#9『I got rhythm 音楽が生まれる時』 概要と選曲リスト

是非これを見ながら聴いてください!



今月のテーマ:「ミシェル・ルグラン:人生、音楽のように、映画のように」(第4回:華麗なるコラボレーション)
パーソナリティ:濱田高志(アンソロジスト)


<番組のトーク・パート(概要)と選曲リスト>

― 今月は「ミシェル・ルグラン:人生、音楽のように、映画のように」と題して、ミシェル・ルグランの世界を紐解いていきます。
今回は「華麗なるコラボレーション」ということで、彼と共演したアーティストたちとの音楽を中心にお届けします。

1985年のアルバム『Legrand Jazz』では、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンスらと共演しましたが、他にも、オスカー・ピーターソン、クロード・ボリングといったジャズメン、ステファン・グラッペリ、フィルウッズ、モーリス・アンドレ等のソリスト、カテリーナ・ヴァレンテ、ナナ・ムスクーリ、サラ・ヴォーン、バーブラ・ストライサンド、ジェシー・ノーマン等の女性ヴォーカリスト、クロード・ヌガロ、ジャック・ジョーンズ、ジョニー・マティスといった男性ヴォーカリスト等、多くの人とコラボレーションしました。

1「Gossiping」Michel Legrand and Stan Getz
1972年のStan Getzのアルバム『Communications’72』より。ミシェル名義のアルバムではありませんが、全作編曲をミシェルが手掛けました。スキャットをやっているのはミシェル自身で、バックコーラスはスウィングル・シンガーズです。

実は、ミシェルはヴォーカルが好きで、本人が歌うこともしばしば。アルバムもたくさん出しています。
ただ、シーンを再現しながら、かなり熱く歌うので、ミシェルの歌が苦手という人もいます。

―コラボレーションのアルバムは、綿密に打ち合わせをして制作します。女性ヴォーカルの場合は全面プロデュース。曲も書き下ろしますし、だいたい1曲はミシェルも歌ってデュエットしてます。以下の2曲のアーティストは、ミシェルが全面的にプロデュースしました。

2「I Will Wait For You」Lena Horne
アルバム『Lena & Michel』(1975)より。シェルブールの雨傘の主題曲。

3「Something New In My Life」Melissa Errico
ミュージカル『壁抜け男』でヒロインを務めたミュージカル女優Melissa Erricoのアルバム『Legrand Affair』(2011)より。ミシェルが全編曲を手がけましたが、「いかにもミシェル・ルグラン」という素晴らしいアレンジです。メリッサ・エリコの歌も素晴らしく、晩年の作品ではかなり上出来の部類に入ります。

―ミシェルは、何年も先のスケジュールまで手帳に書き込んでいました。小さい字で細かくスケジュールが組まれていて、一見すると真っ黒でした。今年も来年も、舞台や映画の企画はあったのですが、昨年8月の時点で、死ぬまでにできることとできないことを判断し、できないことには斜線を引いていました。残った仕事の中で、大きな仕事は5~6つありましたが、すべてやり遂げて亡くなりました。
最期の仕事は12月1日で開かれたパリでのコンサートで、自身で2時間40分指揮をしました。そのコンサートの後、療養生活に入ることになります。

―ミシェルの音楽はこれからも愛されるでしょうが、実は、まだ発掘されていない音源がたくさんあります。近しい友人に制作を託した作品もあります。何年後かに形になるのではないでしょうか。

4「Attendre」Michel Legrand
ミシェル自身が作詞・作曲・編曲を手掛けたアルバム『Michel Legrand』(1981年)より。ミシェルは病床で、この曲を聴いて息を引き取りました。

―彼が息を引き取った後、その場に居た家族や友人らが「I Will Wait For You」を歌って、彼を見送ったという逸話があります。