引いて。
これは必要でしょうか?
もちろん清塚さんの「Baby, God Bless You」はとてもいいピアノ曲です。
でも、必要でしょうか?
ど素人が小6の時に書いた短編小説を読むのにBGMが必要ですか?
しかも、最初から曲を聴きながら読むのではなく〝後半は〟とありました。
初めて読む人間にとって、どこからが後半なのか? 後半とはどこを指すのか? ざっくり言われても全くわかりません。
仮にちゃんと指定してあったとしても、初めてこの小説を読み、せっかく物語の世界に入っているのに、そのポイントがきたら途中で読む事を中断させ、曲を流すための作業をさせ、いったん物語の世界から醒めさせてから、再び小説に戻らせる。
邪魔です。僕はいらないと思います。

どうしても曲を聴きながら読むことを勧めたいなら、二回目以降に読む時です。
なので、この表記は冒頭に書かず、小説が終わったあと、あとがき的なポジションで書かれていれば、まだ良かったのかなと思いました。それなら読み終わってから邪魔なだけで、読む前に邪魔になるよりはいいかと思うからです。

これから『古くなったピアノ』を読む方は、“曲を聴きながら”の表記はいっさい気にせず、すんなり物語に入っていただきたいと思います。
万が一、二回目以降、曲を聴きながらでも読んでみたいという方は、
“エミが近づいてみるとそこには、エミのこげ茶色のピアノ、ファソラがいた”終わりで、曲を流すのがいいかと思います。JFNパークにアップされている『古くなったピアノ』2の記事の、下から29行目です。

バブリアン先生、今後はこのような表記はない方がいいです。
野暮だと思いました。

角田晃広