【イギリスで続くテロ事件】メイ首相に厳しい目

中西哲生と高橋万里恵がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「クロノス」。6月5日(月)の放送では、ロンドン中心部で起きたテロ事件についてジャーナリストの仲野博文さんに話を伺いました。

「テロが起きたのは現地時間3日の午後10時ごろ。ロンドン橋を白いバンが暴走し、何人もの人がはねられました。さらにバンに乗っていたとされる実行犯の3人が車を乗り捨て徒歩で近くの市場に向かい、周辺にいた人たちをナイフで襲ったんです。市場の周りは飲食店も多く、土曜日の夜ということもあって多くの観光客で賑わっていました。現在までに7人が死亡、48人が怪我をしたとされているんですが(5日午前8時の放送時点)、その中にはカナダやフランス、スペインといった他の国から来た方々も多く含まれているんです。すでにイスラム国系のネットメディアが犯行(声明)を出しています。地元警察は実行犯以外にも今回の事件に関与した疑いで、すでに12名を拘束したという情報も入っています」と3日に起きた事件の経過をまとめる仲野さん。

イギリスでは6月8日(木)に総選挙を控えています。今回のテロを受け、選挙に影響はあるのでしょうか。

仲野さんは「総選挙のテーマと言われてきたのがEUからの離脱だったんです。それがこの数週間でトーンが変わり、イギリスは国内のテロに対して強行的な態度で臨むべきじゃないかという声や、(テリーザ・)メイ首相が弱腰ではないかという部分に国民が注目し始めています。通常テロが発生すると保守政権が有利という話がありますが、実はメイさんが内務大臣だった時代に警察や情報機関の予算をカットしていました。もしメイさんが予算カットなどをしていなければこうしたテロも防げたんじゃないかという声も上がっています」とテロの影響を指摘。

メイ首相は今回のテロ事件を受け、「テロがテロを呼んでいる」と発言。
イギリスでは3月22日にもロンドンのウェストミンスター橋でテロが発生。また2週間ほど前の5月22日にはマンチェスターのアリーナでテロ事件がありました。イギリスでは今年に入り3件のテロが発生しています。

ヨーロッパではテロの脅威が身近になっているそうで、「イスラム過激派思想が背景にあるとされるテロ事件は、フランスやスウェーデン、ロシアでも発生し、ヨーロッパではこの6ヵ月で9件です。テロがあまりにも身近になったことによる影響もでてきています。昨日朝、イタリアのトリノでサッカーのUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)決勝のパブリックビューイングが行われていました。ユベントスが負けていたということもあり会場では爆竹が使われ、これをみなさんが爆弾と勘違いして一斉に逃げ出しパニック状態になり、400人から500人が怪我をして搬送されたというニュースも入っています」とのこと。

中西は「パブリックビューイングやスタジアム、コンサート会場、ロンドン市内もそうですが、人の集まる場所はターゲットになりそうです。日本も他人事ではないですよね」とまとめていました。