FUTURES ラジオ版学問ノススメ 蒲田健の収録後記

ゲスト:金原瑞人さん

この小説でサリンジャーの伝説は完成した

金原瑞人さん訳によるJDサリンジャーの短編集「このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年」

1951年発表の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」で文学にエポックを画したサリンジャー。

これまでの訳書数500冊以上を数えるプロフェッショナル・金原さんをして訳し終えるのに想定していた時間の数倍かかった難物であったという「ハプワース16、1924年」、そして「キャッチャー・・・」でもおなじみの人物たちのスピンオフともいえる短編、などを含めた9つの物語たち。

長編とはまた異なる切れ味を見せる今作群で、サリンジャーの新たな魅力が垣間見られる。

サリンジャーの遺族によれば近い将来これまでお蔵入りになっていた未発表作品が日の目を見るかもしれないとの情報もあるとのこと。まだまだ謎多き作家であるわけだが、その全体図を見通すための補助線として、代表作と共に今これらを読み込んでおくのもおすすめである。

「若者を 当事者の目で 描き切る
       今につながる 革命ここに」

P.S.外見も語り口も、とても還暦過ぎとは思えない若々しさを保ち続ける金原さん。日々取り組む作品のフレッシュさがその源であるのだろうな、という印象を受けました。