#1『I got rhythm 音楽が生まれる時』  概要と選曲リスト

是非これを見ながら聴いてください!



今月のテーマ:「The World of Black and Blue」(第1回:アフリカ〜アメリカへ:奴隷たちの音楽)

「わたしたちの始原のリズムがみえる。

人々の鼓動と陸の鼓動が 溶け合って伝わってくる。

太鼓で語られる伝説がきこえ

信仰のビートが、古い歴史の音楽が聞こえる」

絵本『リズムがみえる I see the rhythm』(サウザンブックス社)より
(文:トヨミ・アイガス、絵:ミシェル・ウッド、翻訳:金原瑞人、監修:ピーター・バラカン)

<番組のトーク・パート(概要)と選曲リスト>

― 20年ほど前にアメリカで出版された本『リズムがみえる I see the rhythm』が、ようやく日本語で翻訳されまし
た。題材はアメリカのブラック・ミュージックの歴史です。音楽に関する本ですが、実際に曲を聴いてみないことには
分からないことが多いので、本の内容に触れながら、番組ではできるだけ多くの音楽をOAしていきます。
第1回目。まずはアフリカから。ブラック・ミュージックは奴隷制度の歴史でもあり、それは16世紀から始まります。
録音技術が出てきたのは19世紀後半(エジソン誕生〜)のことですので、それまでの音楽は想像するしかありません。
アフリカ大陸には50以上の国の中に数多の部族・民族が存在しますが、特に西アフリカの人々がカリブ海やアメリカ
に強制的に連れてこられました。そんな彼らの現存する音楽から、まずは聴いてみましょう。

1 「Yarum Praise Songs」Fra-Fra Tribesman The Story Of The Blues
何百年も前にも、このような音楽が歌われていたのでは…?と想像を掻き立てられる1曲。ピーターさんが60年代に買ったブルーズのアルバムに入っていたものから(ガーナ)

2「Chant Et Flûtes Peuls」Musicians of Guinea
植民地時代以前は国境とは関係なく遊牧民がたむろしていました。これはフラという遊牧民の歌とフルートによる曲。バックで流れる打楽器は、日本の「ささら」にも似た響きを出しています(ギニア)

3「Solo De Balafon」 Musicians of Guinea
マリンバの元祖でもあるバラフォンを、ギニアの国立楽団奏者が演奏した1曲(ギニア)

4「Trompes Malinké」Guinée: Récits Et Épopées
マリンケの人々による管楽器(ホーン)の曲(ワスル地方)

5「Bounkam Solo」(演奏者不詳)
いまだみたことのないリード楽器=ブンカンによるソロ演奏。指穴は1つで舌の圧力で音程の上げ下げをするそうです。(ブルキナファソ)

6「Kouco Solo」(演奏者不詳)
クコという弦楽器による演奏。ンゴ二という楽器に似た音を出しますが、ここにブルーズ・ギターの原型があるのでは?という響きが感じられます(マリ)

― 奴隷としてアメリカに渡った時、彼らは楽器を持たされることを禁じられました。特にコミュニケーション(言語)の手段として使われていた太鼓は、奴隷の反乱など起こしかねないなどの理由から、彼らの言葉や歌とともに封じられました。そして強制的に英語で話すことを強いられ、歌うことができたのは英語の賛美歌だけでした。彼らは畑仕事や肉体労働をしながら、白人に隠れて歌っていたということです。
しかしながら1860年代の南北戦争以降、黒人にも門戸が開かれ、黒人たちの教育に取り組むナッシュビルの
フィスク大学では、黒人霊歌(スピリチュアル)などが歌われるようになりました。

7「Swing Low Sweet Chariot」Fisk Jubilee Singers
国内外で活躍したフィスク・ジュビリー・シンガーズの1909年にレコーディングされた貴重な音源より(アメリカ)

― 20世紀に入ってからのことですが、フィスク大学を卒業したジョン・ワーク3世は、その後ジュリアード音楽学校を経てナッシュビルに戻り、黒人のフォークソングの研究に従事。1940年代にはフィールド録音を行なっています。

8「Since I Laid My Burden Down」Unnamed Leader And Congregation
そのジョン・ワーク3世が採集した、教会の中での牧師と信者たちのやりとりで歌われる1曲(アメリカ)