西暦616年聖徳太子の創建と伝えられ、足利尊氏が戦勝祈願に訪れたという、ゆかりの寺としても知られている「浄土寺」

放送後記

JAPAN HERITAGE~ラジオ日本遺産~。
今回は「尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市」
広島県 尾道市の『浄土寺』をご紹介しました。
 
中世の開港以来、人とモノと財が集まる港町として栄えた尾道。多くの商人たちが商いを行い、財を成し、その財を寄進することで、数多くの寺院が建てられました。

数は減ったそうですが、尾道三山の山麓 およそ2キロの範囲に、今でも中世から続く25の寺院が並び立っていて、今でも市民に愛され、守られています。

さて・・・
船で、尾道水道から港に入ると、真っ先に見える朱色の中世寺院が浄土寺です。
尾道三山の一つ瑠璃山:別名 浄土寺山のふもとにあります。



西暦616年、聖徳太子の創建と伝えられ、その後、守り手のなかった この寺をおよそ700年前・鎌倉時代に再興。その後、火事で建物など焼失しますが、同じ鎌倉時代の1320年代後半に、本堂・多宝塔が再建。
現在でも、そのままの姿を残し、国宝に指定されています。

もちろん、内部も見ることができます。700年近く前に建てられたとは思えないほどの造りの確かさと、細部の美しさ。

特に屋根の部分は、外側に行くにしたがい湾曲する独特の建築方法。
コンピューターも何もない時代に、なぜ、ここまで正確に、美しく建てられるのか・・・。
本当に、昔の人の技術には驚かされますね。

ちなみに、本堂のご本尊さまは33年に一度の御開帳。
次の御開帳は・・・17年後、だそうです。ワタシ、何歳かしら・・・。



また、浄土寺は足利尊氏が戦勝祈願に訪れた、という、ゆかりの寺としてもよく知られていて、宝物館には、日本でここにしか残存しない、ともいわれる足利尊氏の肖像画もあります。正面からみると、黒い衣を着ているだけ、に見えますが、少ししゃがんでみてみると、足利家の家紋:五七の桐(ごしちのきり)が浮かび上がります。
室町絵師の技、見てみてはいかがでしょう?

ちなみに、シュロが印象的な庭園も見事です。
シュロはその昔、富の象徴、だったとか・・・。独特の雰囲気がありますよね。



また体力がある方には、浄土寺の奥の院がある浄土寺山展望台へのハイキングもオススメ。
尾道市内や、尾道水道、そして瀬戸内の島々が望める絶景スポットです。特に、尾道水道が金色にキラキラと輝く夕暮れの景色、素晴らしいですよ。

ぜひ、あなたも日本遺産へ。新たな日本の魅力を再発見してくださいね。