#2『I got rhythm 音楽が生まれる時』 概要と選曲リスト

是非これを見ながら聴いてください!



今月のテーマ:「The World of Black and Blue」(第2回:ブルーズの誕生)
パーソナリティ:ピーター・バラカン(ブロードキャスター)


「ブルーズのリズムがみえる

われらの時代のつらい生活

鉄道を敷く、声を掛け合い、歌を掛け合う

ブルーズの誕生がみえる

解放されても、まだ自由になれない人々の中に」

絵本『リズムがみえる I see the rhythm』(サウザンブックス社)より
(文:トヨミ・アイガス、絵:ミシェル・ウッド、翻訳:金原瑞人、監修:ピーター・バラカン)

<番組のトーク・パート(概要)と選曲リスト>

―今回は「ブルーズの誕生」というテーマでお届けします。
ブルーズというと、最近はロバート・ジョンソンのような、ミシシッピーの男が1人で歌うようなイメージを
持たれるかと思いますが、初期のブルーズはもっと都会的なものでした。ピアノが入っていたり、バンド編成だったり
します。もともとは19世紀に畑仕事をしていた、アフリカから来た人たちが、過酷な仕事をしのぐために歌っていた
ものから派生したものと思われます。ただし“ブルーズ”という言葉がいつから使われていたかは分かっていません。
出版された曲でこの言葉が入った最古のものに、1912年にW.C.ハンディが作った「ザ・メンフィス・ブルーズ」
があります(楽譜で存在)。まだレコードなどなかった時代のものです。
今日まずお届けするのは、このW.C.ハンディのバンド演奏による1曲です。

1 「St. Louis Blues」W. C. Handy's Memphis Blues Band
W.C.ハンディ自身のバンドによる1曲。キューバのハバネーラというリズムがメインになっている部分がありますが、ブラスバンドやヴォードヴィルの要素も窺い知ることが出来ます。1922年録音。

—1910年ごろから普及し始めたSP盤(78回転のレコード)ですが、1920年頃になると多くのアメリカの黒人にも購買層が拡がっていきます。マイノリティにも売ることが出来ると判断したレコード会社は、南部の貧しい白人に向けたヒルビリーや、ラテンの人たちに向けたラテン音楽、アイルランド人に向けたアイリッシュもののレコードが作られるようになっていきます。

2「Crazy Blues」Mamie Smith's Jazz Hounds
1920年に大ヒットした曲で、レコード(SP盤)普及のきっかけを作った1曲でもあります。
初期のブルーズ作品は女性のヴォーカルものが多く、NYやシカゴで録音されています。



3「Nobody Knows You When You're Down And Out」Bessie Smith
当時ダントツに有名だった女性ブルーズ・シンガーと言えば、この人!この曲は1929年(だったか)の作品。
のちにエリック・クラプトンがデレク&ザ・ドミノスの『いとしのレイラ』でカヴァーしています。
「落ちぶれた時に、誰も見向きもしない」。そんなタイトルの曲です。

4「See See Rider Blues」Ma Rainey
ルイ・アームストロング(コルネット)、バスター・ベイリー(クラリネット)、フレッチャー・ヘンダーソン(ピアノ)といった強者がバックを固めています。のちに多くの人たちにカヴァーされた1曲。1924年録音。

5「Violin Blues」Johnson Boys
ロニー・ジョンソンというギター名人が、ヴァイオリンを弾きながら歌っている珍しい曲。名義はジョンソン・ボイズでの演奏。1928年メンフィス録音。

― 今回は「ブルーズの誕生」というテーマでお届けしましたが、次回は「ラグタイム」を紐解いていきます。