平成10年に80年ぶりに復活した若狭町の、熊川の伝統の踊り『てっせん踊り』

放送後記

日本遺産。
その裏には数々の歴史的なドラマ・魅力的なストーリーが隠されています。
JAPAN HERITAGE~ラジオ日本遺産~。

今回は、「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群~御食国若狭と鯖街道~」と題した福井県の日本遺産の中から、若狭町の、『てっせん踊り』をご紹介しました。

鯖街道を通じて運ばれたのは、海産物だけではありません。
反対に京からは都の文化が鯖街道を通じ、各地へと伝わっていったのです。
京都市一乗寺で今も踊り続けられている夏の輪踊り、
「てっせん踊り」もまた、熊川宿に伝わり、大正時代まで長く踊り続けられていました。

5人の音頭取りを真ん中にして、輪になって踊っていたそうです。


お盆などで踊られる熊川音頭は、楽器を使って賑やかに踊られるのに対し、「てっせん踊り」は楽器を一切使用せず、歌のみの音頭でした。


その音頭は実に優雅で、ゆるやかな踊り。まるで京のお公卿さんの踊りを想像させるような踊りであったと言われています。


大正時代には、踊り手がいなくなり、「てっせん踊り」は途絶えてしまいました。
しかし平成10年、地元「熊川宿伝統芸能保存会」の力で、
80年ぶりに「てっせん踊り」の復興を実現する事ができました。

これを機に熊川宿の伝統芸を保存・継承するとともに
宿場町の賑わいを再現しようという活動が活発化されるようになるのです。

熊川宿には名産の一つとして「熊川葛」があります。


まろやかで上品な味わいは、日本三大葛にも数えられる程。
その葛を使った「くずまんじゅう」は絶品ですよ。

ぜひ、あなたも日本遺産へ。新たな日本の魅力を再発見してくださいね。