FUTURES ラジオ版学問ノススメ 蒲田健の収録後記&OA曲

ゲスト:ロバート・ハリス

彼女は何と言っても、ぼくが初めて恋に落ち、愛した、初恋の人なのだから。

ロバートハリスさんの最新刊「JJ 横浜ダイアリーズ」

日本社会の転換点となった1964年。高校二年生のJJ高原は人間としての一大転換点を迎えていた。

伝説の旅人ロバートハリスさんの自伝的小説でもある今作。

ご本人曰くフィクション7割、ノンフィクション3割という中身。私が類推するに、目に見える表面のディテール部分はフィクション要素が多くまぶされているのであろうが、感情や思いというコアな部分に関しては、相当量の実体験がベースになっていると思われる。時代や環境は変われど、16歳の男が抱えるヒリヒリするような衝動はそうそう変わるものではないはずだ。そしてこの作品の凄みは、実年齢70歳のハリスさんが半世紀以上前のご自分を振り返りながら、その瑞々しさを失わず、かつ極めて客観的にその心象風景を大人として描写しきっているところ。だからこそ、読む我々はハラハラしながらもJJと同化し追体験ができる。

すでに3部作の構想があるというこのストーリー。大きな体験をしたJJが、この後どう成長し躍動してゆくのか。さらなる展開が今から待ち遠しい。

「若き日に 悩み傷つき 模索する
             人を育てる 要の肥やし」

P.S. 魅力あふれる「永遠の不良」は、人生を楽しむ達人です。同じ生き方はできないかもしれませんが、目をキラキラさせながら豪快に笑い飛ばすそのスピリットは、大いに見習いたいところです。

OA曲「TIMES THEY ARE A CHANGING」BOB DYLAN