FUTURES ラジオ版学問ノススメ 蒲田健の収録後記&OA曲

ゲスト:町田康

「猫好き上級者」のための作品集

町田康さんの最新刊「猫のエルは」

猫は自由だ。それは動物界の中でも特異な自由ぶりなのかもしれない。

動物界の絶対原理は捕食である。生きるためのエネルギーを得るために獲物を捕らえ食する。食するために殺生をする。
猫は違う。ペットとしての猫は食を人から与えられる。捕らえる必要はない。しかし捕らえる。純粋な遊びとして他の動物を虐殺して楽しむためだけに。
動物の絶対原理に則っていない。これはおそらく人間以外では猫だけだ。動物界でも超然としている、アンタッチャブルな存在、それが猫であると捉えることが可能だ。しかも遊びとしてやっているとしか思えないにもかかわらず、その目は決して楽しそうではない。それが深遠さをさらに増幅させる。

買いかぶりかもしれない。特別視しすぎかもしれない。本当は必要に迫られたシンプルな理由があるのかもしれない。
しかし少なくとも見た目には虚無的に遊んでいるようにしか見えない。
謎はどんどん深まる。

猫は可愛い。このことが混乱にさらに拍車をかける。

身近な存在なのに、いや身近な存在だからこそ、とらえどころのなさが拡散してゆく。

愛すべき悩ましき存在である。


「エサ与え 猫を飼ってる つもりでも
飼われてるのは ホントは人か?」


P.S. パンクと猫の共通項、納得です。しかも猫の方が若干優勢な立場であることも、なぜか納得です。

OA曲「つらい思いを抱きしめて」(汝、我が民に非ズ)