【“印象操作”連発】安倍総理の国会答弁に見える“奢り”とは?

中西哲生と高橋万里恵がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「クロノス」。 6月7日(水)放送の「BREAKFAST NEWS」のコーナーでは、長期政権となった安倍内閣について慶應義塾大学大学院教授の岸博幸さんに話を伺いました。

安倍総理は5月28日で通算の総理在職日数が1981日となりました。これは小泉純一郎氏を抜いて戦後歴代3位の記録で、吉田茂氏(2616日)、佐藤栄作氏(2798日)に次ぐ長期政権となっています。
そんな状況下において安倍一強の弊害も叫ばれるなか、総理は6月6日の国会審議では“印象操作”という言葉を連発。野党側からの質問に正面から答えない場面が繰り返されましたが、これについて岸さんは「正直言って、国会の答弁としてはあまりに雑」と切り捨てます。
審議の対象となっている加計学園をめぐっては、当初文科省の内部文書が流出した段階で菅官房長官が「これは怪文書だ」と切り捨て、その存在を認めませんでした。最初がそうだっただけに、いくら状況証拠が出ても政府は再調査はしないの一点張り。「おそらく文科省には確実に(文書が)存在するにも関わらず、それはないという前提で答弁を続けている」と話す岸さんは、「結果として国民の側からすれば何が本当かわからない」と言い、この曖昧さは長期政権ゆえの奢りだと指摘。

さらに、同じようなことが最近もうひとつあったと話す岸さん。それは、今渦中の共謀罪について国連から懸念を表明する書簡が総理宛に届いた際、政府が感情的な強い反論を示したこと。
岸さんの話では、こういった場合欧米では内心はらわたが煮えくり返っていてもロジカルに反論するそうで、今回の政府の行動は国連からしても「なんだそれ?」と思ってしまうとか。
「加計学園の答弁にしろ、国連への感情的な反論にしろ、残念ながら長期政権で、かつ野党が弱いということもあって奢りが生まれ、適当に答弁していればいいという感じになっちゃっているんじゃないかなと。個人的には見ていて非常に気になります」と岸さん。

以前は1年と持たずに総理が変わる時代がありましたが、岸さんは当時のほうが国民の目が厳しく、何より政治家にも緊張感があったと振り返ります。「ご本人たちはまじめにやっていると思うんですけど」と前置きしつつ、岸さんは「今は残念ながら若干(緊張感が)落ちている感じがある」。
こういった状況が続くと、どこかでしわよせがきて日本のためにならないと話す岸さん。解決法としては、メディアと野党がより厳しく監督することが必要だと言いますが、一方でそれは大変なことだと嘆いていました。