#5『I got rhythm 音楽が生まれる時』 概要と選曲リスト

是非これを見ながら聴いてください!



今月のテーマ:「The World of Black and Blue」(第5回:今に息づくブラック・ミュージック)
パーソナリティ:ピーター・バラカン(ブロードキャスター)


―今回は番外編。これまで紹介してきたアフリカン・アメリカンの初期の音楽が、今に息づくブラック・ミュージックを取り上げて行きます。
「ブルーズの誕生」の回では、20年代の女性たちが歌った都会的なブルーズをピックアップしましたが、一方で、ミシシッピーなどで演奏されていたレコードもありました。その中で独自のスタイルを持つ人に、スキップ・ジェイムズがいます。
1920年代に大量生産されていたレコードですが、30年代の大恐慌時代になると、レコード会社にはレコードを作るための資金がなくなってしまい、随分と生産が縮小されました。
ブルーズの演奏家たちがレコードを作れなくなる不遇の時代がしばらく続いたわけです。
その中の1人が、スキップ・ジェイムズなのですが。
60年代になると再発見され、新たに彼の音源が録音されることになります。

1「Devil Got My Woman」Skip James
ミシシッピー州ベントニアという場所に住んでいたスキップ・ジェイムズの作品『スキップ・ジェイムズ・トゥデイ』から、彼の代表曲を。彼のスタイルはベントニア・スタイルと呼ばれますが、唯一無二の存在です。

― 続いてはアフリカの音楽を。ブルーズの源流はいったいどこなのかと長年思っていたのですが、1990年にマリのギターリスト、アリ・ファルカ・トゥーレのライヴを観た時に「これだったのか!」と気づいたことを、今でもよく覚えています。

2「Bakoye」Ali Farka Touré
一時期、西洋ではアフリカのジョン・リー・フッカーと呼ばれていましたが…。アリの出身地はマリ北部サハラの端に当たる場所で、独特の文化が巣立ったところでもあります。彼のデビュー・アルバムから「バコイエ」。ライ・クーダーとの共演も有名ですが、2006年に逝去しました。

― 1回目にフィスク大学のヴォーカル・グループ「フィスク・ジュビリー・シンガーズ」の1909年の録音「スウィング・ロウ・スウィート・チャリオット」を聴いていただきましたが、その辺の曲がいまだに歌われています。

3「Swing Low Sweet Chariot」Gee's Bend Quilters
アラバマの片田舎でキルティング(縫い物)をしながら、アカペラで歌を歌う、ジーズ・ベンド・キルターズによる「スウィング・ロウ・スウィート・チャリオット」。

― 1920年代の終わりに活躍したブラインド・ウィリー・ジョンソンという歌手兼ギターリストがいました。
宗教的な内容の曲を作っては、ほとんどブルーズと区別がつかないようなスタイルで、スライド・ギターを弾きながら、唸るように歌っていた人です。映画『パリ・テキサス』でライ・クーダーが彼の曲をテーマに使ったことで、にわかに注目されました。

4「The Soul Of A Man」Tom Waits
そのブラインド・ウィリー・ジョンソンのトリビュート作品『God Don't Never Change: The Songs of Blind Willie Johnson』より。トム・ウェイツによるカヴァー曲を。

― ひと月にわたってお送りしてきました「The World of Black and Blue」。いかがでしたか?ブラック・ミュージックの変遷。この続きは7月になります。是非お楽しみに!