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【海猫沢めろん】
「夜猫図書館」で石丸さんの『SPEED スピード』(文春文庫)を紹介したのですが・・・
改めて読むとすごいですよね。自分で書かれた作品って読まれますか?
【石丸元章さん】
これって青春時代の話じゃない?
つまり20年前の自分が書いたものは読み返さないし、
自分が書いたんだけどそのころの自分はもう半分以上存在しないわけ。
今読み返したらどうなるんだろうな~。
覚えている部分もあると思うけど、どこか他人のような気がするんじゃないのかな。
【海猫沢めろん】
う~ん。
【石丸元章さん】
びっくりしたのがね、Amazonって中古も売ってるじゃない?
で、値段が1円で売られているのを見ると
“自分の青春時代が1円で売られている気持ち”・・・みなさん分かります?(笑)
【海猫沢めろん】
ハンター・トンプソンに影響を受けられたって聞いたんですけど、
文体とかはそうなんですか?
【石丸元章さん】
文体っていってもね~。英語だから。
トンプソンって実は文章はオーソドックスなんですよ。
で、自分は・・・根が前衛だから(笑)
ドラッグをやっているときの頭の中が散らかっている感じ、
これをどういう風に書くか、前衛的に表現しようと思っていた。
【海猫沢めろん】
体験ルポって体験自体は面白いんですけど、文体自体があるものって少ないんですよね。
そんな中で石丸さんの『SPEED』は文体があって、
非常に文学的なものだと思っていて、かなり影響が受けたところはありますよ(笑)
【石丸元章さん】
ありがと~う(笑)
【海猫沢めろん】
石丸さんって人面犬をつくった人なんですよね?
あれって本当なんですか?!
【石丸元章さん】
当時ってインターネットがなかったから、口コミで広がっていったわけ。
「口コミの正体は何なんだ?どうしてそんなものがうまれて広がっていったのか?」
というのが大きな社会の謎だったの。
そこで、都市伝説の正体を突き止めるには自分が都市伝説を流せばいいじゃないかと、
というような実験をやっていたわけ、雑誌とかラジオを使って。
そんな中で人面犬を膨らませていったというのはあるのよ。
【海猫沢めろん】
そんななかで・・・好きな街とかあります?
【石丸元章さん】
私が今暮らしている街は、暮らしたくて暮らしているわけじゃないの。
人生の要所をドラッグでしくじっているのよ。
25年前にしくじって、今まで住んでいた街に住めなくなって、今のところに住んでいるの。
嫌いではないんだけど、
「そういえばこの街に暮らしたくて住んでいるんじゃないんだよな」
っていう気持ちが常にあって、どうしても大好きにはなれないんだよね。
そういう街も悪くないかなって最近思っているんだ。
【海猫沢めろん】
昨年脳卒中で倒れてから奇跡の生還をなさったということですが・・・
脳卒中どうでしたか?(笑)
【石丸元章さん】
脳の血管が切れるのって痛くないんですよ。
だけど、「あれっ?腕がしびれてる!」って思っているうちにみるみるしびれてきて。
でも、「半身がしびれてきたら片足で立てばいいじゃん。」って思うでしょ?
バランスが取れなくなって、バタン!って倒れちゃうの。
【海猫沢めろん】
後遺症はどうですか?
【石丸元章さん】
いま話していて分からないと思うんですが・・・
右半身が動くけどしびれているんですよ。
それがね、ドラッグみたいなんです。
▼石丸元章『SPEED スピード』(文春文庫)
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/1671370500000000000S