蒲田健の放送後記

番組MCの蒲田健による放送後記 今回は作家の窪美澄さんです。

これまでで最もやさしさ成分の多い作品。

窪美澄さんの最新刊「やめるときも、すこやかなるときも」

愛する人にも言えない、いや愛する人だからこそ言えない過去。
人と人は互いにどこまで分かり合えるのか。そして分かり合うために
どこまで経験を共有すべきなのか。

タイトルは、結婚の誓いの言葉の上の句として知られるフレーズ。
下の句である「愛し合うことを誓いますか?」の修飾語に過ぎないと
軽んじられるきらいもあるが、むしろこちらの方がキモであると窪さんは言う。
最終的な結果に至るまでのプロセスこそ、人の営みの愛おしさそのものなのだ。

過去の作品では刺激的な描写も多かった窪さんだが
今回は徹頭徹尾、やさしく柔らかくそれを描いている。


「欠けている 心 抱える者同士
         巡り合えたら そこに温もり」


P.S.ルーティンを崩さず、積み重ねることで作品を生み出す手法。
ご自身がシンパシーを感じるという「職人」そのものの気質をお持ちの方でした。