FUTURES ラジオ版学問ノススメ 蒲田健の収録後記

ゲスト:大澤真幸(社会学者)

ウルトラマン≒日米安保条約

大澤真幸さんの最新刊「サブカルの想像力は資本主義を超えるか」

早稲田大学の人気講義の書籍化。

ITデバイスの急速な普及により、現代社会に暮らす特に若者たちは身の周りの物理的にとても狭い範囲で生活が完結しかけている。一方でグローバルレベルでの世界へのアクセスも希求している。この二つの欲望の中に引き裂かれている。

転換点の源流は、資本主義vs社会主義の構図がなくなった冷戦の終結。ここで資本主義は単に経済のシステムのことではなく、現代社会そのものとほぼ同義であると大澤さんは規定する。オルタナティブがなくなった資本主義一択状態。だがそれは全くもって完璧なものとは思えない、というのが大方の人々が抱く感慨。格差の拡大等々むしろ破綻の方が目に付く。このやり方、終焉が近いのかも。しかしである。仮にそれが終わってしまったとして、その後が中々イメージできない。

ここで力を発揮するのがイマジネーション=想像力である。そして一般に広く流布するサブカルの中にこそ、その想像力が色々な形で埋め込まれている。

アリストテレスから「君の名は。」に至るまで、取り上げられる知見、作品は古今東西縦横無尽。

その論考、非常にエキサイティングかつ正鵠を射る。

「楽しんで 溜飲下げた そのあとに
      じんわりみえてくる その真意」


P.S.研究対象ではあるけれども、まずその前に自分が面白いと思うことが大前提、と仰る大澤さん。だからこそ膨大な数の作品が、これだけ鮮やかに料理されるのでしょう。大講堂で行われる人気講義というのは大いにうなずけます。学生として受講したい!