ディレクターバブリアン作 短編小説 「 バナナは僕のガードマン 」3

短編小説

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次の日の朝。
僕はランドセルを前に抱え、ヨーロピアンな白い門にもたれかかっていた。
ランドセルを前に抱えるのは最近、男の中で流行っている。
僕はとても小さいので、逆カタツムリみたいだと言われるけど、別にいいんだ。

タカヒロが大きな扉の玄関から出てきた。
「おい!ヒロシ!何やってんだよ。人の家の前で。」
「タカヒロくん・・・あの・・・バナナのことごめん。あれ全部僕がやったんだ。」
「ヒロシ・・・」
「意地悪してごめん。」
「ヒロシ・・・・・・、おまえ、バッカじゃね~の~?!」
「タカヒロくん?」
「お前の家ビンボーじゃん、バナナとかあんなに買ったらもっとビンボーになるじゃん!バ~カ!」
タカヒロはちょっと涙ぐんで、それをバレないようにさっと拭うと、ヒロシのランドセルをポンと叩いて
「お前が、これやると、逆カタツムリみたいだぞ。いつも言ってんだろ~。 ははは。」
「タカヒロくんがやると、チンドン屋みたいだよ。はははは。」
「お~!お前のだ~い好きな茶色のカエル捕まえてこようかな~。いいのか~?」
「それだけはやめてよ~!」
僕は、タカヒロと競争しながら学校まで走った。
2年生の頃の様に、ランドセルをガタゴトいわせながら。

なんか、笑っちゃうけど・・・バナナは僕の友達を取り戻させてくれた。
そう、いろんな意味で・・・バナナは僕のガードマン。


― END -
中2 バブリアン鈴木 作