これを聴けば全てがわかる!音楽の根っこ、アーティストの本音に迫る 音楽ドキュメンタリー番組。今月は濱田高志のナヴィゲイトで、"ミシェル・ルグラン"に焦点を当ててお届けします。

I Got Rhythm~音楽が生まれる時(5月概要)



月替りでお送りする音楽ドキュメンタリー番組『I got rhythm 音楽が生まれる時』。
今回は、今年1月に逝去したフランス音楽界の巨匠ミシェル・ルグランに焦点を当ててお届けします。

(各回の番組内容)
第1週目「『ルグラン・ジャズ』などのオーケストラ作品、ジャズ作品集」

第2週目「映画の新しい波・ヌーヴェルヴァーグ〜『ラ・ラ・ランド』への影響」

第3週目「フランスを離れて…アメリカ、イギリス、日本映画との関わり」

第4週目「華麗なるコラボレーション、後年のミシェルのこだわり」


<ミシェル・ルグラン プロフィール>
1932年2月24日パリ生まれ。
父はフランスを代表する楽団指揮者レイモン・ルグラン。
母は楽譜出版社を経営するマルセル。
そして2歳年上の姉は、
のちにスウィングル・シンガーズのリード・ソプラノとして名を成すクリスチャンヌです。
まさに絵に描いたような音楽一家のなかで育ちました。

パリのコンセルヴァトワールを首席で卒業すると、ほどなくプロとしての活動をスタートさせます。
父の手伝いで映画音楽に手を染めたのは10代半ばのこと。
以降、様々なジャンルの映画音楽を手掛けますが、
その一方で、自身のグループを率いてパリのクラブで話題をさらいます。

作編曲の才に長け、時にその歌唱をも披露する多彩な音楽性は、
すぐさまレコード会社の目に留まり、やがてピアノ・トリオや楽団名義でのレコードを矢継ぎ早に発表。
1958年には、マイルス・デイヴィスやビル・エヴァンスらを従えたリーダー作『Legrand Jazz』で、その名を全米に轟かせました。
また、1964年、盟友ジャック・ドゥミと組んだ「シェルブールの雨傘」のヒットは、
彼に世界的な名声をもたらし、続く「華麗なる賭け」「おもいでの夏」「三銃士」も
国内外で高い評価を得ています。
80年代以降は、映画音楽に従事する傍らで、クラシックの分野における指揮や監督業にも意欲を見せ、
90年代後半には、初の本格的な舞台劇「壁抜け男」で新境地を切り開きました。
コンサート活動と舞台音楽の創作に意欲的で、
椿姫を題材にした「マルグリット」、バレエ「リリオム」等の公演が話題になり、
2017年にはかねてより念願だった2つの協奏曲を書き下ろして発表しています。

2018年には、オーソン・ウェルズ幻の一作、「風の向こうへ」の音楽を作曲していますが、 
これは、プロデューサーたちが、オーソン・ウェルズの手帳に、
「音楽についてはルグランに電話すること」というメモを見つけたことから実現しました。

華々しい受賞歴を持ち、3度のアカデミー賞と複数部門による5つのグラミー賞、
さらには各国での映画・音楽賞や功労賞の受賞およびノミネートなど枚挙に暇がありません。

昨年(2018年)末から体調を崩して療養していましたが、今年(2019年)1月26日の明け方、パリの病院で逝去。享年86歳でした。葬儀は2月1日に、遺作となった舞台「ロバと王女」の上演開場、マリニー劇場で営まれました。
ミシェル・ルグランは、音楽家として、生涯現役でした。


進行:濱田 高志(はまだ たかゆき)音楽ライター、アンソロジスト
これまで国内外で企画・監修したCDは500タイトルを数える。
ミシェル・ルグランからの信頼が厚く、日本の窓口を務める。他、宇野亜喜良や和田誠、柳原良平といったイラストレーターの画集の編集や手塚治虫作品の復刻、ラジオ番組の構成など、書籍、テレビ・ラジオの分野で活躍。2007年、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ『フル・サークル』をコーディネイト。以降、アルバム・プロデュースも手掛けている。


ミシェル・ルグラン公認!全作品を網羅した評伝+ディスクガイドの決定版
■『ミシェル・ルグラン クロニクル』
 著:濱田 高志

書籍の詳細はこちら(http://rittorsha.jp/items/16317440.html
発行:立東舎