ゲスト:岸本佐知子さん
アンソロジーから入るのもおすすめ
翻訳家・岸本佐知子さんの最新訳書、ミランダジュライ作「最初の悪い男」
マルチな才能を発揮する気鋭の作家の最新作は、エロス、バイオレンスてんこ盛りの、とにかくぶっ飛んだ物語。どう展開してどこに行き着くのだろうというジェットコースターのような作品。
この決して一筋縄ではいかない話を見事に訳し切った岸本さん。原作の持つスピード感や熱量を別の言語に置き換えるのは物凄い量のエネルギーを投入しなければならない、というのは想像に難くない。しかしご本人にとっては翻訳はとにかく楽しい行為なのだという。天職と言ってしまえばそれまでだが、それこそがとても幸せなプロフェッショナルのあり方なのだろう。
興が乗ると、ご本人の弁によればグヘヘヘヘと興奮しながら読み進めてしまうという岸本さん。訳者をそこまでノリノリにさせる作品、それは面白いに決まっている。
トランスレートの原義は“別の場所へ運ぶ”。異界へといざなう水先案内人としてのご活躍これからも大いに期待したい。
「ここでない 世界を見せて くれるはず
言語を超えて 羽ばたきながら」
P.S.海外文学は難解であるという思い込みで敬遠している人には、まずは様々な作家の作品を一望できるアンソロジーがおすすめとのこと。音楽におけるフェス、落語における寄席からまず入ってみるという感覚でしょうか。とにかく食わず嫌いは損です!
OA曲:「Kooks」(デヴィッド・ボウイ)