「ゾンビサッカー」に「ハンドソープボール」、種類豊富な“ゆるスポーツ”とは?

中西哲生と高橋万里恵がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「クロノス」。 6月1日(木)の放送では、スポーツ選手やOB、選手を支える人たちにフォーカスし、スポーツの魅力に迫る毎週木曜日のレギュラーコーナー「ゼビオ presentsクロノス+PLUS」に世界ゆるスポーツ協会の事務局長、萩原拓也さんが登場しました。

この世界ゆるスポーツ協会とは年齢や性別、運動神経に関わらず誰もが楽しめるスポーツ=ゆるスポーツを作るクリエイター集団のこと。足が遅くても、身長が低くても、たとえ障害があっても楽しめる新しいスポーツを提案しています。
発足は2015年で、昨年からは一般社団法人化しましたが、設立したきっかけは「バブルサッカー」だったとか。「発足の1年前ぐらいに、有志のメンバーでバブルサッカーを日本に持ってきていろいろなイベントをやったんですけど、その結果非常に多くの方が集まってくれて。しかも、なかには普段運動をしない方も参加してくれたんです。そのときに、もしかしたらバブルサッカーのエッセンスを取り入れて新しいスポーツを作ったら、みんなが楽しめるスポーツを作れるんじゃないか、そう考えて世界ゆるスポーツ協会を設立しました」と萩原さんは話していました。

バブルサッカーはノルウェーで誕生したスポーツで、バブルボールと呼ばれる風船のようなものに身を包み行なうサッカーのこと。ぶつかってもケガをすることも少なく、技術のあるなしに関わらずみんなで楽しめるサッカーとしてヨーロッパ圏で広がりをみせています。

世界ゆるスポーツ協会でも、そういった誰もが参加できるスポーツを日々考案中。その作り方というのがまた独特で、ときには名前から入るケースもあるとか。「たとえば、『ハンドソープボール』という競技は、ハンドボールのゆるスポーツを作ろうとなった時に、ハンド「ソープ」ボールってなったら石鹸を使うスポーツになるよね?という発想で開発されました。そこから実際に手に石鹸を付けてハンドボールを行うというルールになりました。こういった名前のインパクトから入っていくケースもありますね」と萩原さん。
その他にも、小さい子どもと大人が一緒にできるものやお年寄りが楽しめるもの、足が不自由だったり、目が見えない方が楽しめるものなど、ターゲットを絞って作っていくような作り方もあるそうです。そのひとつの例が『ZOMBIE SOCCER』。これは、ブラインドサッカー協会と一緒に開発した、音の出るボールを使った目の見えない方も楽しめるサッカーで、中西も実際に経験したことがあるそうです。

萩原さんはこういったゆるスポーツを現在各地で実施していますが、そこでは多くの方から感謝の言葉をいただくこともあるそうで、「特別支援学校でやったときには、保護者の方から『ウチの子があんな顔をするとは思わなかった』とか、『今まであんなに喜んでくれたことがなかったからビックリした』といった感想もいただいたりして、そのときはスゴく嬉しかったですね」と笑顔で話していました。ゆるスポーツには人を元気にする力があるようです。

今後もさまざまな活動をしていきたいと語る萩原さんですが、その背景には日本の社会の現状が関係していると言います。「少子高齢化をはじめ、いろいろな課題があると思うんですが、その中でスポーツはすごく有効な解決手段かなと思っています」と話しつつ、スポーツにはコミュニケーションを活性化させ、物事をポジティブにする力があると力説。
一方で、「日本のスポーツ文化は部活文化というか、みなさん部活で経験しているスポーツはやめた後も見たり、好きになるけれど、部活でスポーツをやってこなかった人たちはなかなかスポーツと接点がないんですよ」と世の中の問題点を指摘。世界ゆるスポーツ協会では間口を広く入りやすくすることで、より多くの人にスポーツに関わってほしいと願っているそうです。そうすることで、日本のスポーツ界自体が活発化するとも言います。
さらには、ただスポーツの観点からだけではなく、ゆるスポーツのコンセプト、みんなが楽しめることや自分たちで新しくルールを作っていくという考え方をより世の中に浸透させ、いろいろな場に実践してもらえることを望んでいるそうです。

そんな萩原さんの熱い話を聞いた中西は、「スポーツ、体を動かすことは年齢を重ねても健康に繋がっていきますし、いろいろな方がスポーツに身近に触れられるゆるスポーツは非常に貴重な存在になるかもしれないですね」と話していました。