FUTURES ラジオ版学問ノススメ 蒲田健の収録後記

ゲスト:畑中章宏(民俗学者)

妖怪は実在する

畑中章宏さんの最新刊「21世紀の民俗学」

火のない所に煙は立たぬ、物がなければ影ささず。
目の前の生活事実を最も重要な資料として注目するのが民俗学。したがって、妖怪を見た、という人がいれば、非科学的であると一笑に付すのではなく、その主張を一度引き取って考察する、というのが民俗学的態度である。

ことは妖怪に限らない。様々な伝承、風習、流行を当事者として見つめて考える立場。そしてその切り口となるのが、記録としては残らない「感情」。ここを手掛かりに様々な社会現象に向かい合うと、過去からこの21世紀に連なる連続線上に存在するものの意味が明らかになる。

畑中さんが考察の対象として俎上に載せるものの中には、自撮り棒であったりポケモンであったりと、間違いなく現代になって出現してきたものも数多くある。しかしそれらも過去と全く脈絡のないものではなく、人々に受け入れられる背景やあるいは存在意義には結果として歴史的な必然性が備わっている。日本人の核となる本質はそういうところに内在しているのであろう。

「はかなくて 流動的な モノにこそ
          変わらぬ本質 含まれんや」


P.S.いわゆるアカデミックではない方角からのアプローチをする畑中さん。だからこそのオリジナリティあふれる切り込み方が刺激的です。